沖縄-沖縄タイムス特集【誤解だらけの沖縄基地】を読む(21)。

 沖縄タイムスの特集、「誤解だらけの沖縄基地」(21)を考える。
 第21回目は、「日米地位協定 環境調査は米軍の裁量次第」について。


 日米両政府が環境補足協定の締結に実質合意したことを発表した翌日の外務省担当者の言葉。
「今まで交渉すらできない状況で、実は交渉に入れただけでも画期的。まさか簡単にいくとは誰も思っていなくて。手前みそですが、かなりの成果だと思うんですね」。
しかし、沖縄タイムスは、「汚染事故や基地返還前の環境調査で、地元自治体に基地内立ち入り調査権を認めた補足協定はこの約1年後の15年9月29日、正式締結。菅義偉官房長官は『歴史的意義』を強調した。だが実際は、県側が求めていた要望10項目で十分反映されたものは一つもない。」、と断言する。
沖縄タイムスは、このことを次の事実で実証する。


「例えば13年、キャンプ・ハンセン内の米軍HH60救難ヘリ墜落事故は、飲料用ダム近くにもかかわらず約7カ月間、米軍の許可が下りず現場調査に入れなかった。地続きに起きる汚染事故の実態がつかめない『数え切れない』(県幹部)苦い経験から、県はいつ何の調査なら許可するのか判断基準の明確化を強く求めた。」


「だが結局、協定ができても基準は曖昧なまま。県などが協定に基づく調査を申請できる前提に『米側から通報があった場合』『米軍の運用を妨げない限り』の条件も付けられ、その『通報』基準も1997年の日米合意で『実質的な汚染が生ずる相当な蓋然(がいぜん)性』がある場合などと、実質的に米軍裁量に委ねられた。」


 そして、沖縄の深刻な現実を伝える。


「締結から半年-。嘉手納基地周辺のフッ素化合物ピーホス高濃度検出、浦添市の米軍牧港補給地区の環境汚染問題。締結後に、県が調査意向を示した2事案とも『米軍の通報』はなく、協定の適用はゼロ。早くも『ハードルの高さ』(県幹部)が露呈した格好だ。」


 沖縄タイムスは、「日米地位協定 環境調査は米軍の裁量次第」について、次のように厳しく指摘する。


「沖縄・生物多様性市民ネットワークの河村雅美共同代表は『補足協定の文言に、曖昧で米軍が逃げられる部分を多く残した点に問題がある。日本政府の交渉力のなさが露呈した』と指摘する。
 『沖縄が直面してきた問題を、日本政府が日米のテーブルに上げて解決しようとしたものには見えない』として『そもそも環境面の協定が必要だった理由は、環境や公共の安全を守るため。協定レベルの原則ができても、本来の目的を守れず、一つ一つの事例で実がとれないなら意味はない』と切り捨てた。」


 沖縄県が味わらされている「『数え切れない』(県幹部)苦い経験」が、1997年の日米合意-「『実質的な汚染が生ずる相当な蓋然(がいぜん)性』がある場合などと、実質的に米軍裁量」-にあることがわかる。
 結局、問題は、沖縄が直面させられてきた問題に、日米両政府が無自覚を装ってきたことにある。


 以下、沖縄タイムスの引用。







沖縄タイムス-【誤解だらけの沖縄基地】(21)日米地位協定 環境調査は米軍の裁量次第-2016年3月20日 07:01


 「今まで交渉すらできない状況で、実は交渉に入れただけでも画期的。まさか簡単にいくとは誰も思っていなくて。手前みそですが、かなりの成果だと思うんですね」。2014年10月21日夕、霞が関の外務省会議室。沖縄から足を運んだ県幹部を前に、外務省担当者が熱弁を振るった。

 日米両政府が環境補足協定の締結に実質合意したことを発表した翌日だ。協定レベルで取り決めを追加するのは、1960年の日米地位協定の発効から初めて。運用改善で不十分な部分を継ぎ足してきた地位協定の「大きな転換点」(省幹部)とも言われた。

 不安げに質問を重ねる県幹部に、省担当者は、補足協定の実効性を疑う見方で合意発表を報じた地元紙を引き合いに出しながら畳み掛けた。「木を見て森を見ていない。協定レベルで原則を打ち立てられた。このことに意義がある」

 汚染事故や基地返還前の環境調査で、地元自治体に基地内立ち入り調査権を認めた補足協定はこの約1年後の15年9月29日、正式締結。菅義偉官房長官は「歴史的意義」を強調した。だが実際は、県側が求めていた要望10項目で十分反映されたものは一つもない。

 例えば13年、キャンプ・ハンセン内の米軍HH60救難ヘリ墜落事故は、飲料用ダム近くにもかかわらず約7カ月間、米軍の許可が下りず現場調査に入れなかった。地続きに起きる汚染事故の実態がつかめない「数え切れない」(県幹部)苦い経験から、県はいつ何の調査なら許可するのか判断基準の明確化を強く求めた。

 だが結局、協定ができても基準は曖昧なまま。県などが協定に基づく調査を申請できる前提に「米側から通報があった場合」「米軍の運用を妨げない限り」の条件も付けられ、その「通報」基準も1997年の日米合意で「実質的な汚染が生ずる相当な蓋然(がいぜん)性」がある場合などと、実質的に米軍裁量に委ねられた。

 締結から半年-。嘉手納基地周辺のフッ素化合物ピーホス高濃度検出、浦添市の米軍牧港補給地区の環境汚染問題。締結後に、県が調査意向を示した2事案とも「米軍の通報」はなく、協定の適用はゼロ。早くも「ハードルの高さ」(県幹部)が露呈した格好だ。

 沖縄・生物多様性市民ネットワークの河村雅美共同代表は「補足協定の文言に、曖昧で米軍が逃げられる部分を多く残した点に問題がある。日本政府の交渉力のなさが露呈した」と指摘する。

 「沖縄が直面してきた問題を、日本政府が日米のテーブルに上げて解決しようとしたものには見えない」として「そもそも環境面の協定が必要だった理由は、環境や公共の安全を守るため。協定レベルの原則ができても、本来の目的を守れず、一つ一つの事例で実がとれないなら意味はない」と切り捨てた。 (「沖縄基地」取材班)


by asyagi-df-2014 | 2016-03-22 06:30 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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