貧困問題-OECD調査(2012)で、「学校など教育機関への公的支出の割合が、3・5%で最下位。OECD平均は4・7%。

 OECDが2015年11月24日に発表した教育費調査について、沖縄タイムスは2015年12月2日、「経済協力開発機構(OECD)は24日、2012年の加盟各国の国内総生産(GDP)に占める学校など教育機関への公的支出の割合を公表した。日本は3・5%で比較可能な32カ国中、スロバキアと並び最下位だった。OECD平均は4・7%。OECDによると前年までは幼稚園など就学前教育への支出を含めた統計で、日本は5年連続で最下位だった。」、と報じた。
また、「日本の国公立小の1学級当たり児童数は27人(OECD平均21人)で加盟国中3番目に多く、国公立中の1学級当たり生徒数は32人(同24人)で2番目に多かった。また、物価の上昇率を勘案した国公立小中学校の勤続15年の教員給与は、OECD平均が増加傾向なのに、日本は05年から13年の間に6%減ったと指摘した。」、と伝えた。


 「OECDの図表でみる教育2015年版-日本」(2015年11月24日)の教育財政で明らかになったことは、次のことである。


①(公的・私的財源からの)教育支出の対GDP比は依然としてOECD平均を下回っている。
②日本の教育機関への在学者1人当たり公財政支出・私費負担は、国民1人当たりGDPの33%で、OECD平均は27%である。在学者1人当たり公財政支出・私費負担が増加したにもかかわらず、日本では教育支出の公財政支出・私費負担総額の対GDP比は低い。2012年に日本は初等教育から高等教育までの教育支出(公財政支出及び私費負担総額)にGDPの5.0%を費やしたが、これはOECD平均の5.3%を下回っている。高等教育への支出(公財政支出及び私費負担総額)の対GDP比はOECD平均と同じ(1.5%)であるが、初等教育、中等教育、高等教育以外の中等後教育への支出の対GDP比(2.9%)は、OECD平均(3.7%)を大幅に下回っている。
③教育支出の大半は公財政支出によって賄われているが、高等教育の私費負担割合はOECD加盟国で最も高い国の一つである。OECD加盟国平均で、初等教育機関から高等教育機関に至るまで教育機関に対する支出の83%が公財政支出で賄われている。日本は公財政教育支出の割合(70%)が最も低い国の一つであるが、これは主に高等教育の私費負担(高額の授業料)の割合が高いことによる(OECD加盟国平均30.3%に対し、日本は65.7%)。
④初等、中等、高等教育以外の中等後教育の全段階で、公財政支出の割合は2005年から2013年の間に若干上昇した(2013年は93%)が、これは、国公立高校の授業料無償化と私立高校の生徒への就学支援金を柱とする政策が2010年4月に導入されたことなどによるものである。


 さて、今回の報告で明確になった点は、次のことだ。


(1)学校など教育機関への公的支出の割合が、日本は3.5%で、5年連続で最下位。
(2)日本の国公立小の1学級当たり児童数は27人(OECD平均21人)で加盟国中3番目に多い。
(3)国公立中の1学級当たり生徒数は32人(同24人)で2番目に多い。
(4)国公立小中学校の勤続15年の教員給与は、OECD平均が増加傾向なのに、日本は05年から13年の間に6%減。


 すべての数字が、日本という国の教育行財政の貧しさを反映している。
 また、「初等、中等、高等教育以外の中等後教育の全段階で、公財政支出の割合は2005年から2013年の間に若干上昇した(2013年は93%)が、これは、国公立高校の授業料無償化と私立高校の生徒への就学支援金を柱とする政策が2010年4月に導入されたことなどによるものである。」、とされる公教育への公財政支出の効果は、少なくとも、民主党政権下で行われたことによるが、現在の安倍晋三政権下では、「見直し」の中で、このことがおざなりにされている。
 安倍晋三政権の「成長戦略」には、貧困の解消、特に子どもの貧困の解消が政治的主要課題にのぼることはない。
 この結果が、次以降の調査結果に反映されてくることは、残念である。

 以下、沖縄タイムスの引用。







沖縄タイムス-日本の教育支出3.5%、また最下位 12年OECD調査-2015年12月2日


 経済協力開発機構(OECD)は24日、2012年の加盟各国の国内総生産(GDP)に占める学校など教育機関への公的支出の割合を公表した。日本は3・5%で比較可能な32カ国中、スロバキアと並び最下位だった。OECD平均は4・7%。
 OECDによると前年までは幼稚園など就学前教育への支出を含めた統計で、日本は5年連続で最下位だった。
 日本の国公立小の1学級当たり児童数は27人(OECD平均21人)で加盟国中3番目に多く、国公立中の1学級当たり生徒数は32人(同24人)で2番目に多かった。
 また、物価の上昇率を勘案した国公立小中学校の勤続15年の教員給与は、OECD平均が増加傾向なのに、日本は05年から13年の間に6%減ったと指摘した。(共同通信)


OECD東京センタ-

格差の削減と教育資金の確保が主要な課題 - Education at a Glance 2015年版-2015年11月24日



政府は持続する教育格差に取り組み、教育制度における効率の改善に焦点を当て、すべての子供がその出自にかかわらず、能力を十分に発揮し、教育の恩恵を受けられるようにする必要があると、Education at a Glance 2015(図表でみる教育2015年版)は述べています。

それによると、過去25年にわたる教育の拡大の結果、現在25-34歳の人々の約41%が高等教育を修了するようになりました。しかし、教育格差は依然として存在し、それが労働市場と経済に深刻な影響を及ぼしています。2014年には、後期中等教育を受けていない成人で仕事に就いていた人は60%未満でしたが、高等教育を受けた人ではその割合が80%以上でした。

教育格差は収入にも影響します。高等教育を受けた成人が所得の上位25%に入る可能性は、後期中等教育が最終学歴の人よりも23パーセントポイント高くなります。

「『あらゆる人に質の良い教育を』という夢は未だに実現していない」と、アンヘル・グリアOECD事務総長は、本書の発表会見で述べました。「平等な教育の欠如は社会的疎外の最も強力な要因で、人々が経済成長と社会の進歩の恩恵を受ける妨げとなる。」

初等教育における不平等は人々の人生を通じて拡大し続ける、特に生涯学習を受けられるかどうかに顕著に表れます。最も高い技能が必要とされる仕事に就いている労働者の約60%が雇用主が提供する教育に参加しているのに対して、単純作業従事者の場合はその割合がわずか26%でした。

「図表でみる教育2015年版」では、政府が抱える教育資金の問題も明らかにしています。2010年から2012年にかけて、ほとんどの国でGDPが上向きに転じ始めましたが、OECD加盟国の三分の一以上の国々で、初等教育から高等教育までの教育機関に対する公財政支出が減少しました(オーストラリア、カナダ、エストニア、フランス、ハンガリー、イタリア、ポルトガル、スロベニア、スペイン、米国)。

初等、中等教育への予算が削減される中、ほとんどの国々が学級規模を大きくすることではなく教員の給与を削減することを選びました。しかし、OECDのPISA調査からは、フィンランド、日本、韓国といった成績の高い国々がインフラや学級規模よりも授業と教員を優先していることが明らかになっています。

実質ベースで教員の給与が増加している国の数は、2008年から2013年の間にOECD加盟国の二分の一に減少しました。OECD平均で、就学前教育及び、初等教育の教員の給与は同学歴のフルタイム労働者の78%、前期中等教育の教員では80%、後期中等教育の教員では82%です。

このような競争力のない給与では、優秀な人材を教職に惹きつけるのはますます難しくなります。特に2013年には教員の高齢化が進み、中等教育の教員の35%が50歳を超えました。この割合は2005年から2013年の間に3パーセントポイント上がりましたが、ギリシャ、韓国、ポルトガル、スロベニアでは10パーセントポイント、オーストリアでは19パーセントポイント上がりました。

「図表でみる教育」は、世界各国の教育の現状を測った比較可能な統計データを収録しています。OECD加盟国34か国の他、アルゼンチン、ブラジル、中国、コロンビア、コスタリカ、インド、インドネシア、ラトビア、リトアニア、ロシア、サウジアラビア、南アフリカの教育制度を分析しています。

主な結論

学歴
•現在の若者の約85%が、生涯のうちに後期中等教育を修了します。すべての国で、若年女性の方が男性よりもその可能性が高くなっています。男女格差が最も大きいのはスロベニアで、若年女性の95%が後期中等教育を卒業する見込みであるのに対して、若年男性は76%となっています(Indicator A2)。
•OECD加盟国の現在25-34歳の人々の約41%が高等教育の学歴を持っています。この割合は、現在55-64歳で同等の学歴を持っている人の割合より16パーセントポイント高くなっています。多くの国々で、この差は20パーセントポイントを上回っています(Indicator A1)。
•自分が市民権を持っている国以外の国に留学している学生数は、1995年には世界全体で170万人だったものが、450万人以上に大幅に増えました(Indicator C4)。2013年に博士課程を修了したOECD加盟国の学生の約27%が留学生だったのに対して、学士課程ではその割合はわずか7%でした(Indicator A3)。
•平均で、高等教育修了者の83%が雇用されているのに対して、後期中等教育または高等教育以外の中等後教育を受けた人の場合は74%、後期中等教育未修了者の場合は56%です(Indicator A5)。

教育支出
•OECD加盟国は初等教育から高等教育までの平均で在学者1人当たり年間10,220米ドル支出しています。初等教育では児童1人当たり8,247米ドル、中等教育では9,518米ドル、高等教育では15,028米ドルです(Indicator B1)。
•高等教育における私費負担割合は、過去10年で増加しています。高等教育における私費負担の約三分の二は家計から支払われる授業料です。データのある国々の半数以上で授業料は2,000米ドルを超えており、オーストラリア、カナダ、韓国、ニュージーランドでは4,000米ドル、日本では5,000米ドル、英国と米国では8,000米ドルを上回っています(Indicator B5)。
•OECD加盟国平均で、2012年に初等教育から高等教育まで含めてGDPの5.3%を支出しました(分類不可を含む)。初等教育から高等教育まで、教育機関に対する支出全体の83.5%が公財政支出です。公財政教育支出は、2010年から2012年の間に、OECD加盟国の三分の一以上(オーストラリア、カナダ、エストニア、フランス、ハンガリー、イタリア、ポルトガル、スロベニア、スペイン、米国を含む)で減少しました(Indicators B2、 B3)。

幼児教育
•大多数のOECD加盟国では、大半の子供の教育は今や5歳になる前から始まっています。OECD加盟国全体で3歳児の約74%が教育を受けており、その割合はEU加盟OECD加盟国では80%に上ります(Indicator C2)。
•就学前教育の在学率は、2005年は3歳児の52%だったものが2013年には72%になり、4歳児では69%から85%になりました。4歳児の在学率が2005年から2013年の間に20パーセントポイント以上上昇した国は、オーストラリア、チリ、韓国、メキシコ、ポーランド、ロシア、トルコです(Indicator C2)。
•幼児教育プログラムに参加する子供の半数以上が、私立機関に通っています。これは、たとえ政府の助成があっても、両親にとって重い経済的負担となっています(Indicator C2)。

学級
•初等および前期中等教育の児童・生徒は、平均7,570時間の義務教育を受けています。デンマークが最も多くて10,000時間以上、ハンガリーが最も少なくて6,000時間未満です(Indicator D1)。
•OECD加盟国の初等教育の学級規模平均は21人、前期中等教育では24人です。学級規模が大きいと教員が授業に費やす時間が少なくなり、学級の秩序維持に費やす時間が長くなります。平均規模の学級に生徒が一人増えると、授業と学習に費やされる時間が0.5パーセントポイント減少します(Indicator D2)。
•勤続年数15年の教員の法定給与は、初等教育レベルでは平均41,245米ドル、前期中等教育では42,725米ドル、後期中等教育では44,600米ドルです(Indicator D3)。


図表でみる教育2015年版-日本


教育財政

在学者1人当たりの公財政支出・私費負担はOECD平均を上回っているが、(公的・私的財源からの)教育支出の対GDP比は依然としてOECD平均を下回っている。
日本では、初等教育から高等教育までの教育機関に対する在学者1人当たりの公財政支出・私費負担は、2012年は1万1,671米ドルであり、OECD平均の1万220米ドルを上回った。日本の在学者1人当たりの公財政支出・私費負担は、どの教育段階でもOECD平均を上回っており、初等教育段階では8,595米ドル(OECD平均8,247米ドル)、中等教育段階では1万170米ドル(OECD平均9,518米ドル)、高等教育段階では1万6,872米ドル(OECD平均1万5,028米ドル)である。日本の教育機関への在学者1人当たり公財政支出・私費負担は、国民1人当たりGDPの33%で、OECD平均は27%である。
在学者1人当たり公財政支出・私費負担が増加したにもかかわらず、日本では教育支出の公財政支出・私費負担総額の対GDP比は低い。2012年に日本は初等教育から高等教育までの教育支出(公財政支出及び私費負担総額)にGDPの5.0%を費やしたが、これはOECD平均の5.3%を下回っている。高等教育への支出(公財政支出及び私費負担総額)の対GDP比はOECD平均と同じ(1.5%)であるが、初等教育、中等教育、高等教育以外の中等後教育への支出の対GDP比(2.9%)は、OECD平均(3.7%)を大幅に下回っている。

教育支出の大半は公財政支出によって賄われているが、高等教育の私費負担割合はOECD加盟国で最も高い国の一つである。
OECD加盟国平均で、初等教育機関から高等教育機関に至るまで教育機関に対する支出の83%が公財政支出で賄われている。日本は公財政教育支出の割合(70%)が最も低い国の一つであるが、これは主に高等教育の私費負担(高額の授業料)の割合が高いことによる(OECD加盟国平均30.3%に対し、日本は65.7%)。
初等、中等、高等教育以外の中等後教育の全段階で、公財政支出の割合は2005年から2013年の間に若干上昇した(2013年は93%)が、これは、国公立高校の授業料無償化と私立高校の生徒への就学支援金を柱とする政策が2010年4月に導入されたことなどによるものである。

日本では2008年から2012年の間に初等教育から高等教育に対する公財政教育支出が増加したが、公財政支出総額がさらに大幅に増加したので、教育支出が公財政支出総額に占める割合は若干(3%)減少した。


by asyagi-df-2014 | 2015-12-06 06:15 | 書くことから-貧困問題 | Comments(0)

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