2015年度の公的年金積立金の運用成績は、5兆円を超える損失。しかも、公表は参議院選挙後に。

 昨年度の公的年金積立金の運用成績が大幅な損失のなったことについて、「朝日進運は2016年7月1日、2015年度の公的年金積立金の運用成績は、5兆円を超える損失となることが確定した。株安が影響したもので、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が30日の運用委員会で厚生労働省に報告した。だが、GPIFが公表するのは参院選後の7月29日で、野党は「損失隠しだ」と批判を強めている。」、と報じた。
 また、その経過については、次のように伝えた。



①「GPIFは国民年金と厚生年金の積立金約140兆円を運用している。30日の運用委員会は非公開で開かれ、GPIFが15年度の財務諸表を報告。関係者によると、運用損は総額で5兆数千億円に上ったという。」
②「中国が人民元を切り下げて世界的な株安となった昨年8月の「チャイナ・ショック」が影響し、昨年11月に公表された7~9月期の損失は7・8兆円だった。」
③「GPIFは将来の年金支給に必要な利益を確保するとして14年10月に運用基準を見直した。国内債券の比率を60%から35%に下げ、代わりに株式比率を50%に倍増。安倍政権は成長戦略にも位置づけたが、株価の影響は受けやすくなった。15年度の運用成績の公表日について、GPIFは3月末に7月29日と決めた。例年は7月上旬に公表しているが、今年はGPIF発足10年に合わせて保有株の銘柄なども新たに公表する予定で、その開示方法などを検討するのに時間がかかるためだと説明している。」
④「 単年度の運用損がすぐに年金の支給に影響する状況にはない。リーマン・ショックのあった08年度は9兆円超の赤字だったが、14年度は15兆円を上回る黒字で、収益額は01年度の自主運用開始から昨年末までの間に50・2兆円まで積み上がっている。そのうち運用基準を見直した14年10月以降の黒字幅は9兆円近い。
 ただ、長期にわたって損失が続くようだと、将来の年金財政が苦しくなる。」



 このことについて、「『積立金は国民のもの。財務諸表で年度の運用成績が分かるなら、速報値として開示すべきだ』との日本総研の西沢和彦主席研究員の声を伝えた。



 さらに、公表次期の問題については、2016年7月2日、「参院選の論点に、年金問題が浮上している」、と報じた。
安倍晋三政権におけるこの問題のこれまでの扱われ方は次のものであった。



①「安倍晋三首相は同年1月、スイスで開かれたダボス会議での演説で『GPIFは成長への投資に貢献する』と運用基準の見直しを宣言。アベノミクスの『第三の矢』として閣議決定した成長戦略でも、年金運用改革を柱の一つに据えた。」
②「GPIFによる見直しは当初、アベノミクスを推進させる役割を担った。国民年金と厚生年金の積立金約140兆円のうち半分が株式市場に流れ込み、日経平均株価が安倍2次政権発足時の1万円台から昨夏には一時、2万円を突破する株高を後押しした。」



 選挙で焦点化されている状況について、「昨年度の『損失』を追及する野党に対し、与党はこれまでの『プラス』を強調し、有権者の不安を抑えようとしている。公明党の太田昭宏前国土交通相は『安倍政権になって38兆円の運用益が出ている。5兆円減ったというが、減っても30兆円以上の運用益がある。これは全部長期(で運用するもの)だから、今日どうなったかではない』と訴えた。」、と報じた。


 以下、朝日新聞の引用。







朝日新聞-年金の運用損、昨年度5兆円超 GPIF公表は参院選後-2016年7月1日07時35分

 2015年度の公的年金積立金の運用成績は、5兆円を超える損失となることが確定した。株安が影響したもので、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が30日の運用委員会で厚生労働省に報告した。だが、GPIFが公表するのは参院選後の7月29日で、野党は「損失隠しだ」と批判を強めている。

 GPIFは国民年金と厚生年金の積立金約140兆円を運用している。30日の運用委員会は非公開で開かれ、GPIFが15年度の財務諸表を報告。関係者によると、運用損は総額で5兆数千億円に上ったという。

 中国が人民元を切り下げて世界的な株安となった昨年8月の「チャイナ・ショック」が影響し、昨年11月に公表された7~9月期の損失は7・8兆円だった。

 GPIFは将来の年金支給に必要な利益を確保するとして14年10月に運用基準を見直した。国内債券の比率を60%から35%に下げ、代わりに株式比率を50%に倍増。安倍政権は成長戦略にも位置づけたが、株価の影響は受けやすくなった。

 15年度の運用成績の公表日について、GPIFは3月末に7月29日と決めた。例年は7月上旬に公表しているが、今年はGPIF発足10年に合わせて保有株の銘柄なども新たに公表する予定で、その開示方法などを検討するのに時間がかかるためだと説明している。

 これに対し、民進党は「損失隠し」と追及を続けており、岡田克也代表は30日の街頭演説でも「選挙に不利なことは隠す。安倍政権のやること、こんなことが多い」と反発。運用委員会の外部有識者からも「7月の末というのは遅いと受け止められるのは当然」といった指摘が出ている。

 GPIFの運用基準をめぐる議論も再燃しそうだ。

 岡田氏は「リスクが高い。(年金は)安定が必要なのに株に過度に依存している」という批判も強める。一方、安倍晋三首相は27日、自身のフェイスブックで「安倍政権の3年間で37・8兆円の運用収益が生まれました」と強調した。

 単年度の運用損がすぐに年金の支給に影響する状況にはない。リーマン・ショックのあった08年度は9兆円超の赤字だったが、14年度は15兆円を上回る黒字で、収益額は01年度の自主運用開始から昨年末までの間に50・2兆円まで積み上がっている。そのうち運用基準を見直した14年10月以降の黒字幅は9兆円近い。

 ただ、長期にわたって損失が続くようだと、将来の年金財政が苦しくなる。

 年金制度に詳しい日本総研の西沢和彦主席研究員は「与党はGPIFの運用基準を変える時、積立金のオーナーである国民に十分な事前説明をしなかった。野党も運用損で揚げ足をとって不安をあおるのは良くない」と指摘。そのうえで「積立金は国民のもの。財務諸表で年度の運用成績が分かるなら、速報値として開示すべきだ」と求めた。(久永隆一、河合達郎)



朝日新聞-年金問題、与野党応酬 GPIF運用、5兆円超損失批判・長期のプラス強調参院選 -2016年7月2日05時00分


 10日投開票の参院選の論点に、年金問題が浮上している。昨年度の運用成績が5兆円超の損失となった公的年金積立金をめぐり、与野党が激しく応酬。株式比率を高めて運用益を上げた「実績」を強調する与党に対し、野党は巨額の損失や公表時期を参院選後にした点に攻撃の的を絞っている。

 「みなさんの年金は、世界全体の大きなリスクにさらされ続けている。それをみなさん(国民)に何の相談、報告もなく行っているのが安倍政治なのです」

 民進党の前原誠司元外相は1日、JR名古屋駅前での街頭演説で、公的年金積立金の運用損が5兆円超にのぼるとの朝日新聞報道を引き合いに、政権批判を展開。野党幹部らはこの日、政権が年金運用で株式比率を高めた末、損失を広げたことを一斉に批判した。

 運用基準は2014年10月に見直された。株式比率を従来の2倍の50%に引き上げ、国債など国内債券を60%から35%に下げた。その際の記者会見で、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)幹部は「(従来の)国内債券中心の運用では必要な利回りが明らかに足りなくなる」と説明した。

 安倍晋三首相は同年1月、スイスで開かれたダボス会議での演説で「GPIFは成長への投資に貢献する」と運用基準の見直しを宣言。アベノミクスの「第三の矢」として閣議決定した成長戦略でも、年金運用改革を柱の一つに据えた。

 GPIFによる見直しは当初、アベノミクスを推進させる役割を担った。国民年金と厚生年金の積立金約140兆円のうち半分が株式市場に流れ込み、日経平均株価が安倍2次政権発足時の1万円台から昨夏には一時、2万円を突破する株高を後押しした。

 昨年度の「損失」を追及する野党に対し、与党はこれまでの「プラス」を強調し、有権者の不安を抑えようとしている。公明党の太田昭宏前国土交通相は「安倍政権になって38兆円の運用益が出ている。5兆円減ったというが、減っても30兆円以上の運用益がある。これは全部長期(で運用するもの)だから、今日どうなったかではない」と訴えた。
 ■公表時期「選挙後」も焦点
 政権が年金運用成績の公表を例年の7月上旬から参院選後の7月29日とした点も焦点となっている。

 野党は「情報隠し」と攻勢を強める。民進の野田佳彦前首相は1日、高知市での演説で「よらしむべし、知らしむべからず。国民は何も知らなくていいと。都合の悪いことは後回しにして隠す」と批判した。

 有権者の関心が高い年金問題は過去の参院選でも結果に影響を与えてきた。

 小泉政権時の04年には、負担増・給付減を定めた年金改革法の成立後、政府は年金推計の前提になる出生率が過去最低(当時)の1・29だったと公表。野党は「重要な情報を後出しした」と追及し、躍進に結びつけた。07年の安倍1次政権では、「消えた年金」などの年金記録問題で与党に批判が集中。同年の参院選で大敗し、安倍首相が退陣するきっかけになった。

 民進の山井和則衆院議員は1日、党の会議で「第二の『消えた年金』だ」と発言。共産党の小池晃書記局長も同日、千葉県船橋市での演説で「『消えた年金』ではない。首相による『消した年金』になりつつある」と主張した。

 政権側は火消しに必死だ。萩生田光一官房副長官は1日の会見で「運用実績は引き続き精査中だ。(公表時期が)恣意(しい)的に動くというような誤解があってはならないので、今年から日にちまで明確にした。参院選は関係ない」と述べた。


by asyagi-df-2014 | 2016-07-10 05:47 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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