沖縄-辺野古の三つの訴訟を、沖縄タイムスから考える。

 辺野古新基地建設をめぐる状況は、二日遅れで沖縄タイムスを読む新聞読者である私自身にもより複雑になってきていて、わかりにくくなっています。
 今回は、沖縄タイムスの「イチから分かるニュース深堀り『辺野古の三つの訴訟違いは』」、「辺野古訴訟”っていくつあるの? 5分で分かる関連裁判まとめ」、をもとに、この三つの訴訟について考えます。


(1)裁判をめぐる時間の経過。
※( )は、国・県以外の訴訟
①2013年12月27日      ・仲井間沖縄県知事辺野古埋め立て承認
②(2014年1月15日)   ・辺野古・久志区民沖縄県を提訴
③2015年10月13日      ・翁長沖縄県知事埋め立て承認の取り消し
   ・行政不服審査法で国が国土交通省に訴え     
④(2015年10月20日)    ・宜野湾市民が沖縄県を提訴 
⑤2015年10月27日     ・国交省が「執行停止」を決定 
⑥2015年11月2日      ・沖縄県が国地方係争処理委員会へ審査申し出

【1】2015年11月17日    ・国が沖縄県を福岡高裁那覇支部に提訴(③に関わって)
(辺野古代執行訴訟)

⑦2015年12月24日     ・国地方係争処理委員会が却下

【2】2015年12月25日   ・沖縄県が国土交通省の執行停止は違法と那覇地裁に提                訴(⑤に関わって)
(辺野古埋め立て抗告訴訟)

【3】2016年2月1日 ・沖縄県が国土交通省の執行停止を違法と福岡高裁那覇                支部に訴える裁判(⑦に関わって)


(2)【1】【2】【3】の各訴訟の内容
①【1】の訴訟
「知事の取り消しは違法なので取り下げるよう知事に命令してほしい、と国が裁判所に求めている。裁判所が命令しても知事が従わなければ、国が代わりに取り下げられるので『代執行』と呼ばれる」
②【2】の訴訟
「国交相の執行停止は違法だと県が裁判所に訴えている。行審法は権力を持った国や県から国民の権利を救うことが目的なのに、国の機関の防衛局がその法律を利用するのは違法だと県は考えている。また防衛局と同じ国の機関の国交相が、県と防衛局の争いの間に入って、防衛局の言い分を認め、知事の取り消しの効力を止めたのは不公平で違法と訴える。『抗告訴訟』と呼ばれている」
③【3】の訴訟
「県が国交相の執行停止を違法と訴える裁判。2015年11月2日に裁判所とは別の国地方係争処理委員会(係争委)というところに審査してほしいと求めた。でも、係争委は国交相の決定がすぐに違法と分かるような状況ではないので審査できない、と県に通知していた。県は審査できないのは納得いかないと考え、裁判所に訴えた」
 (3)【2】と【3】の裁判の違い
①【2】の裁判は、「抗告訴訟では、執行停止が違法かどうかを判断するまでの間、辺野古の埋め立て工事が進んでしまうので、いったん執行停止の効力を止めてほしい、と求めている点に意味がある、と県は考えている。少しでも早く工事を止める狙いがある」。
②【3】の裁判は、「こちらも執行停止は違法なので取り消してほしいと求めていることは一緒。ただ抗告訴訟に比べ、判決が早いとみられ、埋め立て工事を何としても止めるには、いろんな手段を使う必要があるとみている」。
(4)国と県の間の横たわる根本的な問題
 「辺野古の新基地を造りたい国と、造らせたくない翁長知事の姿勢は変わらない」という構図。


 以下、沖縄タイムスの引用。







沖縄タイムス-[Q&A]国と沖縄県が争う 3つの辺野古訴訟の違いは?-2016年2月7日 09:33


 -翁長雄志知事が1日、国を訴える裁判を始めたよね。昨年から同じようなことが続いている気がするけど、どうなってるの。

 「きっかけから考えてみよう。沖縄防衛局が名護市辺野古の海を埋め立て、普天間飛行場に代わる新しい飛行場施設を造る計画がある。翁長知事はそれに反対しているよね。2013年12月に仲井真弘多(ひろかず)前知事が『法律の通りなので埋め立てていいよ』と承認した。翁長知事は昨年10月に『調べてみたら法律の通りではなかった』と承認を取り消したんだ」

 -それで。

 「防衛局は承認がないと海を埋め立てられない。米国との約束を守れずに困るので、行政不服審査法(行審法)という法律で、知事の取り消しは法律を守っていない、違法だ、と埋め立ての法律を担当する国土交通相に訴えた。国交相は知事の取り消しはおかしいと判断して、いったん効力を止める『執行停止』を決定した。防衛局は中断していた埋め立て工事を再び進めている」

 -なぜ裁判なの。

 「国と県はともに自分たちが正しいと言っている。だからどっちが正しいかを裁判所に判断してもらう必要がある」

 -裁判は三つあるよね。

 「一つ目は、知事の取り消しは違法なので取り下げるよう知事に命令してほしい、と国が裁判所に求めている。裁判所が命令しても知事が従わなければ、国が代わりに取り下げられるので『代執行』と呼ばれる」

 -二つ目は。

 「国交相の執行停止は違法だと県が裁判所に訴えている。行審法は権力を持った国や県から国民の権利を救うことが目的なのに、国の機関の防衛局がその法律を利用するのは違法だと県は考えている。また防衛局と同じ国の機関の国交相が、県と防衛局の争いの間に入って、防衛局の言い分を認め、知事の取り消しの効力を止めたのは不公平で違法と訴える。『抗告訴訟』と呼ばれている」

 -三つ目は。

 「これも県が国交相の執行停止を違法と訴える裁判。昨年11月に裁判所とは別の国地方係争処理委員会(係争委)というところに審査してほしいと求めた。でも、係争委は国交相の決定がすぐに違法と分かるような状況ではないので審査できない、と県に通知していた。県は審査できないのは納得いかないと考え、裁判所に訴えたんだ」

 -裁判は、今どうなっているの。

 「代執行訴訟は裁判所で国と県の言い分を聞く『口頭弁論』が3回目まで終わった。代執行は、国が県の権限を取り上げる問答無用のやり方なので、他に方法がない場合に限って認められている」

 「国は翁長知事が埋め立てに徹底的に反対しているから、代執行の他に方法はないと説明。県は他に方法があり、国は法律に書かれていることを満たしていないのに、代執行の手続きを始めた、と争っている」

 -今後はどうなるの。

 「15日に翁長知事、29日に稲嶺進名護市長が裁判所で質問に答え、自分の気持ちや意見を言う予定。また裁判所が、争うのを止めませんか、と『和解案』を示したのも注目されている。互いに譲り合い、受け入れなければ和解は成立しない」

 -県が国を訴えた二つの裁判は同じような内容で分かりづらい。

 「抗告訴訟では、執行停止が違法かどうかを判断するまでの間、辺野古の埋め立て工事が進んでしまうので、いったん執行停止の効力を止めてほしい、と求めている点に意味がある、と県は考えている。少しでも早く工事を止める狙いがあるんだ」

 -三つ目の訴訟は。

 「こちらも執行停止は違法なので取り消してほしいと求めていることは一緒。ただ抗告訴訟に比べ、判決が早いとみられ、埋め立て工事を何としても止めるには、いろんな手段を使う必要があるとみている」

 -裁判で決着するの。

 「知事の取り消しや国交相の執行停止が違法かどうかが分かるかもしれない。でも辺野古の新基地を造りたい国と、造らせたくない翁長知事の姿勢は変わらず、対立は続く。裁判ではなく、政治で決着できないだろうか、という声が聞こえているよ」
(政経部・福元大輔)


沖縄タイムス-辺野古訴訟”っていくつあるの? 5分で分かる関連裁判まとめ-2015年12月25日 19:57


 米軍普天間飛行場移設に伴う沖縄県名護市辺野古への新基地建設をめぐって、沖縄県は25日、埋め立て承認取り消しの執行を停止した石井啓一国交相の決定を違法として、国を提訴しました。一方で、国が県を訴えた「辺野古代執行訴訟」も続いています。二つの裁判が同時に進行する異例の事態となっています。

 国と県でもつれにもつれている辺野古新基地建設問題。これまでの流れを端的に振り返り、現在進行中の辺野古関連訴訟について分かりやすくまとめてみました。(沖縄タイムス+プラス編集部)
■2015年12月25日現在、辺野古関連訴訟まとめ
 ※訴訟が複数あるため、訴訟名をこちらで付けています
<仲井真氏の埋め立て承認を取り消したい>

(1)辺野古埋め立て承認取り消し訴訟
 2014年1月15日、辺野古・久志区民らが沖縄県を提訴。那覇地裁
 2013年12月27日、仲井真弘多前知事が辺野古の埋め立てを承認しました。埋め立てに反対する名護市の辺野古区と久志区の近隣住民6人を含む126人が、埋め立て承認を取り消すよう、沖縄県を提訴しました。2015年12月25日現在も訴訟は続いています。
<承認を取り消したのに、工事を続ける国の決定を覆したい>
(2)辺野古埋め立て抗告訴訟
 2015年12月25日、沖縄県が国を提訴した訴訟。那覇地裁
 沖縄県は国交省が取り消しの効力がないと決めたのは違法だとして、国を訴えました。
(3)辺野古住民抗告訴訟
 2015年12月24日、辺野古住民らが国を提訴した訴訟。那覇地裁
 辺野古周辺の住民ら21人は、石井啓一国土交通相が翁長知事の埋め立て承認取り消し処分の執行停止を決定したことは違法などとして、国を提訴しました。判決が出るまで国交相の決定の効力を停止することも合わせて申し立てています。
<翁長知事の埋め立て承認取り消しを撤回させたい>
(4)辺野古代執行訴訟
 2015年11月17日、国が沖縄県を提訴した訴訟。福岡高裁那覇支部
 石井啓一国土交通相が、翁長雄志知事の埋め立て承認取り消しは違法だとして、知事を提訴しました。国交相が勝訴すれば、翁長氏の承認取り消しを撤回することができます。
 2016年1月8日に第2回、1月29日に第3回の口頭弁論が開かれる予定です。
(5)承認取り消し無効確認訴訟
 2015年10月20日、宜野湾市民が沖縄県を提訴した訴訟。那覇地裁
 米軍普天間飛行場周辺に住む宜野湾市民が、沖縄県を提訴しました。翁長雄志知事が埋め立て承認を取り消したことで、飛行場が固定化してしまうため、住民の生存権が脅かされているとしています。市民らは、承認の取り消しを無効にするように求めています。
■仲井真弘多前知事が辺野古埋め立てを承認
 2013年12月27日、仲井真弘多知事(当時)が辺野古の埋め立てを承認しました。これは、国に辺野古の海を埋め立ててもいいですよ、という許可を与えたものです。仲井真氏は「普天間飛行場の県外移設」という公約を翻したため、県民からは反発の声が上がりました。
 そこで、埋め立てに反対する辺野古・久志区の住民6人を含む126人は、埋め立て承認を取り消すよう、沖縄県を提訴しました。これが(1)「辺野古埋め立て承認取り消し訴訟」です。2015年12月25日現在も訴訟は続いています。
<現在はどうなってるの?>
原告住民と被告の県が同じ主張? 辺野古取り消し訴訟
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=146467
■仲井真氏を破った翁長知事が承認取り消す
 2014年11月16日、沖縄県知事選挙で仲井真氏に10万票の大差をつけて当選したのが、翁長雄志知事です。「あらゆる手段を尽くして新基地は造らせない」ことを公約に掲げました。就任後は、米国で新基地建設反対を直接伝え、国連演説なども行い、沖縄の過重な基地負担を国内外に訴えてきました。
 政府とは2015年8月から9月にかけて、辺野古でのすべての作業を止めて集中協議を5回重ねましたが、決裂。
 埋め立て承認に瑕疵(かし)があったとする第三者委員会の報告を基に、翁長知事は10月13日、埋め立て承認を取り消しました。
■知事の承認取り消し、国が効力なくす
 翁長知事が埋め立て承認を取り消したため、政府は2つの対抗措置を取りました。1つは承認取り消しの効力をなくすこと、もう1つは知事の代わりに取り消しを撤回する「代執行」手続きです。 
 まずは、取り消しの効力をなくすことをめぐる訴訟のいきさつです。
 翁長知事が埋め立て承認を取り消したため、辺野古の工事ができなくなった沖縄防衛局は10月14日、「不利益を受けた」と国交相に申し立てました。そして10月27日、国交相は、沖縄防衛局の主張を認め、翁長知事が埋め立て承認を取り消したことには効力がないと決定。辺野古の工事は再開されました。
 一方で、沖縄県は、国交相の決定は違法ではないかと、第三者機関の「国地方係争処理委員会」に審査を申し出ました。会合は3回開かれましたが、2015年12月24日、係争処理委員会は翁長知事の申し出を「不適法」と判断し、審査をせずに却下しました。今後、沖縄県は、この決定を不服とし、高等裁判所に提訴する可能性があります。
 この提訴とは別に、沖縄県は2015年12月25日、国交省が取り消しの効力がないと決めたのは違法だとして、国を訴えました。これが(2)「辺野古埋め立て抗告訴訟」です。
 前日の12月24日には、辺野古周辺の住民ら21人も、国交相が取り消しの効力がないと決めたことは違法などとして、国を提訴。これが(3)「辺野古住民抗告訴訟」です。判決が出るまでの間、国交相の決定の効力を停止することも合わせて申し立てています。
■国が沖縄県を提訴
 国の対抗措置の2つ目、知事の代わりに取り消しを撤回する「代執行」手続きをめぐる訴訟のいきさつです。
 2015年11月17日、石井啓一国土交通相は、翁長知事が埋め立て承認を取り消したのは違法として、知事を提訴しました。これが(4)「辺野古代執行訴訟」です。 
 代執行とは、国が事務を県に委ねた「法定受託事務」について、知事の執行に違法性があったり、著しく公益を害してしまったりした場合に、担当大臣が知事に代わって事務手続きをすることができます。
 国交相は、取り消しの是正の勧告や指示を出しましたが、翁長知事は応じませんでした。従わない場合は、高等裁判所に提訴し、裁判で国が勝てば代執行ができます。
 つまり、国交相が翁長知事の承認取り消しを撤回することができるのです。
 代執行訴訟は、2016年1月8日に第2回、1月29日に第3回の口頭弁論が開かれる予定です。
 米軍普天間飛行場周辺の住民12人も2015年10月20日、翁長知事の承認取り消しを無効にすることを求めて沖縄県を提訴しました。これが(5)「承認取り消し無効確認訴訟」です。飛行場が固定化されてしまい、住民の生存権が脅かされているとしています。一方で、沖縄県側は、却下を求めています。


by asyagi-df-2014 | 2016-02-13 06:14 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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