「政府が、アイヌ民族の生活・教育支援を目的とする新法制定に向けた検討に着手」について。

 政府のアイヌ新法制定の検討について、東京新聞は2016年5月10日、「政府がアイヌ民族の生活や教育を支援する新法を制定する方向で検討を始めたことが10日、関係者への取材で分かった。政府のアイヌ政策推進会議が今月中旬に公表する報告書に新法の検討について明記する方針。」、と報じた。
 このことについて、北海道新聞は2016年5月13日の社説で、「アイヌ新法 手厚い支援を求めたい」と記した。
このアイヌ新法について考える。
北海道新聞の要約は次のとおりである。


(1)新法の必要性
①新法の必要性は、2009年に政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」がまとめた報告書に既に明記されている。それがようやく具体的に動きだすことになる。
②かつての同化政策や差別的な扱いによって、生活や教育面で厳しい環境下にあるアイヌの人々は今も少なくない。手厚い支援が求められる。
③新法制定に向けては、こうした現実をきちんと踏まえた検討を進めるよう求めたい。
④1997年にはアイヌ文化振興法が制定されたが、これは名称の通り、文化の振興に特化した法律だ。生活支援などは盛り込まれていない。
⑤道内のアイヌ民族については、道が国の補助を受けて、年10億円規模で奨学金や就労支援などの事業を行っている。それでも、道が13年、アイヌ民族が住む道内66市町村を対象に行った調査では、アイヌ民族の世帯の生活保護率が平均的な世帯の1・4倍と高く、大学進学率は0・6倍と低かった。かつてに比べれば経済格差は縮まってきてはいる。それでも、解消へ取り組みはまだ十分とは言えない。


(2)新法の内容
①北海道アイヌ協会は、新法の制定を通じて、幼児期からの教育支援や、無年金の高齢者救済などを継続的に実施できる体制を整備したい考えという。同協会などの要望にしっかりと耳を傾けてもらいたい。
②同時に、新法制定に当たっては、08年に衆参両院が全会一致で行った「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」も考慮する必要がある。
 この決議を受け政府も初めて、アイヌ民族を先住民族と認める官房長官談話を出した。
 一方、法律上ではアイヌ民族の先住民族としての位置づけがまだ明確になっていない。
 海外では、先住民族に対する権利侵害への反省から、国内法の制定で人権を保障しようとする動きもみられる。


(3)北海道新聞の主張
①新法を巡る論議では、生活・教育支援の拡充はもちろんだが、国会決議や官房長官談話も踏まえて、先住民族としての位置づけを盛り込むことも、ぜひ検討してもらいたい。
②大切なのは、不当な差別や貧困の根絶につなげることである。


 アイネ新法を考える上で必要なこと、まず第1に、この新法の制定は、「不当な差別や貧困の根絶につなげる」ためにあることを基本にすること、第2に、「アイヌ民族を先住民族とする」ことの位置づけがなされなくてはならないこと、第3に、そのためには、当該者の意見を十分に反映させる必要があること。


以下、北海道新聞の引用。







北海道新聞社説- アイヌ新法 手厚い支援を求めたい-2016年5月13日


 政府が、アイヌ民族の生活・教育支援を目的とする新法制定に向けた検討に着手する。

 新法の必要性は、2009年に政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」がまとめた報告書に既に明記されている。

 それがようやく具体的に動きだすことになる。

 かつての同化政策や差別的な扱いによって、生活や教育面で厳しい環境下にあるアイヌの人々は今も少なくない。手厚い支援が求められる。

 新法制定に向けては、こうした現実をきちんと踏まえた検討を進めるよう求めたい。

 道内のアイヌ民族については、道が国の補助を受けて、年10億円規模で奨学金や就労支援などの事業を行っている。

 それでも、道が13年、アイヌ民族が住む道内66市町村を対象に行った調査では、アイヌ民族の世帯の生活保護率が平均的な世帯の1・4倍と高く、大学進学率は0・6倍と低かった。

 かつてに比べれば経済格差は縮まってきてはいる。それでも、解消へ取り組みはまだ十分とは言えない。

 1997年にはアイヌ文化振興法が制定されたが、これは名称の通り、文化の振興に特化した法律だ。生活支援などは盛り込まれていない。

 北海道アイヌ協会は、新法の制定を通じて、幼児期からの教育支援や、無年金の高齢者救済などを継続的に実施できる体制を整備したい考えという。

 同協会などの要望にしっかりと耳を傾けてもらいたい。

 同時に、新法制定に当たっては、08年に衆参両院が全会一致で行った「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」も考慮する必要がある。

 この決議を受け政府も初めて、アイヌ民族を先住民族と認める官房長官談話を出した。

 一方、法律上ではアイヌ民族の先住民族としての位置づけがまだ明確になっていない。

 海外では、先住民族に対する権利侵害への反省から、国内法の制定で人権を保障しようとする動きもみられる。

 新法を巡る論議では、生活・教育支援の拡充はもちろんだが、国会決議や官房長官談話も踏まえて、先住民族としての位置づけを盛り込むことも、ぜひ検討してもらいたい。

 大切なのは、不当な差別や貧困の根絶につなげることである。


東京新聞-政府がアイヌ新法制定を検討 生活、教育支援を目的に-2016年5月10日 11時31分


 政府がアイヌ民族の生活や教育を支援する新法を制定する方向で検討を始めたことが10日、関係者への取材で分かった。政府のアイヌ政策推進会議が今月中旬に公表する報告書に新法の検討について明記する方針。

 北海道アイヌ協会の加藤忠理事長が3月下旬、菅義偉官房長官と面会し、「生活と教育を巡る状況は深刻だ」として支援を訴えていた。菅長官は10日の記者会見で、新法制定に関し「生活向上対策や教育、貧困問題などに幅広く取り組む必要がある。法的措置の必要性についても総合的に検討していきたい」と述べた。


by asyagi-df-2014 | 2016-05-16 05:55 | 人権・自由権 | Comments(0)

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