沖縄から-「同盟調整メカニズムの設置」を具体化としての「同盟調整グループ」を設置を考える。

 三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記第30回の中で、三上さんは、伊波さんの発言(エア・シーバトル構想について)を次のように引用していた。


「かつて沖縄の基地は米軍が出撃していく場所だったが、今は違う。この島々が戦場になる前提の訓練をするようになっている」「日本列島を補給基地・後方基地にして戦い、沖縄壊滅後は日本本土が戦闘地域になる。その想定の演習が日米で既に行われている」
「本来の目的は、米中の全面戦争にエスカレートしないために、日本国土の中に標的の島々を作り出して、そして日本の国土で“制限戦争”をする。中国も、アメリカも、自分の国土は攻撃されることなく、私たちのこの島だけで戦争をする。そういう想定で事態が動いていることを頭に入れておかなくてはならない」
 そして、最も重要なことは、「驚くのは、初期攻撃には同盟国だけで耐えてもらうと戦略論文の中に書かれていること。」ということ。


 この指摘と、沖縄タイムスの「[安保新機関]米軍と一体化の危うさ(2015年11月5日)」という社説が、交錯して大きな危険性を覗かせる。
 現行の「米軍再編」の実行が、日本という国のより一層の米国への従属を表明することであり、それが具体的には、沖縄タイムスの指摘する自衛隊の役割が「自衛隊が地球的規模で軍事行動する米軍の下請け機関」となることにより、自衛隊が「米戦略に組み込まれるのは明らか」ということになる。

 その結果、もたらされるものが、九州、とくに沖縄にとっては、エア・シーバトル構想の実態化、「驚くのは、初期攻撃には同盟国だけで耐えてもらう」九州・沖縄になるということではないのか。

 そして、こうした方針が、「旧日本軍が暴走した反省から取り入れた文民統制(シビリアンコントロール)がなし崩しにされるのではないか。そんな懸念が拭えない。」、という沖縄タイムスの危惧感通りに行われるのではないか。


 また、米議会の本音を伝える、沖縄タイムス2015年11月9日の「『沖縄は米海兵隊という組織を維持していくうえで重要な拠点であり続ける』と真顔で強調し、本土から辺野古に100人余りの機動隊が投入されたことについては、『積極的に動いてくれている。安倍政権はわれわれの最も良き理解者だ』と評価した。薄く笑顔を浮かべた表情は、まるで沖縄の行政は日本政府を介する形で米軍の掌握下にあるのだと物語っているように映った。こうした米側の『本音』を聞いていると、普天間の辺野古移設とは『普天間の危険性の除去』だけではなく、『米海兵隊基地の沖縄固定化』という米軍の思惑が見えてくる。」、という米議会の本音を伝える記事は、沖縄新基地建設及びそれによって引き起こされる諸々について、米国にとっては、「米軍再編」の遂行のための新しい戦略の一環としての「米海兵隊基地の沖縄固定化」に必要なことなのではないか。

 確かに、相手は安倍晋三政権だけではなく、「海兵隊の沖縄固定化を避けるには、日米地位協定を盾に『日本の国内問題』と逃げる米政府に当事者としての責任を厳しく追及する必要がある。」、ということになる。

 以下、沖縄タイムスの引用。







沖縄タイムス社説-[安保新機関]米軍と一体化の危うさ-2015年11月5日


 自衛隊が地球的規模で軍事行動する米軍の下請け機関になってしまうのではないか。旧日本軍が暴走した反省から取り入れた文民統制(シビリアンコントロール)がなし崩しにされるのではないか。そんな懸念が拭えない。

 中谷元・防衛相とカーター米国防長官がマレーシアで会談。自衛隊と米軍を平時から一体運用するために安全保障や外交部門など両政府中枢で構成する新機関「同盟調整グループ」を設置、運用開始したことを明らかにした。

 新機関は、4月に改定された日米防衛協力指針(ガイドライン)に明記されている「同盟調整メカニズムの設置」を具体化したものだ。

 新機関全体を「同盟調整メカニズム」と呼び、調整グループの下には、統合幕僚監部と太平洋軍司令部が意思疎通を図る「共同運用調整所」、自衛隊と米軍が陸海空ごとに情報共有する「調整所」が新設された。

 緊急事態への対処方針を定めた「共同計画」を日米の制服組が作ることも決めた。

 軍事的に圧倒的な非対称の関係にある米軍の判断に自衛隊がノーといえるのか。自衛隊が米戦略に組み込まれるのは明らかではないのか。

 安全保障上の秘匿性の高い情報の漏えいを罰する特定秘密保護法がすでに施行されている。共同計画や新機関での協議内容は特定秘密に指定されるはずであり、非公開となるのは間違いないであろう。

 国会や国民の目が届かないところで自衛隊と米軍の共同計画が作られかねない。
    ■    ■
 南シナ海では、中国が岩礁を埋め立て、滑走路を建設している人工島をめぐって米中が激しく対立している。

 安全保障関連法案を審議中の8月、共産党が国会で暴露した統合幕僚監部の内部資料「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)及(およ)び平和安全法制関連法案について」には、南シナ海での平時からの具体的な協力として情報収集や警戒監視、偵察などを挙げ「今後、ワーキンググループなどを活用し、関与のあり方について検討していく」と明記している。自衛隊は南シナ海ですでに米軍との連携を想定しているのだ。内部資料からは幅広い対米協力を検討していることが浮かび上がる。

 米太平洋軍のハリス司令官も6月、海上自衛隊のP3C哨戒機が南シナ海で哨戒活動することを「歓迎する」と期待感を表明した。

 自衛隊が中東の過激派組織「イスラム国」を攻撃する米軍の後方支援に回ることも法制上は可能だ。
    ■    ■
 防衛省内局の背広組(文官)と制服組(自衛官)が対等の立場で防衛相を補佐することを盛り込んだ改正防衛省設置法が6月に成立、10月から実施されている。背広組が制服組に優位な「文官統制」は文民統制につながる制度だったが、全廃された。

 改正法には自衛隊の作戦を制服組主体に改める「運用一元化」も入っている。自衛隊の存在感が増す一方で、同盟調整メカニズムでは米軍が事実上の指揮権を握り、自衛隊はその指揮下に組み込まれてしまわないか危惧する。



沖縄タイムス-基地の沖縄固定化、透ける本音 変わってしまった米議会-2015年11月9日 12:15


 「辺野古の埋め立てはすでに前知事が承認したのだから、沖縄の理解はもうそんなに重要ではない。協力は期待しない。黙認してくれれば十分だ」。 

 米政府高官に辺野古の新基地建設をめぐり日本政府と対峙(たいじ)する翁長県政について見解を聞くと、そんな答えが返ってきた。 

 「沖縄は米海兵隊という組織を維持していくうえで重要な拠点であり続ける」と真顔で強調し、本土から辺野古に100人余りの機動隊が投入されたことについては、「積極的に動いてくれている。安倍政権はわれわれの最も良き理解者だ」と評価した。

 薄く笑顔を浮かべた表情は、まるで沖縄の行政は日本政府を介する形で米軍の掌握下にあるのだと物語っているように映った。 

 こうした米側の「本音」を聞いていると、普天間の辺野古移設とは「普天間の危険性の除去」だけではなく、「米海兵隊基地の沖縄固定化」という米軍の思惑が見えてくる。 

 沖縄のこうした現状は、米紙ニューヨーク・タイムズが社説で、人権を尊ぶ民主主義よりも軍事を優先させる日米両政府は「沖縄の意思を無視している」と厳しく批判するほどあからさまだ。 

 こうした両政府への強力なブレーキ役を担ってきたのが米議会だったのだが、すっかり変容してしまった。

 「実行できない計画は維持する意味がない」と辺野古移設に反対してきた米有力議員に、若い機動隊が高齢のデモ参加者に対し実力行使を始めたと写真を見せながら説明した。 

 するとその議員は関心すら示さず、「これまで沖縄の反対に遭いながらも計画は続いてきた。安倍政権には必ず実行するのだという強い意思がある。計画は進んでいくだろう」と呟(つぶや)いた。

 米軍の案内で夏に在沖基地を視察したある議員に同じ問いを向けると、「私が会った沖縄の人々はみな、基地や米軍を歓迎していた。反対する人は見なかった」と穏やかな声で語り、「将来、新基地はアジア太平洋地域で重要な役割を担う」とフェンスの内側から見た論理を展開した。

 沖縄で生活を営む人々の視点で普天間移設問題を捉えていた沖縄の良き理解者だった議員たちは皆、米議会から姿を消してしまった。

 厳しい闘いだが、われわれはこうした状況も変える努力をせねばならない。

 普天間の閉鎖と辺野古の新基地建設の中止を願う沖縄の想いを理解してもらうには、まず普天間と辺野古の現状を住民の視点で知ってもらう必要がある。

 翁長雄志知事が普天間や辺野古で記者会見し、現場から沖縄の現状を世界に発信する努力をしたり、米議員や米政府関係者を沖縄に招いて住民の視点で沖縄を知る場を提供する取り組みも必要だろう。

 海兵隊の沖縄固定化を避けるには、日米地位協定を盾に「日本の国内問題」と逃げる米政府に当事者としての責任を厳しく追及する必要がある。(平安名純代・米国特約記者)


by asyagi-df-2014 | 2015-11-10 06:07 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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