マイナンバーの「通知カード」の約1割が未配達というマイナンバ-制度を考える。

 「通知カ-ド」の未配達について、朝日新聞聞は2015年1月5日、「今月から行政機関で利用が始まったマイナンバー(社会保障・税番号)の『通知カード』について、日本郵便は4日、全体の約1割にあたる558万世帯分を発行元の市区町村に返したと発表した。配達時に不在だったり、実際に住んでいなかったりして手渡しできなかったカードだ。」、と報じた。


 マイナンバ-制度の始まりは、「通知カ-ド」の送付の技術的問題ではなく、個人がそれを確実に確認することから始まる、はずである。
 しかし、この実態は、この制度の「利用できなさ」を露呈するものでしかない。
 琉球新報は、2015年1月5日の社説で、「制度の必要性に対する疑念は膨らむばかりだ。」と指摘し「マイナンバー開始 壮大な無駄としか思えない」、と掲げた。
 また、「制度自体、必要なのか。問われるべきはまさにその点だ。」、と疑問を投げかけた。
 この社説で、琉球新報は次のようにまとめた。

(心配な状況))
①日本世論調査会の全国世論調査で、マイナンバー制度に不安を感じる人は78%の高さに達した。年金情報の大量流出もあり、多くの人が不安を感じるのも当然だ。
②配達できず市区町村に保管が移った個人番号の通知カードは558万通に及ぶ。3カ月保管した後は破棄される可能性もある。一部地域ではカード未作成も発覚したが、破棄が始まれば混乱に拍車が掛かるのは火を見るより明らかだ。
③住民基本台帳カードは使い勝手の悪さから普及が進まず、普及率はわずか5%だった。その二の舞いとなるのではないか。
(疑問点)
①個人番号カードは申請すれば無料で交付するというが、「取得したいと思わない」も65%に及ぶ。制度の運用は今月始まったが、国民がこの制度を求めていないのは歴然としている。政府はいったん運用を止め、制度の必要性も含めてもう一度国民的議論を深めるべきだ。
②マイナンバー法を提案した時点で、政府はこの制度に必要なシステム構築・改修費を2700億円と見込んでいた。それも制度の範囲を社会保障と税などに限った上での数字だ。安倍晋三首相は「(将来は)戸籍、パスポート、証券分野への拡大を目指す」と述べたし、銀行のキャッシュカードやクレジットカードとして使えるようにする構想もある。民間も含めれば必要額は兆の単位となろう。これほど莫大(ばくだい)な費用を投じてまで進める必要があるのか。壮大な無駄としか思えない。
③しかも範囲の拡大は情報漏れのリスクと背中合わせである。換金性を帯びるとなると、よからぬ輩(やから)が血眼になるのは必至だ。米国では番号の不正取得による「成り済まし」犯罪の損害額は年間約6兆円に達する。現代ではプライバシーは「覆水盆に返らず」である。ひとたびネット上に流出すれば、永久にサイバー空間を個人情報が漂うのだ。この制度は費用対効果という次元にとどまらず、危険過ぎるのである。
(主張)
 利点と危険性が一体なのがこの制度の特徴だ。つまり、個人番号の利点を感じさせようと適用範囲を拡大すれば、情報漏れのリスクも飛躍的に増大するのである。それなら制度自体、必要なのか。問われるべきはまさにその点だ。


 何度でも問わなければならない。
「制度自体、必要なのか。問われるべきはまさにその点だ。」、ということを。


 以下、朝日新聞及び琉球新報の引用。







朝日新聞-マイナンバー通知、未配達は558万世帯分 全体の1割-2016年1月5日06時45分


 今月から行政機関で利用が始まったマイナンバー(社会保障・税番号)の「通知カード」について、日本郵便は4日、全体の約1割にあたる558万世帯分を発行元の市区町村に返したと発表した。配達時に不在だったり、実際に住んでいなかったりして手渡しできなかったカードだ。

 3日時点では、昨年10月5日時点の配達対象者のうち、市区町村への返却分と、通知カードの印刷漏れがあった大阪市内の一部(381人分)を除き、配達は完了したという。

 市区町村はカードを早めに取りに来るよう住民に呼びかけているが、通知カードが手元になくても、マイナンバーが記された住民票の発行などで対応できるため、総務省は「制度全体に支障はない」としている。

 市区町村は少なくとも3カ月間、通知カードを保管する。世帯の誰かが市区町村の窓口に行けば、世帯全員分を受け取れる。日本郵便は昨年10月下旬から、計5684万通の通知カードを簡易書留で配ってきた。



琉球新報社説-マイナンバー開始 壮大な無駄としか思えない-2016年1月5日


 制度の必要性に対する疑念は膨らむばかりだ。国内に住む全ての人に番号を割り当てるマイナンバー制度のことである。

 日本世論調査会の全国世論調査で、マイナンバー制度に不安を感じる人は78%の高さに達した。年金情報の大量流出もあり、多くの人が不安を感じるのも当然だ。
 個人番号カードは申請すれば無料で交付するというが、「取得したいと思わない」も65%に及ぶ。制度の運用は今月始まったが、国民がこの制度を求めていないのは歴然としている。政府はいったん運用を止め、制度の必要性も含めてもう一度国民的議論を深めるべきだ。
 配達できず市区町村に保管が移った個人番号の通知カードは558万通に及ぶ。3カ月保管した後は破棄される可能性もある。一部地域ではカード未作成も発覚したが、破棄が始まれば混乱に拍車が掛かるのは火を見るより明らかだ。
 住民基本台帳カードは使い勝手の悪さから普及が進まず、普及率はわずか5%だった。その二の舞いとなるのではないか。
 マイナンバー法を提案した時点で、政府はこの制度に必要なシステム構築・改修費を2700億円と見込んでいた。それも制度の範囲を社会保障と税などに限った上での数字だ。安倍晋三首相は「(将来は)戸籍、パスポート、証券分野への拡大を目指す」と述べたし、銀行のキャッシュカードやクレジットカードとして使えるようにする構想もある。民間も含めれば必要額は兆の単位となろう。これほど莫大(ばくだい)な費用を投じてまで進める必要があるのか。壮大な無駄としか思えない。
 しかも範囲の拡大は情報漏れのリスクと背中合わせである。換金性を帯びるとなると、よからぬ輩(やから)が血眼になるのは必至だ。米国では番号の不正取得による「成り済まし」犯罪の損害額は年間約6兆円に達する。現代ではプライバシーは「覆水盆に返らず」である。ひとたびネット上に流出すれば、永久にサイバー空間を個人情報が漂うのだ。この制度は費用対効果という次元にとどまらず、危険過ぎるのである。
 利点と危険性が一体なのがこの制度の特徴だ。つまり、個人番号の利点を感じさせようと適用範囲を拡大すれば、情報漏れのリスクも飛躍的に増大するのである。それなら制度自体、必要なのか。問われるべきはまさにその点だ。


by asyagi-df-2014 | 2016-01-05 15:01 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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