沖縄から-報道圧力問題 。こんな解決で本当にいいの。

 「安保関連法」が成立し、総裁選が終わった中での「報道圧力問題」への自民党の対応について、沖縄タイムスは2015年10月4日、「沖縄2紙への報道圧力問題の発端となった自民党内の勉強会を主催し、党から処分を受けていた木原稔前青年局長の役職停止期間が当初の1年から3カ月に軽減されたことに対し、県政与党からは『数のおごりだ』と批判の声が上がった。県政野党の自民党県連は『党本部の決定でコメントする立場にない』と述べるにとどめた。」、と報道した。
 琉球新報及や沖縄タイムス及び愛媛新聞は、2015年10月4日の社説で、その問題点を指摘した。
 例えば、琉球新報は、次のように押さえた。
(1)問題点
①自民党は、党所属若手議員らの勉強会で「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなることが一番」などと、報道機関に圧力をかける発言が相次いだ問題をめぐり、1年の役職停止としていた木原稔前青年局長の処分期間を3カ月に軽減した。
②首相は、「国民に対し大変申し訳ない。沖縄県民の気持ちも傷つけたとすれば申し訳ない」「最終的には私に責任がある」と述べたが、あくまで「傷つけたとすれば」という仮定付きだった。
(2)主張
①憲法で保障された言論の自由を軽視した一連の行為への処分がそもそも軽過ぎた。それなのに、処分を軽減するとは開いた口がふさがらない。
②処分を軽減した理由は不明瞭で、木原氏のコメントからでは、何について反省しているのか、さっぱり分からない。国民、県民を愚弄(ぐろう)しているとしか言いようがない。言論の自由を脅かす行為の深刻さにあまりにも無自覚過ぎる。問題認識が甘い。
③安保関連法成立を受け木原氏の処分を軽減したことを見れば、やはり法案審議への影響を抑えるための「党利党略第一」の即決処分であったのは明らかだ。首相の言葉は、心から沖縄に向けた謝罪の言葉ではなかったのだろうと言わざるを得ない。
④の報道圧力問題に限らず、安保関連法などに関しても「法案は違憲」と指摘する多くの憲法学者を攻撃したことも含め、安倍政権、自民党には「他の意見を軽んじる」「耳を傾けない」という体質、傲慢(ごうまん)さが常に見え隠れする。「新基地建設ノー」という沖縄の民意を無視し続ける態度からも明らかだ。
 異論排除の体質、謙虚さを欠いた政権姿勢を改めない限り「自民、感じ悪いよね」の評価は広がり続けるだろう。


 また、沖縄タイムスは、「勉強会では、報道機関を『懲らしめる』とか『つぶせ』などという威圧的で扇情的な発言が飛び交った。憲法で保障された基本的人権の中で、民主主義を支える最も大切な権利は『言論・表現の自由』である。憲法99条は国会議員などに対し、『憲法を尊重し擁護する義務』を課しており、国会議員は政治家として何を差し置いてもこれを守らなければならない義務を負っているのである。議員一人一人にその自覚がなければ、民主主義は成り立たない。自民党がガタガタして危機を迎えるのは、政策というよりも、『なんか自民党、感じ悪いよね』という国民の意識が広がったとき-だと石破氏は指摘した。政権党である自民党がまずもって成すべきことは、言論を統制し報道を威圧するような風潮に警鐘を鳴らすことではないか。」、とこの問題の本質が「言論・表現の自由」と 憲法99条にあることについて、政権党である自民党に警鐘を鳴らした。


 さらに、愛媛新聞は、「結局、自民党自体が全く『反省』などしていなかったということだろう。」、と言い当てている。そして、「首相はかねて『報道の自由は民主主義の根幹だ』と話しているが、実際の言動には疑問符を付けざるを得ない。『自由』は自分たちに都合のいい言論だけに限られているわけではないことを自覚するべきだ。与党内で発せられた『暴論』が、いつの間にか『正論』に変わる。そんな社会にしてはならない。」、と鋭く、これまた安倍晋三政権に警告を発している。

 以下、沖縄タイムス、琉球新報、愛媛新聞の引用。








沖縄タイムス-報道圧力問題:処分軽減、県政与党は憤る-2015年10月4日

 沖縄2紙への報道圧力問題の発端となった自民党内の勉強会を主催し、党から処分を受けていた木原稔前青年局長の役職停止期間が当初の1年から3カ月に軽減されたことに対し、県政与党からは「数のおごりだ」と批判の声が上がった。県政野党の自民党県連は「党本部の決定でコメントする立場にない」と述べるにとどめた。

 県議会与党連絡会の仲宗根悟座長は7月に県議会で自民党総裁としての安倍晋三首相あての抗議決議を賛成多数で可決したことに触れ「言論圧力はあってはならず、処分を軽くするなど訳が分からない。安保関連法が可決したら知らんぷりをするのか」と憤った。

 県選出国会議員でつくる「うりずんの会」の照屋寛徳衆院議員も「自民党全体で反省していないということだ。戦争法が成立し、総裁選も終わればそれでいいと思っているのか。事の重大性をまったく分かっていない」と批判した。

 一方で、自民県連会長の島尻安伊子参院議員は処分軽減は党本部の決定としてコメントを控えた。自民の勉強会で作家の百田尚樹氏が米軍普天間飛行場の成り立ちなどについて発言したことについては「沖縄の歴史を誤解させるような内容だったとは記憶している。ただ、公平公正な報道も求めたい」と述べた。


琉球新報社説-報道圧力処分軽減 国民、県民を愚弄している-2015年10月4日


 自民党は、党所属若手議員らの勉強会で「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなることが一番」などと、報道機関に圧力をかける発言が相次いだ問題をめぐり、1年の役職停止としていた木原稔前青年局長の処分期間を3カ月に軽減した。
 憲法で保障された言論の自由を軽視した一連の行為への処分がそもそも軽過ぎた。それなのに、処分を軽減するとは開いた口がふさがらない。
 谷垣禎一幹事長は「本人も反省し、その気持ちが明確だったので、3カ月で終わらせたい」と話し、勉強会代表だった木原氏は「悔恨と反省の日々を過ごしてきた。処分が解除となったが、これからも大局を見極める政治家となるよう努力する」とのコメントを出した。
 処分を軽減した理由は不明瞭で、木原氏のコメントからでは、何について反省しているのか、さっぱり分からない。国民、県民を愚弄(ぐろう)しているとしか言いようがない。言論の自由を脅かす行為の深刻さにあまりにも無自覚過ぎる。問題認識が甘い。
 勉強会の出席メンバーは安倍晋三首相に近い自民党若手議員らだ。首相は当初「党の私的な勉強会だ。発言をもって処罰することがいいのか」と関係者の処分にも否定的だった。ようやく自らの非を認めたのは勉強会から8日後のことだ。「国民に対し大変申し訳ない。沖縄県民の気持ちも傷つけたとすれば申し訳ない」「最終的には私に責任がある」と述べたが、あくまで「傷つけたとすれば」という仮定付きだった。
 安保関連法成立を受け木原氏の処分を軽減したことを見れば、やはり法案審議への影響を抑えるための「党利党略第一」の即決処分であったのは明らかだ。首相の言葉は、心から沖縄に向けた謝罪の言葉ではなかったのだろうと言わざるを得ない。
 この報道圧力問題に限らず、安保関連法などに関しても「法案は違憲」と指摘する多くの憲法学者を攻撃したことも含め、安倍政権、自民党には「他の意見を軽んじる」「耳を傾けない」という体質、傲慢(ごうまん)さが常に見え隠れする。「新基地建設ノー」という沖縄の民意を無視し続ける態度からも明らかだ。
 異論排除の体質、謙虚さを欠いた政権姿勢を改めない限り「自民、感じ悪いよね」の評価は広がり続けるだろう。


沖縄タイムス社説-[報道圧力 処分を軽減]言論守る党の決意示せ-2015年10月4日

 安全保障関連法が成立したとたん、手のひらを返すように処分内容を軽減するのは、いかがなものか。ご都合主義の批判は免れない。

 自民党は2日、若手議員らの勉強会で報道機関に圧力をかける発言が相次いだ問題をめぐり、1年間の役職停止とした木原稔前青年局長の処分期間を3カ月に短縮した、と発表した。

 6月27日付の処分は9月26日で失効したことになり、7日以降に予定されている内閣改造・党役員人事で木原氏を登用することが可能となる。

 6月の勉強会では、議員から「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなることが一番だ」「沖縄メディアは左翼勢力に乗っ取られている」などと、言論に圧力をかける発言が相次いだ。

 安倍晋三首相に近いグループの勉強会だったこともあって、首相は当初、関係者の処分に消極的だった。関係者が問題発言を繰り返し、迷走状態に陥ったことから国会審議への影響を避けるため、「党の姿勢に疑義を抱かせ、国民の信頼を大きく損なう結果となった」ことを認めた。

 安倍首相は国会で「沖縄県民の気持ちを傷つけたとすれば申し訳ない」と陳謝した。菅義偉官房長官も翁長雄志知事に対し「ご迷惑をかけて申し訳ない」と謝った。

 この問題をめぐって「権力を預かる者はいかに抑制的に使うかを考えないといけない」と苦言を呈したのは、石破茂・地方創生担当相である。

 安倍政権の下でその考えは実際の行動に移されているのか。それが問題である。
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 勉強会では、報道機関を「懲らしめる」とか「つぶせ」などという威圧的で扇情的な発言が飛び交った。

 憲法で保障された基本的人権の中で、民主主義を支える最も大切な権利は「言論・表現の自由」である。

 憲法99条は国会議員などに対し、「憲法を尊重し擁護する義務」を課しており、国会議員は政治家として何を差し置いてもこれを守らなければならない義務を負っているのである。議員一人一人にその自覚がなければ、民主主義は成り立たない。

 自民党がガタガタして危機を迎えるのは、政策というよりも、「なんか自民党、感じ悪いよね」という国民の意識が広がったとき-だと石破氏は指摘した。政権党である自民党がまずもって成すべきことは、言論を統制し報道を威圧するような風潮に警鐘を鳴らすことではないか。
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 このところ、安保法や名護市辺野古の新基地建設などをめぐって、「健全性」とは逆の動きが目立つ。

 安保関連法に反対する大学生らのグループ「SEALDs(シールズ)」の中心メンバー・奥田愛基さんは、殺害を予告するような脅迫状が届いたことを明らかにした。

 新基地建設に反対する人たちが座り込みを続けているキャンプ・シュワブのゲート前のテントは、政治団体の街宣車で乗り付けた人たちの襲撃を受けた。

 社会全体で危機感を共有することが大切だ。



愛媛新聞社説-「圧力」議員の処分軽減 国民の目を欺く口先だけの反省-2015年10月04日(日)


 結局、自民党自体が全く「反省」などしていなかったということだろう。党所属若手議員らの勉強会で報道機関に圧力をかける発言が相次いだ問題で、1年の役職停止とした木原稔前青年局長の処分期間を3カ月に軽減した。
 谷垣禎一幹事長は「本人も反省し、その気持ちが明確だったので」と説明したが、処分期間を4分の1へと大幅に軽減する理由になっていない。「安全保障関連法が成立してしまえば、世論や報道機関の反発など気にしない」と言わんばかりの態度は到底容認できない。
 安倍晋三首相は、この問題に関し「党本部で行われた勉強会であり、最終的には私に責任がある」と謝罪した。しかし、今に至ってもその責任は取っていない。今回の処分軽減と併せて国民の目を欺く「口先だけの反省」と言わざるを得ない。あらためて猛省を促したい。
 問題になったのは6月の「文化芸術懇話会」。作家の百田尚樹氏を講師に招いた初会合で、首相に近い出席者から「マスコミを懲らしめるには広告料収入をなくせばいい」「(政府に批判的な)沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」などの発言が出た。
 言うまでもなく、権力の監視は報道機関の重要な役割の一つだ。与党の議員が気に入らない報道に圧力をかけようとするのは、憲法21条が保障する「表現の自由」を踏みにじる行為である。「国民の知る権利」を損なうことにつながり、民主主義の土台を壊しかねない。
 にもかかわらず、発言が明らかになった当初、政府与党幹部の反応は鈍かった。首相は「党の私的な勉強会」と問題にしようとせず、谷垣幹事長も「主張の仕方にも品位が必要だ」と、発言の中身はとがめようとしなかった。
 世論の反発が強まるのを見て急きょ、木原氏らの処分を決定したものの、党幹部が心配したのは安保法案審議への影響。議員のテレビ出演を規制し、麻生太郎副総理が「言いたいことがあるなら法案が通ってからにしてくれ」と口を封じたのも「何が何でも安保法を成立させる」姿勢の表れだった。憂うべきは党内議員の質の低下と、党全体のおごりの体質だろう。
 今回の処分軽減で木原氏の処分は先月下旬で満了、今月7日以降の内閣改造や党役員人事での起用が可能になる。よもや木原氏を優遇するようなことがあれば、自民党が圧力発言を全く問題視していないと宣言するに等しい。国民の反発が一層高まることを覚悟しておくべきだ。
 首相はかねて「報道の自由は民主主義の根幹だ」と話しているが、実際の言動には疑問符を付けざるを得ない。「自由」は自分たちに都合のいい言論だけに限られているわけではないことを自覚するべきだ。与党内で発せられた「暴論」が、いつの間にか「正論」に変わる。そんな社会にしてはならない。


by asyagi-df-2014 | 2015-10-07 10:40 | 沖縄から | Comments(0)

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