貧困問題ーこの貧窮死を防げなくて、何を語ることができるのか。
2015年 10月 31日
朝日新聞のこの記事は、日本の「今」を映し出している。
朝日新聞は2015年10月30日、「茨城県那珂市で27日朝、焼け跡から3人の遺体が見つかった住宅火災で、この家族が数日前から電気を止められ、明かりにロウソクを使っていたものの、市や近所の人が生活の変化に気づくことはなかった。県警はロウソクが火元になったとみて調べている。」、と報じた。
「県警は29日、司法解剖の結果、3人の死因について一酸化炭素中毒と発表した。」、家人は、「『明かりとしてロウソクを使っていた』と話したという。」、と続けた。
また、地域の声として、「近くに住む女性(86)によると、美津子さんは火災2日前に遊びに来て、大根2本をお裾分けにくれた。女性は『最近、18歳の孫娘が30万円をかけて運転免許を取り、車も買ったと聞いた』。電気が止まっていたのは火災後の報道で知ったという。『言ってくれたらよかったのに』と嘆く。」、「地区の民生委員の女性(63)は一昨年ごろから、叶野さん宅の敷地内に段ボールや服、空き缶が放置されたのに気づいた。ただ、問いかけても、『大丈夫です』と返され、踏み込むのをためらった。今月8日、玄関先で美津子さんに体調を尋ねたときは、『楽ではない』と返ってきただけだった。女性は『小さな変化だけど、助けを求めるサインだったのかもしれない』と肩を落とした。」、との声を伝えた。
日本の「今」とは、貧困が、忍び寄っているのではなく、日常化されている実態を現している。
このような貧窮死を防ぐことができなくて、何を語ろうというのか。
以下、朝日新聞の引用。
朝日新聞-ロウソク生活、気付けなかった貧窮 茨城3人死亡火災-2015年10月30日
茨城県那珂市で27日朝、焼け跡から3人の遺体が見つかった住宅火災で、この家族が数日前から電気を止められ、明かりにロウソクを使っていたものの、市や近所の人が生活の変化に気づくことはなかった。県警はロウソクが火元になったとみて調べている。
県警は29日、司法解剖の結果、3人の死因について一酸化炭素中毒と発表した。県警によると、火災があった那珂市戸崎、無職叶野(かのう)善信さん(82)方は5人暮らし。足が不自由だった叶野さん、妻美津子さん(80)、特別支援学校高等部1年の孫娘の美希さん(15)と連絡が取れていない。
働き手は会社員の18歳の孫娘だけ。電気料金の支払いが滞り、電気が止められた。叶野さんの長女(48)は調べに「明かりとしてロウソクを使っていた」と話したという。
東京電力茨城総支社(水戸市)によると、料金を滞納すると、基本的に検針日から55日後をめどに電気を止める。利用者から訴えがなければ、自治体に連絡することはないという。
ログイン前の続き市によると、叶野さんが生活保護を受給した記録はなく、経済的に困窮しているとは把握していなかった。電気が止まった場合の情報提供については「協定でも結ばなければ、個人情報の問題があって難しいだろう」と担当者は言う。
近くに住む女性(86)によると、美津子さんは火災2日前に遊びに来て、大根2本をお裾分けにくれた。女性は「最近、18歳の孫娘が30万円をかけて運転免許を取り、車も買ったと聞いた」。電気が止まっていたのは火災後の報道で知ったという。「言ってくれたらよかったのに」と嘆く。
地区の民生委員の女性(63)は一昨年ごろから、叶野さん宅の敷地内に段ボールや服、空き缶が放置されたのに気づいた。ただ、問いかけても、「大丈夫です」と返され、踏み込むのをためらった。今月8日、玄関先で美津子さんに体調を尋ねたときは、「楽ではない」と返ってきただけだった。女性は「小さな変化だけど、助けを求めるサインだったのかもしれない」と肩を落とした。