沖縄-上野千鶴子さん。「女を、沖縄を、なめるな」。

 琉球新報は、2016年5月31日、「女を、沖縄を、なめるな」、と上野千鶴子さんの記事を掲載した。
上野さんは、こう始める。


「米政府の統治下にあったときから、沖縄県民は、米軍にひき逃げされ、殴打され、暴行され、殺されてきた。わけても、もっとも弱く抵抗力のない若い女性が、犠牲になってきた。米兵の罪は問われず、容疑者はいつのまにか出国し、あるいは地位協定のもとで軽微な処罰で済んだ。なぜか。沖縄県民の生命が、それほど軽いからだ。またか…。何にも変わっていない、という沖縄県民の絶望は深いだろう。」

「今回の容疑者は軍属だが、公務外の犯罪だから地位協定が適用されず、日本の法廷で裁かれることになるだろう。だが、地位協定が適用されなくても、容疑者が沖縄女性の生命を、どのようにもてあそんでもよいくらい、軽いものと見なしていた事実は消えない。容疑者は元海兵隊員だという。殺人の訓練を重ねてきたプロフェッショナルだ。」

「つい最近、ソウルでは30代の男性が面識のない20代の女性を『女性が嫌いだ、無視されてきた』という理由で殺すという、女性嫌悪殺人が起きた。徴兵制のある韓国の男性たちもまた、軍隊で暴力を学ぶ。」


 上野さんは、男社会のどうしようもなさに明快に駄目を出す。


①「女性が暗い夜道を、ひとりでウオーキングしていたのが悪いのか? 少女がひとりで、人気のない道を下校したのが迂闊なのか? 勝手に送りつけられた腕時計を、ファンだという男に送り返したのが問題なのか?」
②「少女は拉致され、監禁され、女性は殴られ、暴行され、殺され、アイドルはつきまとわれ、脅迫され、刺される。愛や性欲からではない。どうにでもなるはずの相手を、恐怖でコントロールしたいという、支配の欲望からだ。コントロールできないことがわかると、逆ギレする。」
③「男のお守りはもうたくさんだ。女に甘え、女に依存し、女につけこみ、女をなめきり、それができないと逆ギレする。いいかげんにしろ、と言いたい。」


 そして、それは、日本政府への弾劾となる。


「同じことを、男女を日本政府と沖縄に入れ替えて、言いたくなる。沖縄に甘え、沖縄に依存し、沖縄につけこみ、沖縄をなめきり、それができないと逆ギレする。いいかげんにしろ、と言いたい。日本政府と米軍への『思いやり』はもうたくさんだ、と沖縄は言いたいだろう。その怒りは本土の私たちに向けられている。」


 私たちは、沖縄からの「No」は、日本人自身に向けられていることを、もういいかげん気づかなくてはならない。


 以下、琉球新報の引用。






琉球新報-「女を、沖縄を、なめるな」。上野千鶴子・東京大名誉教授NPO法人WAN理事長-2016年5月31日 12:05


 いつまでこんなことが続くのか。いつまで我慢し続けなければならないのか。翁長知事は「沖縄の怒りは爆発寸前です」と語った。米軍軍属による沖縄女性遺棄事件のことである。

 米政府の統治下にあったときから、沖縄県民は、米軍にひき逃げされ、殴打され、暴行され、殺されてきた。わけても、もっとも弱く抵抗力のない若い女性が、犠牲になってきた。米兵の罪は問われず、容疑者はいつのまにか出国し、あるいは地位協定のもとで軽微な処罰で済んだ。なぜか。沖縄県民の生命が、それほど軽いからだ。またか…。何にも変わっていない、という沖縄県民の絶望は深いだろう。

 今回の容疑者は軍属だが、公務外の犯罪だから地位協定が適用されず、日本の法廷で裁かれることになるだろう。だが、地位協定が適用されなくても、容疑者が沖縄女性の生命を、どのようにもてあそんでもよいくらい、軽いものと見なしていた事実は消えない。容疑者は元海兵隊員だという。殺人の訓練を重ねてきたプロフェッショナルだ。

 つい最近、ソウルでは30代の男性が面識のない20代の女性を「女性が嫌いだ、無視されてきた」という理由で殺すという、女性嫌悪殺人が起きた。徴兵制のある韓国の男性たちもまた、軍隊で暴力を学ぶ。

 女性が暗い夜道を、ひとりでウオーキングしていたのが悪いのか? 少女がひとりで、人気のない道を下校したのが迂闊なのか? 勝手に送りつけられた腕時計を、ファンだという男に送り返したのが問題なのか?

 少女は拉致され、監禁され、女性は殴られ、暴行され、殺され、アイドルはつきまとわれ、脅迫され、刺される。愛や性欲からではない。どうにでもなるはずの相手を、恐怖でコントロールしたいという、支配の欲望からだ。コントロールできないことがわかると、逆ギレする。

 男のお守りはもうたくさんだ。女に甘え、女に依存し、女につけこみ、女をなめきり、それができないと逆ギレする。いいかげんにしろ、と言いたい。

 同じことを、男女を日本政府と沖縄に入れ替えて、言いたくなる。沖縄に甘え、沖縄に依存し、沖縄につけこみ、沖縄をなめきり、それができないと逆ギレする。いいかげんにしろ、と言いたい。日本政府と米軍への「思いやり」はもうたくさんだ、と沖縄は言いたいだろう。その怒りは本土の私たちに向けられている。(社会学)


by asyagi-df-2014 | 2016-06-03 05:34 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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