沖縄-第12回沖縄県議会議員選挙で、翁長雄志知事与党は現有議席を4議席上回る27議席を獲得する。

 沖縄県議会議員選挙で、県政与党は現有議席を上回った。
 このことについて、沖縄タイムスは2016年6月6日、「任期満了に伴う第12回沖縄県議会議員選挙(定数48)は5日、投開票され、与党は無投票だった名護市区を含む13選挙区で現有議席を4議席上回る27議席を獲得して躍進、引き続き安定多数を維持した。2014年に翁長雄志知事が就任して初めての県議選で、与党が過半数を得たことは有権者が翁長県政に信任を与えた格好になる。」、と報じた。
 また、「選挙結果が7月10日投開票の参院選に影響を与えるのは必至。翁長知事とともに名護市辺野古の新基地建設に反対を訴えてきた与党の『オール沖縄』勢力の勝利は、県民があらためて新基地建設反対の民意を示したことになる。」、と伝えた。

 この結果について、沖縄タイムスは「基地への拒否感根強く」、琉球新報は「県議選与党大勝 辺野古移設を断念せよ 民意無視はもう許されない」、とその社説で伝えた。
 二社の社説を要約する。


(沖縄タイムス)
①2014年12月に就任した翁長県政の「中間評価」と位置付けられた県議選。結果は辺野古新基地建設でぶれない翁長雄志知事の姿勢を後押しするものだった。14年の名護市長選、県知事選、衆院選で示された県内潮流が大本では変わっていないことをあらためて裏付けた。
②相次ぐ事件・事故の発生によって県民の怒りはかつてないほど高まっており、それが選挙結果に影響したものとみられる。
③宜野湾市長選で敗北した「オール沖縄」陣営は県議選に勝利したことでその勢いを参院選につなぐ構え。過半数を制することができなかった野党は参院選に向け、取り組みの見直しを迫られることになりそうだ。
④今回の上昇をもって長期低下傾向に歯止めがかかったと判断するのは早計だ。新しい議会は「政策形成」「執行部監視」の機能を高め、住民との対話や情報公開などを通して住民との距離を縮めてもらいたい。投票率の低迷に議会上げて本腰で取り組むときだ。
(琉球新報)
①民意はまたも明確になった。政府がこれ以上、沖縄の民意を無視し、踏みにじるのは許されない。一昨年の知事選、衆院選、名護市長選、名護市議選でも辺野古反対派が全て勝利している。民主主義国である以上、辺野古新基地建設を正当化できる根拠はもはや皆無だ。政府は新基地建設を断念し、対米交渉をやり直すべきだ。
②在沖米軍基地全体について、立候補者全員が「基地の大幅な整理縮小」か「全面撤去」、「整理縮小」のいずれかを掲げた。基地の現状維持を求める人はただの一人もいない。在沖米海兵隊も大多数が「全面撤退」か「大幅削減」で、「現状維持」は皆無だ。辺野古新基地についても、明確な反対だけで新議席の7割弱に達する. 政治的な立場は別として、こうした事前のアンケート結果と当落だけを純粋に受け止めれば、今県議選に込めた県民のメッセージは次のように総括できよう。米軍を今の規模で沖縄に押し付け続けるのは許さない。海兵隊の現状維持どころか、新基地まで沖縄に造ろうとする政府は論外だ。
③県議会は県と並ぶ「二元代表制」の一方である。行政を評価するのもいいが、自前の政策立案もぜひ実行してほしい。県民所得が全国平均の7割にとどまること、全雇用者の45%が非正規であることなど、経済分野の課題も大きい。単に抽象的な「経済振興」を訴えるだけではない、具体的な政策提案が求められる。直近の4年間、県議会は2本の議員提案条例を制定した。その前の40年通算で4本だったことを考えると、高く評価できる。今回、新たに県民代表となった48人にも政策立案機能を期待したい。


 さて、琉球新報はその社説で、「義偉官房長官は記者会見で、この県議選の結果が辺野古新基地建設に与える影響はないとの認識を繰り返し示していた。いくら予防線を張りたいのだとしても程がある。沖縄の民意に対してあまりに不誠実だ。」、と安倍晋三政権への不信感を表明した。
 宜野湾市長選の結果をはさんで、一昨年の知事選、衆院選、名護市長選、名護市議選、この県議選と、沖縄の民意は、はっきり示された。
 この結果の意味を無視し、沖縄の民意を踏みにじるのことは決して許されない。
 安倍晋三政権がいかに鉄仮面を装うとしても、この結果は、沖縄県だけに留まるものではなく、日本の今後のあり方そのものを示すものである。
 安倍晋三政権は、「基地への拒否感根強く」あることを真摯に理解し、「辺野古移設を断念」を日本人総体の未来への意思として受け止めよ。


以下、沖縄タイムス、琉球新報の引用。






沖縄タイムス-翁長知事与党27議席、安定多数維持 沖縄県議選-2016年6月6日 05:04


 任期満了に伴う第12回沖縄県議会議員選挙(定数48)は5日、投開票され、与党は無投票だった名護市区を含む13選挙区で現有議席を4議席上回る27議席を獲得して躍進、引き続き安定多数を維持した。2014年に翁長雄志知事が就任して初めての県議選で、与党が過半数を得たことは有権者が翁長県政に信任を与えた格好になる。選挙結果が7月10日投開票の参院選に影響を与えるのは必至。翁長知事とともに名護市辺野古の新基地建設に反対を訴えてきた与党の「オール沖縄」勢力の勝利は、県民があらためて新基地建設反対の民意を示したことになる。

 与党候補者は翁長県政を支える立場を前面に掲げ、宮古島市区での初の女性県議が誕生するなど「オール沖縄旋風」が巻き起こった。野党の自民は公認・推薦の20人を擁立した。1議席増の15議席を得たが、少数野党の苦しい立場は継続する。

 投票率は53・31%で過去最低だった前回を0・82ポイント上回り28年ぶりに上昇に転じた。

 選挙戦では米軍普天間飛行場問題を巡り、野党の自民を含め政治的立場を問わず閉鎖・返還を訴えた。与党系候補者は名護市辺野古の新基地や県内移設の断念も強く主張した。
 当選者48人のうち辺野古に反対するのは31人で6割以上を占め、普天間問題の行方に影響を与えそうだ。

 元海兵隊員の米軍属の男による女性遺体遺棄事件に対する県議会の抗議決議で盛り込まれた在沖海兵隊の撤退や子どもの貧困解消、経済振興のあり方も焦点となった。

 当選者の内訳は現職31人、前職2人、新人15人。現職は6人が落選した。最年少は41歳、最高齢は74歳。女性は7人が立候補し、6人が当選した。

 党派別は与党は社民6人、共産6人、社大3人で、与党系無所属は12人が当選した。
 野党は自民が14人、野党系無所属が1人当選。中立は公明が4人、維新が2人の議席を得た。

 県選挙管理委員会での集計作業が混乱し、得票数の確定が大幅に遅れた。


沖縄タイムス社説-[与党が過半数堅持]基地への拒否感根強く-2016年6月6日 05:00


 2014年12月に就任した翁長県政の「中間評価」と位置付けられた県議選。結果は辺野古新基地建設でぶれない翁長雄志知事の姿勢を後押しするものだった。

 任期満了に伴う第12回県議会議員選挙(定数48)は5日投開票され、翁長知事を支える県政与党が引き続き過半数を堅持した。

 改選前の議席数(欠員2)は46議席で、議長を除き与党が23議席、野党・中立が22議席だった。与党は各選挙区で善戦し改選前の議席に上積みした。

 政府と対峙(たいじ)する翁長知事にとって、県議会の後ろ盾を得た意義は大きい。14年の名護市長選、県知事選、衆院選で示された県内潮流が大本では変わっていないことをあらためて裏付けた。

 女性遺体遺棄事件が起き、反基地感情が高まる中、与党側は辺野古新基地建設に明確に反対を表明。野党側は辺野古を含むあらゆる可能性を追求するとし、争点ぼかしの「あいまい戦術」をとった。宜野湾市長選のときの戦術を踏襲したのである。

 米軍の綱紀粛正と再発防止策に実効性がなく、日本政府が決めた応急対策にも県民から疑問が噴出した。

 投開票前日には米海軍二等兵曹の女が酒酔い運転で国道58号を逆走し車両2台と衝突する事故が発生、道交法違反容疑で現行犯逮捕された。相次ぐ事件・事故の発生によって県民の怒りはかつてないほど高まっており、それが選挙結果に影響したものとみられる。
■    ■
 今回の県議選については与野党とも、7月10日投開票の参院選の前哨戦と位置付け、重視していた。

 翁長知事は告示前から候補者選考の調整に主導的に関わった。名護市区と宮古島市区では与党候補者の新旧交代を果たした。

 告示後も、当落線上にいると判断した候補者に対しては選挙区に複数回入るなど、強力に後押しした。

 自民党も国政並みの取り組みをした。テレビ、ラジオCMで経済振興や雇用対策を訴えた。

 子どもの貧困や待機児童問題などについては与野党が共通して訴え、有権者の関心も高かった。

 宜野湾市長選で敗北した「オール沖縄」陣営は県議選に勝利したことでその勢いを参院選につなぐ構え。過半数を制することができなかった野党は参院選に向け、取り組みの見直しを迫られることになりそうだ。
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 投票率は53・31%。前回12年の52・49%に比べ0・82ポイント上回ったことになる。

 復帰後の県議選で投票率が最も高かったのは1976年の82・28%。その後も70~80%台の高い投票率を維持してきたが、92年から毎回のように低下し続けた。

 今回の上昇をもって長期低下傾向に歯止めがかかったと判断するのは早計だ。

 新しい議会は「政策形成」「執行部監視」の機能を高め、住民との対話や情報公開などを通して住民との距離を縮めてもらいたい。投票率の低迷に議会上げて本腰で取り組むときだ。


琉球新報社説-県議選与党大勝 辺野古移設を断念せよ 民意無視はもう許されない-2016年6月6日


 民意はまたも明確になった。政府がこれ以上、沖縄の民意を無視し、踏みにじるのは許されない。

 翁長県政1期目の県議会勢力図がどうなるか、全国的にも注目を集めた第12回県議選は、県政与党が地滑り的な大勝を収めた。安倍政権が強行しようとしている米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設についても、明確に反対する人が大多数を占めた。
 一昨年の知事選、衆院選、名護市長選、名護市議選でも辺野古反対派が全て勝利している。民主主義国である以上、辺野古新基地建設を正当化できる根拠はもはや皆無だ。政府は新基地建設を断念し、対米交渉をやり直すべきだ。

説得力なき犯罪対策

 今回の県議選は定数48に対し、71人が立候補した。無投票となった定数2の名護市区を除き、12選挙区で激しい選挙戦を展開した。
 県政をめぐる課題はさまざまあるが、最も注目された論点はやはり米軍基地問題だった。米軍属女性遺棄事件に強い反発が上がる中、各候補はこぞって日米地位協定の改定を打ち出した。「運用改善」でよしとする意見はごく少数だった。
 投開票日の直前、政府は事件を受けた対策を打ち出したが、内容は防犯カメラ増設と警察官増員である。カメラを増やせば米軍関係の犯罪を抑止できると言わんばかりの「方向音痴」の対策は、何の説得力も持たなかった。県議会当選者の96%が地位協定の改定を求めていることの重さを、政府は正面から受け止めるべきだ。
 在沖米軍基地全体について、立候補者全員が「基地の大幅な整理縮小」か「全面撤去」、「整理縮小」のいずれかを掲げた。基地の現状維持を求める人はただの一人もいない。在沖米海兵隊も大多数が「全面撤退」か「大幅削減」で、「現状維持」は皆無だ。辺野古新基地についても、明確な反対だけで新議席の7割弱に達する。
 政治的な立場は別として、こうした事前のアンケート結果と当落だけを純粋に受け止めれば、今県議選に込めた県民のメッセージは次のように総括できよう。米軍を今の規模で沖縄に押し付け続けるのは許さない。海兵隊の現状維持どころか、新基地まで沖縄に造ろうとする政府は論外だ。
 菅義偉官房長官は記者会見で、この県議選の結果が辺野古新基地建設に与える影響はないとの認識を繰り返し示していた。いくら予防線を張りたいのだとしても程がある。沖縄の民意に対してあまりに不誠実だ。

政策立案に期待

 県議には住民の多様な意見や要求をくみ取り、政策に集約する機能が求められる。
 沖縄には多くの問題がある。中でも子どもの貧困は喫緊の課題だ。その意識の反映か、前回の選挙と比べて今回は格段に多くの候補者が政策に掲げた。
 翁長県政与党は県の実態調査や対策推進基金を評価し、野党は内閣府の対策予算計上を評価する。そんな傾向が見られた。
 県議会は県と並ぶ「二元代表制」の一方である。行政を評価するのもいいが、自前の政策立案もぜひ実行してほしい。
 内閣府の予算は現時点で期間は不透明だ。事業開始後に国の補助が打ち切られた場合、負担に耐えられない、と二の足を踏む市町村もある。貧困対策には時間がかかる。一時のブームに終わらせず、息の長い事業として行政の枠組みに組み込む必要がある。その知恵を新議員には期待したい。
 県民所得が全国平均の7割にとどまること、全雇用者の45%が非正規であることなど、経済分野の課題も大きい。単に抽象的な「経済振興」を訴えるだけではない、具体的な政策提案が求められる。
 直近の4年間、県議会は2本の議員提案条例を制定した。その前の40年通算で4本だったことを考えると、高く評価できる。今回、新たに県民代表となった48人にも政策立案機能を期待したい。


by asyagi-df-2014 | 2016-06-06 12:04 | 沖縄から | Comments(0)

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