確認すること。「安保関連法案は違憲であって、『意見が分かれる』といった問題ではない。『一見極めて明白に違憲無効』の法案が、特別委員会で強行採決され、本会議で可決・成立したのである。」ということ。

 水島朝穂早稲田大学教授は、今回の安保関連法の成立に対して、次のように結論づける。
 まずは、次のことをきちっと確認することが重要であると。


「この安保関連法案は違憲であって、『「意見が分かれる』といった問題ではない。『一見極めて明白に違憲無効』の法案が、特別委員会で強行採決され、本会議で可決・成立したのである。」


 また、樋口陽一氏(憲法学者)のデモや集会に参加する若者たちについての次の発言に、全く同意すること。


「この憲法13条がうたう個人の尊厳が具現化された姿だ。・・・彼らは誰に指示されたわけでもなく、今まで当たり前だと思っていたものがなくなる危機を感じ、自分自身の判断で行動している。まさに個人の尊厳のありようが身についているのです。あの若者たちの姿は、安倍首相がどんなに壊そうと思っても壊せないものですよ」


 そして、大事なことは、「日本では、『一見極めて明白に違憲無効の法律』は、9月19日以降も、ずっと違憲、違憲と言われ続けることが大切だろう。」ということ。

 さらに、いま、直ちに必要なことは、「『安保関連法廃止法案』の国会提出である。」ということ。このことの意味は、「この廃止法案の『理由』のなかで、この法律が違憲であることを執拗に書き、その問題点を主張し続けることが大切である。訴訟の前に出来ることがある。廃止法案を直ちに国会に提出すべきである。」とする。


 安保関連法を廃案にするために。


 以下、水島朝穂のブログより引用。








安保関連法「廃止法案」を直ちに国会に――憲法違反を唱え続けよ-2015年9月21日


1 9日未明、安保関連法が成立した。9割の憲法研究者、最高裁元長官、最高裁元判事、内閣法制局長官経験者、日弁連と54弁護士会すべてが違憲とする法案が参議院で可決・成立した(裁判官75人の声明も参照[PDF])。その時、国会議事堂周辺では、降りしきる雨のなか、たくさんの市民や若者たちが「戦争法案直ちに廃案」「憲法守れ」と叫んでいた。当日、現場でスピーチした樋口陽一氏(憲法学者)は、デモや集会に参加する若者たちについて、「この憲法13条がうたう個人の尊厳が具現化された姿だ。・・・彼らは誰に指示されたわけでもなく、今まで当たり前だと思っていたものがなくなる危機を感じ、自分自身の判断で行動している。まさに個人の尊厳のありようが身についているのです。あの若者たちの姿は、安倍首相がどんなに壊そうと思っても壊せないものですよ」と語った(『毎日新聞』2015年9月17日夕刊)。二度にわたってSEALDsの集会でスピーチした私も、この意見にまったく同感である。NHKがほとんど無視するこの若者たちの動きを、外国メディアは詳しく伝えた。例えば、『南ドイツ新聞』は「日本は物議をかもす軍事ドクトリンを決定」という見出しで、強行採決の動画付きで報じている。記事にリンクされているロイターの動画では、国会前デモが参加者へのインタビューを含めて紹介されている。

9月14日にスピーチした私

この市民や若者たちの声に支えられて、まともな野党は一致して最後まで院内でのギリギリのたたかいを続けた。NHK政治部(「官邸広報部」改め)の記者たちは、「与野党の攻防」だの、「法案に対して国民の意見が分かれている」だのといった解説をしていたが、とんでもないミスリードである。

18日の特別委員会では、佐藤正久筆頭理事(元一等陸佐)の指揮のもと、体だけは立派な自民党若手議員(陣笠・Parteisoldaten)が委員長席に殺到する「かまくら」戦法が行われ、採決が議事録に記載なしという異常事態が起きていたのであって、「法学的にはクーデター」(石川健治東大教授)であるだけでなく、「連隊長」が指揮した文字通りの「クーデター」と言って差し支えないだろう。あの強行採決を、与党も野党も「どっちもどっち」と冷笑的にコメントする態度は、この暴挙を正当化する以外のなにものでもない。この安保関連法案は違憲であって、「意見が分かれる」といった問題ではない。「一見極めて明白に違憲無効」の法案が、特別委員会で強行採決され、本会議で可決・成立したのである。この点は明確にしておかなければならない。

違憲のプラカード

法律が成立した後、最後の議決があった院(この場合は参議院)の議長から内閣を経由して天皇に「奏上」される(国会法65条1項)。天皇は法律に署名して御璽を押させ、法律は法律番号が付けられて再び閣議にかけられ、主任の国務大臣の署名と内閣総理大臣の連署がされ、法律は官報に掲載されて「公布」される。思えば10年前、ドイツにおいて、違憲の疑いの強い法律について連邦大統領が署名をすぐにしなかった(直言「大統領の『抵抗』」)。そのため違憲の議論が巻き起こり、連邦憲法裁判所に提訴され、違憲判決が出て、当該法律の条文が削除されたことがある(直言「「ハイジャック機撃墜法」の違憲判決」)。日本では、「一見極めて明白に違憲無効の法律」は、9月19日以降も、ずっと違憲、違憲と言われ続けることが大切だろう。

いま、直ちに必要なことは、「安保関連法廃止法案」の国会提出である。すでに、盗聴法、政党助成法など、いくつも先例があるが、一番参考になるのは、「イラク特措法廃止法案」である。衆議院には3度、参議院は1度提出された。実は参議院では可決されたのである。メディアがあまり報道しなかったので、世間の注目を浴びなかったが、違憲法律の問題性をクリアにするには、この廃止法案という手法は有効である。

19日に成立した安保関連法に対するさまざまな訴訟が準備されているが、訴訟は時間がかかる。参議院選挙前に最高裁判決が出ることはむずかしい。違憲立法が成立してしまった後のたたかい方として、訴訟や落選運動も有効だが、私は最も早くできるのは「安保関連法廃止法案」の国会提出であると考える。この法律が憲法違反であるという緊張感を持続させ、この法律の正当性を剥奪するたたかいを続けることが大切である。参議院選挙まで安保関連法について国民の関心を持続させることで、安倍政権の「忘却戦術」(大衆の「忘却力」は大きい。これに依拠せよ。アドルフ・ヒトラー『わが闘争』)に抗する有効な手段となるだろう。以下、イラク特措法廃止法案についてみておこう。

イラク派遣のグッズ

イラク特措法(正式名称は「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」(平成15年8月1日法律第137号。平成15年8月1日公布・施行)について、衆議院から民主党の議員立法として、廃止法案が3本出された。

第161回国会・衆法第9号
「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案」(鳩山由紀夫議員外7名、平成16年11月11日提出)
理 由
「イラクにおける最近の情勢等にかんがみ、自衛隊の部隊等による対応措置を終了させる等のため、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」


第163回国会・衆法第3号
「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案」(末松義規議員外3名、平成17年10月6日提出)
理 由  同


第166回国会・衆法第19号
「イラクにおける自衛隊の部隊等による対応措置を直ちに終了させるためのイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案」(原口一博議員外4名、平成19年4月19日)
理 由
「イラクに対する国際連合加盟国による武力の行使が正当性を有していないこと、いわゆる非戦闘地域の概念が虚構の概念であること等の理由によりイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法の法的な枠組みが完全に破綻していること、イラクにおける自衛隊の部隊等による対応措置に関する政府の情報開示が極めて不十分であること等にかんがみ、イラクにおける自衛隊の部隊等による対応措置を直ちに終了させる等のため、同法を廃止する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」


これら3本の廃止法案は衆議院では可決されなかった。しかし、参議院に提出された廃止法案は参議院本会議で可決されたのである。経過を少し詳しくみておこう(審議経過についてはこのサイト参照)。

第168回国会・参法第5号
「イラクにおける自衛隊の部隊等による対応措置を直ちに終了させるためのイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案」(浅尾慶一郎君外5名、平成19年10月18日提出)[PDF]
理 由
「イラクに対する国際連合加盟国による武力の行使が正当性を有していないこと、いわゆる非戦闘地域の概念が虚構の概念であること等の理由によりイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法の法的な枠組みが完全に破綻たんしていること、イラクにおける自衛隊の部隊等による対応措置に関する政府の情報開示が極めて不十分であること等にかんがみ、イラクにおける自衛隊の部隊等による対応措置を直ちに終了させる等のため、同法を廃止する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」


2007年10月18日に参議院に提出されたイラク特措法廃止法案は、11月14日に外交防衛委員会に付託され、審議の結果、27日に民主党はじめ野党の賛成多数で可決された。翌28日の参議院本会議に上程され、民主党などの賛成多数で可決された。投票総数236票、賛成133票、反対103票だった。廃止法案は衆議院に送付され、2008年1月10日、衆議院の「国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員会」に付託された。そして、1月15日、閉会中審査に付されることもなく、同日会期終了となったため、審査未了・廃案となった。衆院送付から委員会付託まで40日以上かかったのは、あえて会期の終了直前に委員会付託して、中身に立ち入ることなく廃案に持ち込むためだろう。しかし、二院制の一つの院で、廃止法案が可決された意味は大きい。「ねじれ解消」によって、こうした光景はまったく見られなくなったが、今回の「安保関連法」について、廃止法案を出すことは決して無駄ではない。すでに民主党は準備を始めたようだが、否決を覚悟の上で、廃止法案を提出すべきである。以下、どういうふうにそれを出していくか、施行の前後で区別して述べよう。

1 安保関連法の施行日
まず、廃止法案を考える上で注意すべきは、19日に成立した安保関連法が10本の改正法と1本の新法から成っていることである。施行日は同じだが、定め方は異なる。「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律」(以下「平和安全法制整備法」という)は、同法附則第1条により、「公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行される」。他方、新法である「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律」(以下「国際平和支援法」という)は、同法附則により、平和安全法制整備法の施行の日から施行されるので、施行日は平和安全法制整備法と同日である。

2 安保関連法の施行日前までの廃止法案の形式
「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律は、廃止する。」とし、施行日を公布日とする「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律を廃止する法律案」を国会に提出すればよい。

3 安保関連法の施行日が経過し、法律が施行された場合の廃止法案の形式
「平和安全法制整備法」と「国際平和支援法」が施行されてしまった場合には、「国際平和支援法」については、「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律は、廃止する。」という内容の「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律を廃止する法律案」という単独の廃止法案を提出することになる。

他方、10本の法律の改正法からなる「平和安全法制整備法」については、同法の施行により、新旧対照表[PDF]の下欄にある現行の条文から、上欄にある改正案の条文にそれぞれの法律が書き換えられることになる。したがって、「平和安全法制整備法」を「廃止」するには、変えられてしまった法律の条文の内容を、再度一つ一つ元に巻き戻す内容の一部改正法案を作成することになる。例えば、上述の新旧対照表の上欄にある条文を下欄にある条文に書き換える内容の「自衛隊法等の一部を改正する法律案」というふうに。

以上、安保関連法の廃止法案について述べてきた。現在の国会の議席構成からすれば、この法案が可決・成立する見込みはまったくない。しかし、この廃止法案の「理由」のなかで、この法律が違憲であることを執拗に書き、その問題点を主張し続けることが大切である。訴訟の前に出来ることがある。廃止法案を直ちに国会に提出すべきである。


by asyagi-df-2014 | 2015-09-23 11:15 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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