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水俣-熊本県は、環境省が昨年3月に審査基準の新たな運用指針を通知して以来、初めて、1人を水俣病患者と認定。

 標題について、熊本日日新聞は、2015年12月2日、「県は2日、公害健康被害補償法に基づき県水俣病認定審査会が審査した1人を蒲島郁夫知事が患者認定したと発表した。認定は11月30日付。県による認定は、感覚障害だけで水俣病と認めた最高裁判決を受け環境省が認定基準の運用に関する新通知を2014年3月に出してから初めてで、13年11月の水俣市の男性以来、約2年ぶり。知事の職権でなく県認定審査会の答申を踏まえた認定は、11年7月の大阪府東大阪市の夫妻以来となる。」、と報じた。
 注目された新通知の下での認定の経緯について、「新通知の下、単一症状での認定か、認定基準が原則求める複数症状の組み合わせによる認定か注目されたが、県水俣病審査課は、『症状を含めて個人情報にあたる』として審査経緯のほか認定者の性別や年代などは一切公表しなかった。県外在住者とみられる。」、と伝えた。
 これまで、「水俣病は感覚障害、視野狭窄(きょうさく)など複数の症状が原則の認定基準とされてきたが、最高裁は一三年四月、感覚障害だけでも認定の余地があると判断。」(東京新聞)。これを受けて、環境省が新指針通知(一四年三月)を出していた。
 このことについて、朝日新聞は、「患者団体のチッソ水俣病患者連盟の高倉史朗事務局長は、県が認定の経緯や理由を明らかにしなかったことについて、『被害者に一番関心があるところが分からない。審査の中身を知らせないのはおかしい』と批判した。」、と伝えた。
 また、読売新聞は、次のような患者からの声を伝えた。

①2013年11月に患者認定された水俣市の下田良雄さん(67)は「ようやく私に続く人が出てくれた」と歓迎しながらも、「体調が悪化しながら審査を待つ人はたくさんいる。審査会をもっと頻繁に開いて、審査のスピードを上げてほしい」と求めた。
②「水俣病不知火患者会」(水俣市)の元島市朗事務局長(60)は「いまだに被害者が残っていることを県が認めた」と評価。一方で、20人の申請が棄却されたことに「患者の大量切り捨てが続くのでは」と懸念を示した。
③「水俣病被害市民の会」(同)の坂本龍虹代表(81)は、会員十数人とともに、自身も県に認定を申請している。「認定された根拠やプロセスが全く明らかになっておらず、自分たちの審査に良い影響があるのかどうか分からない。審査業務の中断を経て県が審査をどう変えたのか、明確にしてほしい」と注文を付けた。

 さらに、東京新聞は、「棄却された二十人のうち四人を支援する水俣病被害者互助会は、最高裁判決に反しているなどとして、訴訟で争う方針を示した。今回保留となった三人を含め、なお千二百四十九人が審査を待っている。」、と報じた。

 以下、熊本日日新聞、朝日新聞、東京新聞、読売新聞の引用。







熊本日日新聞-水俣病、2年ぶり認定 熊本県、新通知後初めて- 2015年12月02日


 県は2日、公害健康被害補償法に基づき県水俣病認定審査会が審査した1人を蒲島郁夫知事が患者認定したと発表した。認定は11月30日付。

 県による認定は、感覚障害だけで水俣病と認めた最高裁判決を受け環境省が認定基準の運用に関する新通知を2014年3月に出してから初めてで、13年11月の水俣市の男性以来、約2年ぶり。知事の職権でなく県認定審査会の答申を踏まえた認定は、11年7月の大阪府東大阪市の夫妻以来となる。

 新通知の下、単一症状での認定か、認定基準が原則求める複数症状の組み合わせによる認定か注目されたが、県水俣病審査課は、「症状を含めて個人情報にあたる」として審査経緯のほか認定者の性別や年代などは一切公表しなかった。県外在住者とみられる。

 環境省特殊疾病対策室は「国の認定基準や新通知に沿って丁寧に審査した結果と受け止めている。今後も、関係自治体とともに丁寧な審査に努めていく」と話した。

 今回の認定で、県が認定した水俣病患者は累計1786人となった。一方、蒲島知事は今回の認定者と同じ10月18日に審査した20人を棄却した。これを受けて、処分を待つ未処分者数は1249人になった。(石貫謹也、高橋俊啓)


朝日新聞-熊本県が水俣病1人認定 2年ぶり、新指針後初-2015年12月3日


 熊本県は2日、公害健康被害補償法(公健法)に基づき、新たに1人を水俣病患者と認定したと発表した。県の認定は2年ぶりで、環境省が昨年3月に審査基準の新たな運用指針を通知して以来、初めて。認定の可否に関わる患者の症状や居住歴、年齢などは「個人情報」として明らかにしなかった。

 患者認定されたのは、10月に県の認定審査会が審査した40~80代の男女24人のうちの1人で、認定は11月30日付。鹿児島県を含めた認定患者数は2278人になった。

 国は従来、水俣病の認定基準として感覚障害や視野狭窄(きょうさく)などの複数の症状があることを条件としていたが、2013年4月の最高裁判決は生活歴などを総合的に検討すれば、一つの症状でも認定できると判断。判決を受け、環境省は昨年3月、新指針を通知した。

 県水俣病審査課の担当者は、今回の認定について「総合的検討を行った。最高裁判決を踏まえ、審査は前よりも丁寧にやっている」と説明。一方で、今回の患者について、症状が複数あって従来の条件でも認定できたのか、単一症状だけだったが新指針に基づき認定したのかなどは、「個人情報に当たる」として明らかにしなかった。

 患者団体のチッソ水俣病患者連盟の高倉史朗事務局長は、県が認定の経緯や理由を明らかにしなかったことについて、「被害者に一番関心があるところが分からない。審査の中身を知らせないのはおかしい」と批判した。(籏智広太、斎藤靖史)


東京新聞-水俣病2年ぶり認定 熊本県、理由など公表せず-2015年12月3日


 熊本県は二日、水俣病患者一人を認定したと発表した。熊本県が患者認定するのは二〇一三年十一月の熊本県水俣市の男性以来、約二年ぶり。県は今回「特定される恐れがある」として、患者の居住地や年齢、性別、認定理由は公表していない。処分は十一月三十日付で、熊本県の認定患者は千七百八十六人となった。

 水俣病は感覚障害、視野狭窄(きょうさく)など複数の症状が原則の認定基準とされてきたが、最高裁は一三年四月、感覚障害だけでも認定の余地があると判断。これを受けた環境省の新指針通知(一四年三月)後に熊本県が患者認定したのは初めてだが、県は感覚障害だけを理由に認定したかどうかは明らかにしていない。

 県によると、今回審査を受けた県内外の四十~八十代の男女二十四人のうち二十人は棄却、三人は追加の検診が必要として処分保留とした。いずれも県の水俣病認定審査会の答申に沿って決めた。

 県水俣病審査課は「症状や汚染との関連を丁寧に審査した結果」と説明した。

 棄却された二十人のうち四人を支援する水俣病被害者互助会は、最高裁判決に反しているなどとして、訴訟で争う方針を示した。

 今回保留となった三人を含め、なお千二百四十九人が審査を待っている。



読売新聞-水俣病認定 患者ら県の判断評価-2015年12月03日


 水俣病を巡り、県が約2年ぶりに患者を認定したことを明らかにした2日、県内の患者や被害者団体からは、県の判断を評価する声や、審査業務の透明化を求める声などが上がった。

 2013年11月に患者認定された水俣市の下田良雄さん(67)は「ようやく私に続く人が出てくれた」と歓迎しながらも、「体調が悪化しながら審査を待つ人はたくさんいる。審査会をもっと頻繁に開いて、審査のスピードを上げてほしい」と求めた。

 最大の被害者団体「水俣病不知火患者会」(水俣市)の元島市朗事務局長(60)は「いまだに被害者が残っていることを県が認めた」と評価。一方で、20人の申請が棄却されたことに「患者の大量切り捨てが続くのでは」と懸念を示した。

 「水俣病被害市民の会」(同)の坂本龍虹代表(81)は、会員十数人とともに、自身も県に認定を申請している。「認定された根拠やプロセスが全く明らかになっておらず、自分たちの審査に良い影響があるのかどうか分からない。審査業務の中断を経て県が審査をどう変えたのか、明確にしてほしい」と注文を付けた。


by asyagi-df-2014 | 2015-12-05 05:59 | 水俣から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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