原発問題-福岡高裁宮崎支部(西川知一郎裁判長)は、鹿児島地裁決定を支持し、住民側の抗告を棄却した。

 福岡高裁支部の「新基準に合理性」と川内原発の停止を認めない判断について、朝日新聞は2016年4月6日、「九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)の運転差し止めを同県などの住民が求めた仮処分申し立ての即時抗告審で、福岡高裁宮崎支部(西川知一郎裁判長)は6日、申し立てを却下した鹿児島地裁決定を支持し、住民側の抗告を棄却した。地震への備えを定めた新規制基準や原子力規制委員会の審査に『不合理な点はない』と判断した。」、と報じた。
 この判断について、次のように伝えた。


①西川裁判長は、どんなことが起きても原子炉から放射性物質が放出されることのない安全性を確保することは「現在の科学技術水準では不可能」とし、「どの程度の危険性を社会が容認するかを基準に判断するしかない」と指摘した。
②地震対策では、九電が定めた基準地震動(原発で起こりうる最大級の揺れ)について、西川裁判長は、福島第一原発事故後の新規制基準は「全体としてとらえると、極めて高度の合理性を有する」と判断。算定手法に欠陥があり、九電の想定は過小評価だとする住民側の主張を退け、九電の想定を妥当と認めた。
③原発周辺の火山の噴火リスクでは、規制委が、広範囲に壊滅的被害をもたらす破局的噴火の発生時期や規模を事前に予測できることを前提としている点について、西川裁判長は「不合理」と指摘。一方で原発の運用期間中にこうした噴火が発生する根拠はないとして、リスクを考慮するかは「政策判断に帰する」と判断した。
④住民側が避難態勢などに問題があるとしていた避難計画については、原発からの距離に応じた対応策が具体的で合理的だと原子力防災会議が了承しているなどとして、住民の人格権が侵害されるおそれがあるとは言えないと判断した。

 この日の福岡高裁支部と3月の大津地裁の決定があまりにも違ったものになった。
 このことについて、朝日新聞は、次のように評した。


 「原発の運転の可否をめぐる司法判断が真っ二つに割れている。それは、今も10万人近くが避難を余儀なくされている東京電力福島第一原発事故の現実を踏まえ、どこまでの安全性を求めるかの違いにある。
 関西電力高浜原発を止めた3月の大津地裁決定は、福島第一原発の事故原因が解明されていない中でつくられた新規制基準や、それに基づく関電の安全対策の妥当性に疑問を呈した。一方、今回の福岡高裁宮崎支部の決定は、事故原因が未解明な点を重視せず、新基準は福島の事故の反省を踏まえ、最新の科学的知見を反映させたものだと認定。新基準に基づく原子力規制委員会の審査の合理性も認めた。原発から放射性物質が放出されることのない絶対的な安全性確保は現在の科学技術水準では不可能で、それを求めることは社会通念になっていないとも判断した。」


 以下、朝日新聞の引用。







朝日新聞-川内原発、停止認めず 福岡高裁支部「新基準に合理性」-2016年4月6日16時30分


 九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)の運転差し止めを同県などの住民が求めた仮処分申し立ての即時抗告審で、福岡高裁宮崎支部(西川知一郎裁判長)は6日、申し立てを却下した鹿児島地裁決定を支持し、住民側の抗告を棄却した。地震への備えを定めた新規制基準や原子力規制委員会の審査に「不合理な点はない」と判断した。

 稼働中の原発をめぐっては大津地裁が3月、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)の運転を差し止める仮処分決定を出し、同原発は運転を停止。国内で稼働しているのは川内原発だけとなっていた。住民側は決定を不服として最高裁への特別抗告などを検討する。

 西川裁判長は、どんなことが起きても原子炉から放射性物質が放出されることのない安全性を確保することは「現在の科学技術水準では不可能」とし、「どの程度の危険性を社会が容認するかを基準に判断するしかない」と指摘した。

 地震対策では、九電が定めた基準地震動(原発で起こりうる最大級の揺れ)について、西川裁判長は、福島第一原発事故後の新規制基準は「全体としてとらえると、極めて高度の合理性を有する」と判断。算定手法に欠陥があり、九電の想定は過小評価だとする住民側の主張を退け、九電の想定を妥当と認めた。

 原発周辺の火山の噴火リスクでは、規制委が、広範囲に壊滅的被害をもたらす破局的噴火の発生時期や規模を事前に予測できることを前提としている点について、西川裁判長は「不合理」と指摘。一方で原発の運用期間中にこうした噴火が発生する根拠はないとして、リスクを考慮するかは「政策判断に帰する」と判断した。

 住民側が避難態勢などに問題があるとしていた避難計画については、原発からの距離に応じた対応策が具体的で合理的だと原子力防災会議が了承しているなどとして、住民の人格権が侵害されるおそれがあるとは言えないと判断した。(鎌田悠、張守男)
     ◇
 九州電力は6日、「安全性は確保されているとの当社のこれまでの主張が認められたものであり、妥当な決定をいただいた。今後とも安全確保に万全を期す」とのコメントを発表した。
 ■<解説>高浜と異なる司法判断
 原発の運転の可否をめぐる司法判断が真っ二つに割れている。それは、今も10万人近くが避難を余儀なくされている東京電力福島第一原発事故の現実を踏まえ、どこまでの安全性を求めるかの違いにある。

 関西電力高浜原発を止めた3月の大津地裁決定は、福島第一原発の事故原因が解明されていない中でつくられた新規制基準や、それに基づく関電の安全対策の妥当性に疑問を呈した。一方、今回の福岡高裁宮崎支部の決定は、事故原因が未解明な点を重視せず、新基準は福島の事故の反省を踏まえ、最新の科学的知見を反映させたものだと認定。新基準に基づく原子力規制委員会の審査の合理性も認めた。原発から放射性物質が放出されることのない絶対的な安全性確保は現在の科学技術水準では不可能で、それを求めることは社会通念になっていないとも判断した。(小林舞子)
 ■福岡高裁宮崎支部決定の骨子
 耐震安全性の確保に関する新規制基準の定めが不合理であるということはできず、川内原発が基準に適合するとした原子力規制委の判断が不合理だということもできない
     *
 火山の影響について、川内原発の立地が客観的にみて安全性に欠けるとはいえない
     *
 避難計画などについて問題点を指摘できるとしても、人格権に対する違法な侵害行為のおそれがあるということはできない


by asyagi-df-2014 | 2016-04-06 17:47 | 書くことから-原発 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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