原発問題-原子力規制委員会は、関電が申請した安全対策の基本方針を許可。「極めて例外的」とされてきた60年までの運転延長が初めて認可される可能性が高まった。

 標題について、朝日新聞は2016年6月21日、「運転開始から40年を超えた関西電力高浜原発1、2号機(福井県)は新規制基準を満たすとして、原子力規制委員会は20日、関電が申請した安全対策の基本方針を許可した。残る二つの認可手続きの審査に大きな課題は残っておらず、『極めて例外的』とされてきた60年までの運転延長が認可される可能性が高まった。40年を超える老朽原発が許可されたのは初めて。東京電力福島第一原発事故後の教訓を踏まえてできた運転期間を40年とする原則が骨抜きになりつつある。」、と報じた。
 また、このことに関して、次のように伝えた。


①「今の制度では、運転開始から原則40年までに規制委が認めれば1回だけ最長20年間延長できる。高浜1、2号機は60年までの運転延長が申請された初めてのケース。関電は、経過措置で猶予された今年7月の期限までに、安全対策の許可、詳しい設計の認可、運転延長の認可の三つをすべて受ける必要がある。」
②「規制委は『時間切れ』で廃炉を迫られる事態を避けるため、審査を急いだ。今年3月には、原子炉内の重要設備の耐震性を最終確認する試験を、詳しい設計の認可の後に先送りする方針を決めた。原子炉の劣化状況を調べた関電の特別点検の結果を確かめる審査も同時並行で進めている。規制委幹部は『大きな論点は残っていない』としており、運転延長が認められる見通しだ。」
③「規制委は、今年2月に新基準を満たすと認める審査書案を公表。30日間に606件の意見が集まった。運転延長に対するものは100件以上あり、『(延長は)例外ではなかったのか』『「原子炉は老朽化していないのか』といった懸念が多かったという。新基準の審査で焦点だった電気ケーブルの防火対策についても、『難燃性が確保できるか不明だ』といった意見が相次いだ。」


 さらに、規制委の田中俊一委員長の会見について、「熊本県などの一連の地震で原発に対する不安を感じている人がいることに触れ、『劣化状況や地震動などの説明がわかりやすくなるよう、工夫していきたい』と語った。ただ、審査の進め方には問題がなく、延長しても新基準を満たすことをしっかり確かめていく考えを示した。」、と報じた。
今後は、「関電は、安全対策の工事に数年かかり、再稼働の時期は2019年秋以降になるとみている。」、とされている。


 朝日新聞は、この動きに関して、2016年6月21日付けの社説で、「原発40年規制 運転延長に反対する」、とその主張を明確にした。
主張の要約は次のものである。


(1)朝日新聞の主張
東京電力福島第一原発の事故を経て、朝日新聞は社説で20~30年後の「原発ゼロ社会」を主張してきた。当面どうしても必要な原発の稼働は認めつつ、危険度の高い原発や古い原発から閉じていくという意見である。
 このままでは、利益をあげられると電力会社が判断した原発について、次々と運転延長が認められかねない。今回の認可に反対する。
(2)朝日新聞の反対理由
①規制委員会は、「難題とされた電気ケーブルの火災対策で、燃えにくいケーブルへの交換が難しい部分は防火シートで覆う関電の方針を受け入れた。運転延長後の耐震性を推定するために格納容器内の重要機器を実際に揺らす試験も、対策工事後に回して認可した。」
②規制委員会は、「『1回だけ、最長20年』という運転延長規定は、電力不足などに備えるために設けられた。規制委も『極めて例外的』『(認可は)相当困難』と説明していたのではなかったか。」
③安倍晋三政権は、なし崩し的に原発行政を変更してきたのではないか。それは、「法律を改正し『原発の運転期間は40年』と明記したのは民主党政権のときだった。福島の事故を受け、国民の多くが『原発への依存度を下げていく』という方向で一致していたからだ。安倍政権も、発足当時は『原発依存度を可能な限り低減する』と繰り返していた。しかし、なし崩し的に原発温存へとかじを切り、基幹エネルギーの一つに位置づけた。」。
④「『規制委が安全と判断した原発は再稼働していく』。これが最近の政権の決まり文句だ。」。
⑤「規制委は個別原発の安全審査が役割だと強調する。避難計画が十分かどうかは審査の対象外だし、高浜原発がある福井県のような集中立地の是非も正面から議論はしていない。」
⑥「高浜原発を巡っては今年3月、再稼働したばかりの3、4号機について、大津地裁が運転差し止めの仮処分決定を出した。決定の根底には、原子力行政を専門家任せにしてきたことが福島の事故につながったとの反省がある『「原発40年』の法改正は民自公の3党合意に基づく。規制委によりかかりながら、原発依存度低減という国民への約束をなかったことにするのは許されない。政権は40年ルールへの考え方をきちんと説明するべきだ。」


 安倍晋三政権は、「3.11」の意味をきちっと再確認しなければならない。







朝日新聞-原発40年の原則、骨抜き 規制委、初の許可 高浜1・2号機-2016年4月21日05時00分

 運転開始から40年を超えた関西電力高浜原発1、2号機(福井県)は新規制基準を満たすとして、原子力規制委員会は20日、関電が申請した安全対策の基本方針を許可した。残る二つの認可手続きの審査に大きな課題は残っておらず、「極めて例外的」とされてきた60年までの運転延長が認可される可能性が高まった。
 40年を超える老朽原発が許可されたのは初めて。東京電力福島第一原発事故後の教訓を踏まえてできた運転期間を40年とする原則が骨抜きになりつつある。

 今の制度では、運転開始から原則40年までに規制委が認めれば1回だけ最長20年間延長できる。高浜1、2号機は60年までの運転延長が申請された初めてのケース。関電は、経過措置で猶予された今年7月の期限までに、安全対策の許可、詳しい設計の認可、運転延長の認可の三つをすべて受ける必要がある。

 規制委は「時間切れ」で廃炉を迫られる事態を避けるため、審査を急いだ。今年3月には、原子炉内の重要設備の耐震性を最終確認する試験を、詳しい設計の認可の後に先送りする方針を決めた。原子炉の劣化状況を調べた関電の特別点検の結果を確かめる審査も同時並行で進めている。規制委幹部は「大きな論点は残っていない」としており、運転延長が認められる見通しだ。

 規制委は、今年2月に新基準を満たすと認める審査書案を公表。30日間に606件の意見が集まった。運転延長に対するものは100件以上あり、「(延長は)例外ではなかったのか」「原子炉は老朽化していないのか」といった懸念が多かったという。新基準の審査で焦点だった電気ケーブルの防火対策についても、「難燃性が確保できるか不明だ」といった意見が相次いだ。

 関電は、安全対策の工事に数年かかり、再稼働の時期は2019年秋以降になるとみている。

 規制委の田中俊一委員長は20日の会見で、熊本県などの一連の地震で原発に対する不安を感じている人がいることに触れ、「劣化状況や地震動などの説明がわかりやすくなるよう、工夫していきたい」と語った。ただ、審査の進め方には問題がなく、延長しても新基準を満たすことをしっかり確かめていく考えを示した。

 関電は「安全性が確認された原発の再稼働に全力で取り組む」とのコメントを発表した。(東山正宜)


朝日新聞社説-原発40年規制 運転延長に反対する-2016年6月21日


 運転開始から40年を超えた関西電力高浜原発1、2号機(福井県)について、原子力規制委員会が運転延長を認可した。関電は安全対策工事をしたうえで、2019年秋以降の再稼働をめざす方針だ。

 東京電力福島第一原発の事故を経て、朝日新聞は社説で20~30年後の「原発ゼロ社会」を主張してきた。当面どうしても必要な原発の稼働は認めつつ、危険度の高い原発や古い原発から閉じていくという意見である。

 このままでは、利益をあげられると電力会社が判断した原発について、次々と運転延長が認められかねない。今回の認可に反対する。

 まずは規制委である。

 難題とされた電気ケーブルの火災対策で、燃えにくいケーブルへの交換が難しい部分は防火シートで覆う関電の方針を受け入れた。運転延長後の耐震性を推定するために格納容器内の重要機器を実際に揺らす試験も、対策工事後に回して認可した。

 「1回だけ、最長20年」という運転延長規定は、電力不足などに備えるために設けられた。規制委も「極めて例外的」「(認可は)相当困難」と説明していたのではなかったか。

 より大きな問題は、安倍政権の原発への姿勢である。

 法律を改正し「原発の運転期間は40年」と明記したのは民主党政権のときだった。福島の事故を受け、国民の多くが「原発への依存度を下げていく」という方向で一致していたからだ。

 安倍政権も、発足当時は「原発依存度を可能な限り低減する」と繰り返していた。しかし、なし崩し的に原発温存へとかじを切り、基幹エネルギーの一つに位置づけた。

 「規制委が安全と判断した原発は再稼働していく」。これが最近の政権の決まり文句だ。

 その規制委は個別原発の安全審査が役割だと強調する。避難計画が十分かどうかは審査の対象外だし、高浜原発がある福井県のような集中立地の是非も正面から議論はしていない。

 高浜原発を巡っては今年3月、再稼働したばかりの3、4号機について、大津地裁が運転差し止めの仮処分決定を出した。決定の根底には、原子力行政を専門家任せにしてきたことが福島の事故につながったとの反省がある。

 「原発40年」の法改正は民自公の3党合意に基づく。規制委によりかかりながら、原発依存度低減という国民への約束をなかったことにするのは許されない。政権は40年ルールへの考え方をきちんと説明するべきだ。


by asyagi-df-2014 | 2016-06-27 06:09 | 書くことから-原発 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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