沖縄から-沖縄を分断。国は、久志の「久辺3区」へ直接振興費を支出。

 国が「久辺3区」へ直接振興費を支出する意向を固めたことについて、沖縄タイムスは2015年9月26日、「国が、名護市辺野古の新基地建設現場に近い辺野古、豊原、久志の『久辺3区』へ直接振興費を支出する意向を固めた。新基地建設に反対する名護市、沖縄県を飛び越え、地元へ“アメ”を投下することで、条件付きで辺野古を容認している3区への理解を求める狙いがある。地元名護市や識者からは「露骨な地方自治への介入だ」との批判が上がる。」、と報じた。
 このことについての稲嶺名護市長の見解については、「『地方自治の自立が声高に言われている時期に、県も市も通さず交付金を出す。こんなことは初めてだ。名護にとどまる話ではなく、大きな事例として残る』との見方を示す。」、と伝えている。
 このことを、沖縄タイムスは、「『基地と振興はリンクしない』と繰り返す政府だが、『アメとムチ』は基地の賛否で割れる沖縄を分断してきた政府の常とう手段。戦後70年経た今もなお、政府による分断策に翻弄(ほんろう)される沖縄の姿が浮かび上がる。」、と評した。
 また、沖縄タイムスは、このことをきちっと理解するために、京都府立大学の川瀬光義教授の次の言葉を掲載している。


「政府が久辺3区に交付金を直接投入することを検討しているという。それはいったい何の法律を根拠としているのだろうか。基地に関連する財政支出の根拠となっている生活環境整備法や再編交付金の交付対象は地方公共団体であり、今回ならば名護市が対象になるはずだ。政令や省令を含め法律を一切変えずに久辺3区に交付するとなると法的な根拠が極めて怪しく、政府が既存の法律を都合よく解釈することになるのではないか。・・・言うまでもなく、民主主義国家なら、公金を配分する上で政治的意見の相違によって差別することはあってはならない。・・・このように多くの人が疑問を持たざるを得ない方法で公金を配分しようとしていることは、裏を返せば、国が進める施策の正当性を言葉で説得できないことを表明しているようなものではないか。このような支出の仕方がまかり通れば、自治体の首長や議会の同意がなくても、国がやりたい政策の実施が可能となりかねず、民主主義と地方自治が形骸化してしまう。」



 むはや、安倍晋三政権にとっては、こうした脱法的行為も驚くには値しないことなのか、とあきれ果てる。
 民主主義と地方自治を壊すことになる政策を、安倍晋三政権は、強行しても恥じないレベルまで落ちてしまっている。それは、山口俊一沖縄担当相はの「いろんな機会を通じて訴えたい気持ちは分かるが、人権問題としてはそぐわないのではないか」という翁長沖縄県知事の国連演説への批判に表れている。
 安倍晋三政権の脱法的・意訳的政策行為は、実は、立憲主義を理解していなかったように、基本的人権そのものを分かっていないことから派生している。

 沖縄の「構造的差別」の問題では、差別構造の構築のために、一方で、「アメとムチ」のアメの分を常に沖縄に選択させてきた。
 もちろんこの国では、原子力発電所建設の例を持ち出すまでもなく、こうした分断政策は、沖縄に限ったことではなく、あらゆる地域で、金銭というアメが、地域分断や人間不信醸成の常套手段として使われてきた。
 こうして今、沖縄は、またもや21世紀の日本のあり方の試金石の場所に立たされる。
 このことは言わば、沖縄の「構造的差別」そのものを現しているとも言える。
 まさに、辺野古新基地建設の問題は、日本全体の試金石となっているのだ。


 以下、沖縄タイムスの引用。






沖縄タイムス-”アメとムチ”で沖縄分断 久辺3区は「第一歩」-2015年9月26日 08:15


 国が、名護市辺野古の新基地建設現場に近い辺野古、豊原、久志の「久辺3区」へ直接振興費を支出する意向を固めた。新基地建設に反対する名護市、沖縄県を飛び越え、地元へ“アメ”を投下することで、条件付きで辺野古を容認している3区への理解を求める狙いがある。地元名護市や識者からは「露骨な地方自治への介入だ」との批判が上がる。(東京支社・大野亨恭、北部報道部・榮門琴音)

 政府が検討しているのは、防衛施設周辺の生活環境整備のために交付、助成する「基地周辺対策費」を活用する振興策だ。

 本来、交付、助成対象は市町村や地方自治体に限られるが、対象を「地方自治体」から「区」へと拡大。政府関係者によると法改正などは必要なく、運用の見直しで対応できるといい、「基地周辺の保育所などの防音工事事業では市町村を通さずに直接事業主へ交付しており、名護市を通さなくても問題はない」と断言する。

 同予算を直接区へ交付するのは全国でも前例がないというが、「予算を支出する財務省も認めている」(政府関係者)と強気の姿勢だ。区の「裏負担」分も、1割以下にとなる見通しだという。

 国は、3区の要望が強い公民館の修繕や近隣米軍との交流事業などに数千万円を充てる予定。10月中旬にも都内で開く3区と政府の振興策協議の「懇談会」の場で国側が具体的な額などを提示する見通しだ。

 一方、市を通さずに直接支給するという異例の方法に、稲嶺進名護市長は「とても信じられない」と首をかしげる。ことし5月の3区と政府の懇談会が開かれた際も「地方自治への介入」と批判を強めていた。

 稲嶺市長は「地方自治の自立が声高に言われている時期に、県も市も通さず交付金を出す。こんなことは初めてだ。名護にとどまる話ではなく、大きな事例として残る」との見方を示す。

 ただ、政府が意に介す様子はない。中谷元・防衛相は25日の会見で、地方自治への介入ではないかと問われるも、「国として何が支援できるか検討したい」と前のめりの姿勢だ。

 政府に振興策を要望し続けてきた久辺3区の関係者からは今回の直接支給を歓迎する声も上がる。

 新基地建設に向けた作業が進む中、「作業は進めるのに地元の振興策には配慮がない」と政府への不満が高まっていたのも事実。稲嶺市政に移行してから、米軍再編交付金が支払われず「市からも置いてきぼり」と市政への批判もあった。

 ある地元関係者は「わずかではあるが第一歩」と受け止める。その上で、「交付金の下ろし方が間違っているとの批判もあるが、地元はわらをもつかむ思いで、目に見える形の配慮を求めてきた。政府がせっかくやろうとしているのに、水を差すのはやめてほしい」と吐露する。

 「基地と振興はリンクしない」と繰り返す政府だが、「アメとムチ」は基地の賛否で割れる沖縄を分断してきた政府の常とう手段。戦後70年経た今もなお、政府による分断策に翻弄(ほんろう)される沖縄の姿が浮かび上がる。


沖縄タイムス-政府と久辺3区懇談 地元企業受注拡充を提案-2015年5月31日


 【名護】米軍普天間飛行場の返還に伴う名護市辺野古の新基地建設をめぐり、建設地に近い久辺3区(辺野古・豊原・久志)と政府が振興策を協議する懇談会の初会合が30日、市の辺野古交流プラザで開かれた。昨年9月に3区が求めた振興策に対し政府側は、米軍再編交付金による久辺3区コミュニティー基金の使途拡大や地元企業の受注機会の拡充などを提案した。会合は冒頭のみ報道陣に公開された。

 懇談会には、地元側から久辺3区の区長のほか行政委員長や市議ら、政府側から防衛省地方協力局長や内閣府沖縄政策統括官、沖縄防衛局長らが出席した。

 辺野古区の嘉陽宗克区長は「行政が一体となって住民の不安の除去と生活の向上に取り組むことを強く要望する。懇談会は3区にとって大きな前進。要望事項を一つ一つ精査し、住民に見える形で進めてほしい」と要望した。

 沖縄防衛局の井上一徳局長は「3区と率直な意見交換を重ね、要望について、防衛省や内閣府、関係省庁で連携し、可能なものから速やかに実現するよう全力で取り組む」と応じた。

 3区は昨年9月、政府に振興策13項目を求めたが、具体的な回答はこれまでなかった。
 懇談会は年数回の定例会、3区からの要望に応じ随時臨時会を開く。懇談会で出された要望について、政府側は次回開催時に検討状況の結果を報告する方針。


沖縄タイムス-国と久辺3区、30日に初会合 振興策を協議-2015年5月12日


 【東京】政府は、米軍普天間飛行場の返還に伴う名護市辺野古の新基地建設地に近い久辺3区(辺野古・豊原・久志)の振興策を話し合う国と地元との協議会の初会合を30日に辺野古地区で開くことを決めた。11日までに地元関係者が明らかにした。

 政府は防衛省から中島明彦地方協力局長、内閣府から石原一彦沖縄振興局長ら幹部を出席させる。官邸筋によると、官邸が地元へ配慮を示す必要があると判断し、幹部の出席を決めた。住民側からは、久辺3区の区長が出席する予定。


by asyagi-df-2014 | 2015-09-29 05:25 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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