沖縄-沖縄タイムス特集【誤解だらけの沖縄基地】を読む(5)。
2016年 01月 21日
沖縄タイムスの特集、「誤解だらけの沖縄基地」(5)を考える。
第5回目は、「辺野古の飛行場は『新基地』なのか?」ということについて。
沖縄タイムスは、このことの問題点は、「政府が辺野古に建設を進めるV字形滑走路の飛行場施設は、立場によって呼称が異なる。容認する側は普天間飛行場返還に伴う『代わりの施設』、反対する側は『新基地』だ。」、ということにあると説明する。
安倍晋三政権の説明は、次のものである。
①既存のキャンプ・シュワブ陸上部と沿岸部160ヘクタールを埋め立てた土地に建設するため、普天間の480ヘクタールに比べ、面積では実質320ヘクタールの縮小になる。②滑走路は2700メートルから1800メートルに短縮。普天間で担ってきた三つの機能のうち空中給油機はすでに山口県の岩国基地へ移転、緊急時の外来機受け入れは本土移転が決まっており、オスプレイやヘリの部隊運用だけにとどまる。
③シュワブ周辺に民家はなく、住宅防音工事助成事業の対象は普天間周辺の1万世帯から辺野古ではゼロ世帯になり、騒音被害は軽減される。
したがって、安倍晋三政権の見解は、「面積や機能が小さくなることから『新基地ではない』、とする。
また、このことに加えて、「インターネット上でも『既存基地に移すだけ』といった言説が目立つ。」、と伝える。
一方、沖縄県側の主張は、次のものである。
①大浦湾側に整備予定の係船機能付き護岸。全長271・8メートルで、オスプレイ搭載可能の強襲揚陸艦が接岸できる「軍港」ではないか、と指摘がある。
②それとは別に、タンカーの接岸できる燃料桟橋も設ける。
③弾薬搭載エリアも普天間にはない機能。現在のようにミサイルや銃弾を積み込むため、空軍嘉手納基地に移動する必要がなくなる。
④陸上自衛隊航空部隊の元操縦士は「地上部隊、弾薬、航空機、艦船を1カ所で集積できるなら、平時でも有事でも使い勝手は良くなる」と評価。もともとの撤去可能な海上ヘリポート案や使用期限付きの飛行場に比べ、「恒久的な基地になるのは間違いない」と語る。⑤米海兵隊は1966年に辺野古の海を埋め立て、滑走路2本を造る計画を持っていた。海軍は大浦湾に空母の入港できる軍港を建設する方針だった。
この理由から、政府が辺野古に建設を進めるV字形滑走路の飛行場施設は、沖縄県側にとっては、新基地建設ということになる。
したがって、「稲嶺進名護市長は『辺野古の海にも陸にも新たな基地は造らせない』」、「翁長雄志知事は『新基地建設阻止を県政運営の柱にする』、という対応にならざるをえないのである。
沖縄タイムスは、最後にこのように指摘する。
「米軍資料をめくり、『新基地問題』を調査してきた建築家の真喜志好一さんは『米軍の安全基準に合わない普天間を返す名目で60年代に見送った計画がよみがえった』と批判。沖縄戦で奪った土地に『本土爆撃用」として造った普天間飛行場と違い、現在の米海兵隊の求める機能をそろえた『全くの新しい基地だ』と政府の見解を否定した。」
辺野古新基地建設は、「全くの新しい基地」の建設、と捉えて初めて、「悪魔の島」を克服しようとする沖縄の強い意志が見えてくる。
以下、沖縄タイムスの引用。
沖縄タイムス-【誤解だらけの沖縄基地】(5)辺野古の飛行場は「新基地」なのか?-2016年1月18日 07:01
政府が辺野古に建設を進めるV字形滑走路の飛行場施設は、立場によって呼称が異なる。容認する側は普天間飛行場返還に伴う「代わりの施設」、反対する側は「新基地」だ。
政府はこう説明する。
既存のキャンプ・シュワブ陸上部と沿岸部160ヘクタールを埋め立てた土地に建設するため、普天間の480ヘクタールに比べ、面積では実質320ヘクタールの縮小になる。
滑走路は2700メートルから1800メートルに短縮。普天間で担ってきた三つの機能のうち空中給油機はすでに山口県の岩国基地へ移転、緊急時の外来機受け入れは本土移転が決まっており、オスプレイやヘリの部隊運用だけにとどまる。
シュワブ周辺に民家はなく、住宅防音工事助成事業の対象は普天間周辺の1万世帯から辺野古ではゼロ世帯になり、騒音被害は軽減される。
菅義偉官房長官らは面積や機能が小さくなることから「新基地ではない」と強調。インターネット上でも「既存基地に移すだけ」といった言説が目立つ。
反対する側の稲嶺進名護市長は「辺野古の海にも陸にも新たな基地は造らせない」、翁長雄志知事は「新基地建設阻止を県政運営の柱にする」など「新基地」と位置付ける。
理由は、現状の普天間にない新たな機能がいくつも加わるからだ。
大浦湾側に整備予定の係船機能付き護岸。全長271・8メートルで、オスプレイ搭載可能の強襲揚陸艦が接岸できる「軍港」ではないか、と指摘がある。それとは別に、タンカーの接岸できる燃料桟橋も設ける。
弾薬搭載エリアも普天間にはない機能。現在のようにミサイルや銃弾を積み込むため、空軍嘉手納基地に移動する必要がなくなる。
陸上自衛隊航空部隊の元操縦士は「地上部隊、弾薬、航空機、艦船を1カ所で集積できるなら、平時でも有事でも使い勝手は良くなる」と評価。もともとの撤去可能な海上ヘリポート案や使用期限付きの飛行場に比べ、「恒久的な基地になるのは間違いない」と語る。
米海兵隊は1966年に辺野古の海を埋め立て、滑走路2本を造る計画を持っていた。海軍は大浦湾に空母の入港できる軍港を建設する方針だった。
米軍資料をめくり、「新基地問題」を調査してきた建築家の真喜志好一さんは「米軍の安全基準に合わない普天間を返す名目で60年代に見送った計画がよみがえった」と批判。沖縄戦で奪った土地に「本土爆撃用」として造った普天間飛行場と違い、現在の米海兵隊の求める機能をそろえた「全くの新しい基地だ」と政府の見解を否定した。(「沖縄基地」取材班)