アベノミクスは失敗。

 どうやら国際的なアベノミクスについての評価も潮代わりをしてきたようです。
 yahooニュースは2016年4月23日、「4年目のアベノミクス 厳しい論調に転じた海外メデイア」、との東洋英和女学院大学大学院の中岡望客員教授の解説記事を掲載しました。
 この記事を要約します。


(1)アベノミクスの事実
①2012年12月に安倍政権が発足、金融緩和、財政出動、成長戦略を三本の柱とするアベノミクスが発表されました。翌年3月、日銀総裁が白川方明氏から黒田東彦氏に交代し、異次元の金融政策として大量のマネタリーベースの供給とインフレ率2%の 目標が設定されました。
②それから3年経ちます。当初、アベノミクスは内外で注目されていましたが、ここに来て海外の論調は厳しいものになってきています。その最大の要因は、アベノミクスは期待されたような成果を上げていないということです。2015年の日本の経済の実質成長率は0.5%の低成長に留まりました。さらに、IMFは今年の成長率も0.5%、2017年はマイナス0.1%と悪化すると予想しています。先進国で最低の成長率です。こうした景気低迷を受け、日銀が掲げる物価上昇率2%の目標の達成ははるか及ばず、日本経済がデフレから脱却するのは難しいとの見方が広がっており、それが海外での厳しいアベノミクス評価に結びついているようです。
③アベノミクスは、円安と株高をテコに経済成長を実現し、それが労働賃金の上昇に結びつき、需要を喚起して、デフレ脱却を目指すものでした。しかし、マイナス金利政策の導入にも拘わらず為替相場は円高に転換し、株式相場も先進国で最低のパフォーマンスに陥っています。こうしたことから、金融政策だけでは景気回復を図るのは無理との見方が内外で強まっています。海外の関係者は、日本政府と日銀が当面の円高にどう対処するのか注目しています。 さらに、アベノミクスの3本目の柱の構造改革も遅々として進まない現状もあります。


(2)海外でのアベノミクスへの論調
①『バロン』(2016年1月4日)は、「安倍首相の日本経済再興政策は過去3年間、ほとんど役に立たなかった」と切り捨てています。                   ②CNN(2015年10月5日)も、「安倍首相の計画は座礁に乗り上げているというコンセンサスが高まっている」と、海外のアベノミクスに対する考え方が変わったと報道しています。CNNはさらに安倍政権の“新政策”である名目GDP600兆円目標に関しても、「この政策によって改革が促進されることはないだろう」とクールなコメントを加えています。
③『ウォール・ストリート』(2016年2月10日)も「三本の柱の内、最初の金融政策は唯一、期待が持てるが、財政拡張は財務省の抵抗で失速し、構造改革は短期的には成果が期待できないものだ」と指摘し、もっと大胆な政策が必要だと説いています。     ④『ワシントン・ポスト』(2016年3月5日)は「アベノミクスは今までのところ、たいした成果を上げていない」と書いています。通信社AP(2016年2月15日)も日本経済がマイナス成長になったのを受けて「大規模な金融緩和によるインフレを通して経済を再生するという安倍首相の野心的な戦略は約束されたような成果を上げていない」と厳しい見方を紹介しています。
⑤通信社ブルームバーグ(2015年9月10日)は、アベノミクスに好意的であったクルーグマン教授が「アベノミクスが失敗するリスクは高まっている」と、アベノミクスに対する懸念を表明したと報道しています。クルーグマン教授は2014年11月に安倍首相と会談し、消費税引き上げを延期するように語っています。                ⑥同様にノーベル経済学賞経済学者ジョセフ・スティグリッツ・コロンビア大学教授も2016年3月16日に安倍首相と会談し、クルーグマン教授と同様に、消費税引き下げの延長の必要性を説いています。
⑦『フィナンシャル・タイムズ』(2015年9月25日)は、「日本銀行のインフレ目標を2年以内に達成するのは不可能である」と、三本の柱である金融政策の効果に疑問を呈しています。さらに賃金の伸びが鈍く、消費回復が見られないとして、これらが「アベノミクスの失敗」を示していると指摘しています。                    ⑧有力週刊誌の『エコノミスト』(2015年9月26日)も、「アベノミクスが始まって以来初めて物価が下落した」とデフレ脱却を目指すアベノミクスが期待通りの成果を上げていないと分析しています。
⑨英国の大手紙『ガーディアン』(2016年2月15日)も、経済成長がマイナスに陥ったことを受けて、「経済を低迷から引き出そうという安倍首相の試みはさらに大きな打撃を受けるだろう」と書いています。                         ⑩国営放送のBBC(2016年2月15日)も、「黒田日銀総裁は20年に及ぶデフレを脱却するために必要なことは何でもすると語っているが、結局円安を引き起こしているだけだ」と、異次元の金融政策は日本経済の復興にはつながっていないと厳しいコメントをしています。
⑪中国の『チャイナ・ディリー』(2016年3月14日)は、「日本内外の経済学者は、金融政策だけでは日本の潜在成長率を高めることはできないと主張している。アベノミクスの他の柱も目標に達していない」と冷めた目で評価しています。            ⑫韓国の『コリア・ヘラルド』2016年3月13日)は、「もし経済政策の解決策を作り出さなければならない国があるとすれば、それは日本である。多くの専門家は1年に及ぶ低成長でアベノミクスが停滞していると語っており、多くの人々が注目しているのは、日本は次の政策を打ち出せるのか、それとも政策のアイデアは種切れになってしまったのかということである」と書いている。
⑬アジア問題を扱う専門誌の『ディプロマ』(2015年9月30日)は、「世界は安倍首相が最後の矢をまだ放っていないことを期待している」と題する記事の中で、「安倍首相は具体的な改革案がないため、名目GDP600兆円の新目標達成に苦慮するだろう」と厳しい見通しを書いています。


(3)中岡望客員教授の解説
 異次元の金融緩和で円安と株高が進み、企業は賃金を引き上げ、消費需要が高まる。そして、成長戦略・構造改革で日本の潜在成長率が高まり、日本は長期低迷から脱出する ―― というアベノミクスのシナリオは、海外では疑問を持たれているようです。


 安倍晋三政権の歪んだ成長戦略が、よりいっそ応の格差、貧困の拡大をもたらすものでしかないことは実証されつつある。
 それは、「アベノミクスは失敗」ということでもある。
 このことが、安倍晋三政権を支えてきたと言われる海外からの支えがなくなるなかでは、逆に牙を向けられることにもなる。
 では、どうするのか、それこそが問われている。


 以下、yahooニュースの引用。







yahooニュース-4年目のアベノミクス 厳しい論調に転じた海外メデイア-2016年4月23日(土)16時0分


 安倍政権の経済政策「アベノミクス」をめぐり、日本では、消費増税延期論と絡んで、失敗か否かという議論が沸き起こっています。昨秋に「新三本の矢」を打ち出し、4年目に突入したアベノミクスですが、2%の物価上昇率は達成できていないのが現状です。

 ここへ来て、海外でのアベノミクス評価は厳しい論調が目立つようになっています。国際経済学に詳しいジャーナリストで東洋英和女学院大学大学院の中岡望客員教授に、海外での報道を中心に解説してもらいました。

海外での評価が高い安倍首相

 日本の首相の海外での評価は低いのが一般的です。過去の日本の首相の発言は曖昧で、何を主張したいのか分からないというのが海外の一般的な受け止め方です。その中で海外で非常に高く評価されている首相が二人います。小泉純一郎元首相と安部晋三首相です。

 二人に共通しているのは、主張が明確であることです。特に安倍首相は昨年、海外メディアに世界で最も注目される政治家の一人に選ばれたこともあります。安全保障問題で、その是非は別にしても、日米同盟重視、強硬な対中国政策と極めて明確なメッセージを発信しています。経済政策でも、安倍政権の経済政策を意味する“アベノミクス”という単語は国際的に通用する用語として定着しています。

 2012年12月に安倍政権が発足、金融緩和、財政出動、成長戦略を三本の柱とするアベノミクスが発表されました。翌年3月、日銀総裁が白川方明氏から黒田東彦氏に交代し、異次元の金融政策として大量のマネタリーベースの供給とインフレ率2%の目標が設定されました。

 それから3年経ちます。当初、アベノミクスは内外で注目されていましたが、ここに来て海外の論調は厳しいものになってきています。その最大の要因は、アベノミクスは期待されたような成果を上げていないということです。2015年の日本の経済の実質成長率は0.5%の低成長に留まりました。さらに、IMFは今年の成長率も0.5%、2017年はマイナス0.1%と悪化すると予想しています。先進国で最低の成長率です。こうした景気低迷を受け、日銀が掲げる物価上昇率2%の目標の達成ははるか及ばず、日本経済がデフレから脱却するのは難しいとの見方が広がっており、それが海外での厳しいアベノミクス評価に結びついているようです。

 アベノミクスは、円安と株高をテコに経済成長を実現し、それが労働賃金の上昇に結びつき、需要を喚起して、デフレ脱却を目指すものでした。しかし、マイナス金利政策の導入にも拘わらず為替相場は円高に転換し、株式相場も先進国で最低のパフォーマンスに陥っています。こうしたことから、金融政策だけでは景気回復を図るのは無理との見方が内外で強まっています。海外の関係者は、日本政府と日銀が当面の円高にどう対処するのか注目しています。 さらに、アベノミクスの3本目の柱の構造改革も遅々として進まない現状もあります。

“約束されたような成果を上げていない”

 最近の海外のメディアや経済学者の論調を調べてみると、軒並みと言っていいほど、厳しい内容になっています。例えば『バロン』(2016年1月4日)は、「安倍首相の日本経済再興政策は過去3年間、ほとんど役に立たなかった」と切り捨てています。CNN(2015年10月5日)も、「安倍首相の計画は座礁に乗り上げているというコンセンサスが高まっている」と、海外のアベノミクスに対する考え方が変わったと報道しています。CNNはさらに安倍政権の“新政策”である名目GDP600兆円目標に関しても、「この政策によって改革が促進されることはないだろう」とクールなコメントを加えています。

 『ウォール・ストリート』(2016年2月10日)も「三本の柱の内、最初の金融政策は唯一、期待が持てるが、財政拡張は財務省の抵抗で失速し、構造改革は短期的には成果が期待できないものだ」と指摘し、もっと大胆な政策が必要だと説いています。『ワシントン・ポスト』(2016年3月5日)は「アベノミクスは今までのところ、たいした成果を上げていない」と書いています。通信社AP(2016年2月15日)も日本経済がマイナス成長になったのを受けて「大規模な金融緩和によるインフレを通して経済を再生するという安倍首相の野心的な戦略は約束されたような成果を上げていない」と厳しい見方を紹介しています。

 通信社ブルームバーグ(2015年9月10日)は、アベノミクスに好意的であったクルーグマン教授が「アベノミクスが失敗するリスクは高まっている」と、アベノミクスに対する懸念を表明したと報道しています。クルーグマン教授は2014年11月に安倍首相と会談し、消費税引き上げを延期するように語っています。同様にノーベル経済学賞経済学者ジョセフ・スティグリッツ・コロンビア大学教授も2016年3月16日に安倍首相と会談し、クルーグマン教授と同様に、消費税引き下げの延長の必要性を説いています。

 ただ、アメリカのメディアがすべてアベノミクスに批判的であるわけではありません。2015年10月6日のブルームバーグの社説は、「安倍首相が日本を新しい道筋に導いていると言っても、誇大な表現ではない」と、詳細に経済データを見れば、着実に成果がでていると前向きな評価を加えています。

“結局円安を引き起こしているだけ”

 『フィナンシャル・タイムズ』(2015年9月25日)は、「日本銀行のインフレ目標を2年以内に達成するのは不可能である」と、三本の柱である金融政策の効果に疑問を呈しています。さらに賃金の伸びが鈍く、消費回復が見られないとして、これらが「アベノミクスの失敗」を示していると指摘しています。有力週刊誌の『エコノミスト』(2015年9月26日)も、「アベノミクスが始まって以来初めて物価が下落した」とデフレ脱却を目指すアベノミクスが期待通りの成果を上げていないと分析しています。

 また、英国の大手紙『ガーディアン』(2016年2月15日)も、経済成長がマイナスに陥ったことを受けて、「経済を低迷から引き出そうという安倍首相の試みはさらに大きな打撃を受けるだろう」と書いています。国営放送のBBC(2016年2月15日)も、「黒田日銀総裁は20年に及ぶデフレを脱却するために必要なことは何でもすると語っているが、結局円安を引き起こしているだけだ」と、異次元の金融政策は日本経済の復興にはつながっていないと厳しいコメントをしています。

“日本は次の政策を打ち出せるのか”

 中国の『チャイナ・ディリー』(2016年3月14日)は、「日本内外の経済学者は、金融政策だけでは日本の潜在成長率を高めることはできないと主張している。アベノミクスの他の柱も目標に達していない」と冷めた目で評価しています。韓国の『コリア・ヘラルド』2016年3月13日)は、「もし経済政策の解決策を作り出さなければならない国があるとすれば、それは日本である。多くの専門家は1年に及ぶ低成長でアベノミクスが停滞していると語っており、多くの人々が注目しているのは、日本は次の政策を打ち出せるのか、それとも政策のアイデアは種切れになってしまったのかということである」と書いている。

 アジア問題を扱う専門誌の『ディプロマ』(2015年9月30日)は、「世界は安倍首相が最後の矢をまだ放っていないことを期待している」と題する記事の中で、「安倍首相は具体的な改革案がないため、名目GDP600兆円の新目標達成に苦慮するだろう」と厳しい見通しを書いています。

 異次元の金融緩和で円安と株高が進み、企業は賃金を引き上げ、消費需要が高まる。そして、成長戦略・構造改革で日本の潜在成長率が高まり、日本は長期低迷から脱出する ―― というアベノミクスのシナリオは、海外では疑問を持たれているようです。
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■中岡望(なかおか・のぞむ) 国際基督教大学卒、 東京銀行を経て、東洋経済新報社入社。同社編集委員。フルブライト・ジャーナリスト、ハーバード大客員研究員、ワシントン大客員教授、フリージャーナリスト、東洋英和女学院大学教授を経て現職。著書に『アメリカ保守革命』(中央公論)、『Introduction to American Politics』(IBC出版)など


by asyagi-df-2014 | 2016-04-27 06:18 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

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