日本軍「慰安婦」問題、「慰安婦問題日韓で合意。」を考える。(2)

 この合意に関しての「少女像の移転」について、「日本政府関係者はこう語る。『韓国がこれからかく汗の量は半端ではない』」との朝日新聞の記事は、どう考えても筋違いである。
 当然、次のような記事に繋がることは明白ではないか。
 朝日新聞は2015年12月30日、「日韓両政府が慰安婦問題を決着させるとした合意について、元慰安婦を支援する日本国内の団体でつくる『日本軍『慰安婦』問題解決全国行動』は29日、『被害者不在の『妥結』は『解決』ではない』とする声明を発表した。声明は、政府間協議が『被害者不在』と批判。『日本政府が責任を認めたことは被害者と市民運動が勝ち取った成果』とする一方、少女像の移転について『勝手な【合意】は被害者を再び冒瀆(ぼうとく)する』と反発した。
 さらに安倍晋三首相の『おわびと反省』をめぐり、首相が朴槿恵(パククネ)大統領との電話で表明したことに対し、『被害者が謝罪と受け止めることができる形で、改めて首相自身が公式に表明する』よう求めた。この団体など各国の元慰安婦や支援団体は昨年6月に『解決策』をまとめ、日本政府に提出している。」、と報じた。
 また、「戦後補償や在日コリアンの問題にかかわってきた弁護士ら37人も30日、声明をまとめた。日本政府に対し『加害に具体的に言及し、責任を認め誠実に謝罪し、謝罪の証しとして賠償などの具体的措置を実施する』ことを求めた。」、と続けた。

 
 「被害者不在の『妥結』は『解決』ではない」と主張する日本軍「慰安婦」問題解決全国行動の声明で触れられている「日本政府への要求」は次のものである


① 総理大臣のお詫びと反省は、外相が代読、あるいは大統領に電話でお詫びするといった形ではなく、被害者が謝罪と受け止めることができる形で、改めて首相自身が公式に表明すること。
② 日本国の責任や河野談話で認めた事実に反する発言を公人がした場合に、これに断固として反駁し、ヘイトスピーチに対しても断固とした態度をとること。
③ 名誉と尊厳の回復、心の傷を癒やすための事業には、被害者が何よりも求めている日本政府保有資料の全面公開、国内外でのさらなる資料調査、国内外の被害者および関係者へのヒヤリングを含む真相究明、および義務教育課程の教科書への記述を含む学校及び一般での教育を含めること。
④ アジア・太平洋各地の被害者に対しても、国家の責任を認めて同様の措置をとること。


 今回の『合意』を受けての「現状の中で、今回の『合意』の重さをを考える時、東京新聞の『従軍慰安婦問題で合意【妥結】の重さ』という意味が、現在の状況の中で、この『合意』を判断する上で、重要になってくると考えざるを得ないのではないか。」という自分自身の判断は、「日本政府は、ようやく国家の責任を認めた。安倍政権がこれを認めたことは、四半世紀もの間、屈することなくたたかって来た日本軍「慰安婦」被害者と市民運動が勝ち取った成果である。」(日本軍「慰安婦」問題解決全国行動の声明)ということに重きを置く状況判断に寄りかかっていることは間違いない。
 確かに、安倍晋三政権の動きに容易に踊らされていることへの反省はしなければならない。
 ただ、この妥結に意味をもたせていくことは重要なのではないかと思いはある。
 だとすれば、このためには、日本政府に前回のものに加えて、次のことを要求し、実現させなければならない。


① 総理大臣のお詫びと反省は、外相が代読、あるいは大統領に電話でお詫びするといった形ではなく、被害者が謝罪と受け止めることができる形で、改めて首相自身が公式に表明すること。
②日本側で出版されている大日本帝国軍従軍慰安婦制度を史実否定や歴史修正や韓国ヘイトや女性蔑視の立場から扱っている歴史修正出版物について、「それらは日本政府の立場とは相いれず、日本政府はそれらの出版物を史実として認めない」と公式に表明すること。
③日本の政治家、政府高官、政府関係者から、大日本帝国軍従軍慰安婦制度について、史実否定や歴史修正や韓国ヘイトや女性蔑視の立場から蒸し返す発言が出たら、「それは日本政府の立場とは相いれない」と首相自らコメントし、そのような発言をした者の政府内での職を解くこと。
④名誉と尊厳の回復、心の傷を癒やすための事業には、被害者が何よりも求めている日本政府保有資料の全面公開、国内外でのさらなる資料調査、国内外の被害者および関係者へのヒヤリングを含む真相究明、および義務教育課程の教科書への記述を含む学校及び一般での教育を含めること。
⑤アジア・太平洋各地の被害者に対しても、国家の責任を認めて同様の措置をとること。


 以下、朝日新聞の引用。







朝日新聞-日本の10億円拠出「少女像移転が前提」 慰安婦問題-2015年12月30日05時03分


 「合意されたことは、しっかりフォローアップしないと」。安倍晋三首相は日韓両国が慰安婦問題で合意した翌29日、滞在先の東京都内のホテルで帰国報告した岸田文雄外相にこう告げた。首相の念頭には、ソウルの日本大使館前にある「少女像」の移転問題があったと見られる。

 首相は、岸田氏に24日、年内訪韓を指示した直後、自民党の派閥領袖(りょうしゅう)と電話した。少女像の移転問題について、「そこはもちろんやらせなければなりません。大丈夫です」と語ったという。

 少女像は、元慰安婦の支援団体「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会」(挺対協)が2011年に日本大使館前に設置。以来、日韓の対立点となってきた。日本は国内世論を悪化させるなどとして移転を求めたが、韓国は「像は民間が設置したもの」と譲らなかった。

 首相が少女像の問題にこだわったのは、自らの支持層の保守派への配慮からだ。「これができないと自分も厳しい。支持者がもたない」との思いがあった。

 少女像の交渉はもつれた。韓国にとっても挺対協の説得が難しいからだ。日本は、韓国が設立する財団に10億円を拠出する条件として、少女像の移転を主張。韓国から像をめぐる内諾を得たと判断し、合意の決め手になった。複数の日本政府関係者によると、少女像を移転することが財団への拠出の前提になっていることは、韓国と内々に確認しているという。

 外相会談後、韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外相は記者会見で少女像の移転について「関連団体と話し合いを行い、適切なかたちで解決するよう努力する」と明言。だが、挺対協は「韓国政府が移転に介入することはありえない」と表明している。

 日本政府関係者はこう語る。「韓国がこれからかく汗の量は半端ではない」(武田肇)


朝日新聞-日本の元慰安婦支援団体が批判声明 日韓両政府合意-2015年12月30日17時57分


 日韓両政府が慰安婦問題を決着させるとした合意について、元慰安婦を支援する日本国内の団体でつくる「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動」は29日、「被害者不在の『妥結』は『解決』ではない」とする声明を発表した。

 声明は、政府間協議が「被害者不在」と批判。「日本政府が責任を認めたことは被害者と市民運動が勝ち取った成果」とする一方、少女像の移転について「勝手な『合意』は被害者を再び冒瀆(ぼうとく)する」と反発した。

 さらに安倍晋三首相の「おわびと反省」をめぐり、首相が朴槿恵(パククネ)大統領との電話で表明したことに対し、「被害者が謝罪と受け止めることができる形で、改めて首相自身が公式に表明する」よう求めた。

 この団体など各国の元慰安婦や支援団体は昨年6月に「解決策」をまとめ、日本政府に提出している。

 また、戦後補償や在日コリアンの問題にかかわってきた弁護士ら37人も30日、声明をまとめた。日本政府に対し「加害に具体的に言及し、責任を認め誠実に謝罪し、謝罪の証しとして賠償などの具体的措置を実施する」ことを求めた。(編集委員・北野隆一)


日韓外相会談に対する日本軍「慰安婦」問題解決全国行動声明


被害者不在の「妥結」は「解決」ではない


12月28日、日韓外相は日本軍「慰安婦」問題について会談し、共同記者会見を開いた。その内容についての評価は、本来、被害者がどう受け止めたかによって判断されるべきであるが、私たちは昨年来、政府に、各国の被害者と支援者が集まった「アジア連帯会議」で採択した、解決のための「日本政府への提言」を提案し、日本軍「慰安婦」問題解決のために取り組んできた団体として、日韓外相会談の結果について以下のようにコメントする。

1, 今回の協議は終始一貫、被害者不在で進められた。それが本日の結果に如実に表れており、「最終的な解決」にするには、被害者にとってあまりにも課題の多いものとなった。とりわけ安全保障政策を重視する米国の圧力のもとで日韓政府が政治的に妥結し、最終的合意としてしまったことは、50年前の日韓基本条約の制定過程を彷彿とさせ、東アジアが現在もなお、米国の支配下にあることを痛感させるできごとであった。

2, 日本政府は、ようやく国家の責任を認めた。安倍政権がこれを認めたことは、四半世紀もの間、屈することなくたたかって来た日本軍「慰安婦」被害者と市民運動が勝ち取った成果である。しかし、責任を認めるには、どのような事実を認定しているのかが重要である。それは即ち「提言」に示した①軍が『慰安所』制度を立案、設置、管理、統制した主体であること、②女性たちが意に反して「慰安婦」にされ、慰安所で強制的な状況におかれたこと、③当時の国際法・国内法に違反した重大な人権侵害であったことを認めなければならないということだ。「軍の関与」を認めるにとどまった今回の発表では、被害者を納得させることはできないであろう。

3, 韓国外相は「平和の碑」(少女像)について、「適切に解決されるよう努力する」と述べた。日本政府が、被害者の気持ちを逆なでする要求を韓国政府に突き付けた結果である。このような勝手な「合意」は、被害者を再び冒涜するものに他ならない。

4,さらに、教育や記憶の継承の措置についてはまったく触れず、国際社会において互いに批判・非難を控えると表明したことは、日韓両国が日本軍「慰安婦」問題を女性の人権問題として捉えていないことの証左であるとともに、被害者の名誉や尊厳の回復に反する発言であり、とうてい認めることはできない。

5, この問題が「最終的かつ不可逆的に解決される」かどうかは、ひとえに今後の日本政府の対応にかかっている。問題が解決されず、蒸し返されてきたのは、被害者が納得できる措置を日本政府がとらず、安倍政権が「河野談話」の見直しを図るなど、政府として歴史の事実を否定する発言を繰り返してきたためであることを認識しなければならない。

6, 日本政府は、被害者不在の政府間の妥結では問題が解決しないことを認識し、以下のような措置をとらなければならない。
① 総理大臣のお詫びと反省は、外相が代読、あるいは大統領に電話でお詫びするといった形ではなく、被害者が謝罪と受け止めることができる形で、改めて首相自身が公式に表明すること。
② 日本国の責任や河野談話で認めた事実に反する発言を公人がした場合に、これに断固として反駁し、ヘイトスピーチに対しても断固とした態度をとること。
③ 名誉と尊厳の回復、心の傷を癒やすための事業には、被害者が何よりも求めている日本政府保有資料の全面公開、国内外でのさらなる資料調査、国内外の被害者および関係者へのヒヤリングを含む真相究明、および義務教育課程の教科書への記述を含む学校及び一般での教育を含めること。
④ アジア・太平洋各地の被害者に対しても、国家の責任を認めて同様の措置をとること。

2015年12月29日
日本軍「慰安婦」問題解決全国行動
共同代表 梁澄子 渡辺美奈


by asyagi-df-2014 | 2015-12-31 10:18 | 侵略戦争・戦後処理 | Comments(0)

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