安倍首相靖國参拝違憲訴訟での大阪地裁の不当判決を考える。

 2016年1月28日の大阪地裁の不当判決を、「アジアネットワーク通信第13号」で高橋靖さんは伝えています。


「一月二八日(木)判決前、九時二五分からマスコミによる原告団入廷シーンの撮影。一〇時、いよいよ判決の言渡し。佐藤裁判長は「主文、原告らの請求をいずれも棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする」と主文を読み上げた後、要旨を読み上げた。」


 その判決要旨を、高橋さんは、次のように報告します。


①靖国神社の特殊性もある程度認め、首相の参拝の影響力も一定認めながらも、結局のところ、「人が神社に参拝する行為自体は、他人の信仰生活に対して圧迫、干渉を加えるような性質ではなく」そのことは「内閣総理大臣の地位にある者が靖国神社を参拝した場合においても異なるものではない」とし、よって被侵害利益はないとした二〇〇六年の最高裁判決を援用し、憲法判断から逃げ、原告の訴えを棄却しました。
②さらにたちの悪いのが、小泉首相靖国参拝違憲訴訟で違憲判決を勝ち取った原告の期待権侵害の訴えに対しては、最高裁判決は「錦の御旗」として援用しておきながら、首相の靖国参拝違憲訴訟の福岡地裁・大阪高裁の違憲判断については、「裁判所の判断は、その後の社会・経済情勢の変動や国民の権利意識の変動等によって変わることもあり得る」から「期待権が法的に保護される利益ではない」などと述べ。                                 
③あげくの果ては、安倍首相の談話をそのまま鵜呑みし「安倍首相は平和を祈念するために靖国神社を参拝した」とし、「その布教や宣伝のために参拝したものではない」と安倍首相を全面的に擁護する始末。まさに「最初に結論ありき」丸出しで、それに無理やりこじつけるために論理の矛盾もおかまいなしです。


 また、判決後の原告団及び弁護団の記者会見での失望と怒りの様子を報告します。


①小泉靖国参拝違憲訴訟で福岡地裁で違憲判決を勝ち取った木村真昭さんは、「福岡地裁では、裁判所は、原告らはこういう形でしか訴えることができなかったんだと原告の訴えをくみ取ってくれた。ところが、今日の判決は安倍首相の代弁をしている。われわれが主張した(違憲判決に対する)期待権について、裁判所は、違憲判断も社会・経済情勢によって変わるなどと言っているが、憲法とはそんなものか。せめて、司法の意地をみせてほしかった」。
②松岡さんは、「裁判所は憲法を守るところとちがうのか、と落胆した。安倍首相も平和を祈念しているというのは承服できない」、○○さん(仮名)は若者として「憲法「改正」の時代への危機感からこの訴訟に加わったが、判決では、憲法判断は社会情勢によって変わるなどと言っているが、じゃ、戦争になったら裁判所は戦争も認めるのか。たいへん憤りを感じる」。
③中島弁護士は、「裁判所は憲法判断から逃げていた。今回の判決では首相の靖国参拝が合憲になりうることまでにおわせる極めて後退的な判決だ」。                   
④加島弁護士は、「今日の裁判所は憲法判断を回避した。それは我々が考える裁判所の良心からずいぶんかけ離れている」。そして、原告団事務局の菱木さんは「自分では、(首相の靖国参拝に対して)合憲判断はできないくせに、「裁判所の判断は社会・経済情勢の変化によって変わり得るなどといいいかげんなことを述べているのには腹が立つ」と怒りを表しました。


 さらに、判決報告集会での中島弁護士からの判決の要旨の解説を報告します。


①判決では、被侵害利益はないということで、いきなり憲法判断を避けてしまっている。そうしたものだから、小泉首相靖国参拝違憲訴訟での違憲判断に対する期待権については「首相の靖国参拝違憲判断もその後の社会・経済情勢の変動により裁判所の判断が変わることもあり得る」と無理をしてしまっている。
②平和的生存権については、イラク派兵違憲訴訟名古屋高裁ではっきり権利として認められているにもかかわらず、平和のうちに生存する権利の具体的な内容は曖昧不明確であり裁判所に対して損害賠償や差止めを求めることができるとまで解することはできないとした。
③判決は、最初から結論を決めつけた上で書かれており、靖国参拝も安倍が「過去の痛切な反省に立って、二度と戦争を起こしてはならないと考えている」と言っているので、靖国神社の布教、宣伝に利用したものとは解されないとし、これまでの裁判所の判断よりずっと後ろ向けに流れていってしまっている。


 この「アジアネットワーク通信第13号」で、高橋さんは、次のように締めくくっている。


「大川弁護士は、今までの首相の靖国参拝訴訟の判決では、原告の主張するのは単なる『怒り、不快感、憤り』にすぎないとしていたが、今回はその内、『不快』しか書いていない。満身の『憤り』をもって控訴審に臨みたいと決意表明。われわれ原告団も全く同感です。今回の『最悪』の判決に対する怒りをバネに控訴審にのぞみます。いっしょにしぶとくがんばりましょう。原告以外の方も今後ともよりいっそうの支援をよろしくお願いします。 」


 この「満身の『憤り』をもって控訴審に臨みたい」という決意表明は、「安倍晋三首相の靖国神社参拝(2013年12月)は憲法の政教分離原則に反すると訴え、国内外の765人が首相と国、神社に1人1万円の慰謝料と参拝差し止めを求めた訴訟で、うち388人が9日、憲法判断に踏み込まず請求を全面的に棄却した1月28日の大阪地裁判決を不服として大阪高裁に控訴した。」(朝日新聞2016年2月9日)、という記事となった。


by asyagi-df-2014 | 2016-02-29 06:16 | 安倍首相靖国参拝違憲訴訟 | Comments(0)

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by あしゃぎの人
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