労働問題-改正労働者派遣法が9月11日可決。

 標題について、毎日新聞は2015年9月11日、「企業の派遣受け入れ期間の制限をなくす改正労働者派遣法は11日、衆院本会議で自民、公明両党などの賛成多数により可決、成立した。企業が派遣制度を利用する際の規制緩和が柱で、民主党など野党や労働組合が「不安定な雇用が拡大する」と反対し、今国会の焦点の一つだった。施行は9月30日。安倍政権は成長戦略で派遣制度や労働時間制度の見直しなど労働分野の規制改革を掲げており、改正派遣法成立はその第1弾といえる。」と、報じた。

 このことについて、日本労働弁護団は、20156年9月8日の参議院厚生労働委員会で、労働者派遣法「改正」案の採決を強行の折り、「幹事長声明」を発表し、強く抗議していた。
 この「声明」の要約は次のとおりである。
(1)改正派遣法の問題点
①改正派遣法とは、派遣労働を事実上、無期限に使い続けることを可能にする法案である。同時に、この法案の審理過程で、現在、期間制限なく就労することが認められている専門26業務の労働者について、一律3年で雇い止めにされてしまう危険性があることが明らかになった。
②今回の「改正」では、専門26業務の枠が取り払われ、一律派遣期間は3年間とされる。これを使って、派遣先・派遣元会社は、もう必要がない、人を入れ替えたいと考えた派遣労働者に対して、「派遣法に従って」3年で雇い止めを通告するのである。
③派遣先・派遣元会社がまだまだ使い続けたいと考える派遣労働者については、部署を変えて使い続けることができる。どこまでも、派遣元、派遣先会社にとって、使い勝手の良い(派遣労働者には不安定雇用を強いられる)今回の派遣法「改正」なのである。
④そして、これは、専門26業務以外の労働者にもそのまま当てはまる。使い勝手の良くなった派遣法により派遣労働者は益々増え、正社員の派遣労働者への置き換えが進むであろう。物言う労働者、40代、50代になって企業が使いにくくなった労働者は、さらにクビを切られやすくなり、3年後には、今よりさらに多くの派遣労働者が雇用を失うことになってしまうのである。
(2)派遣の実態
6月2日に専門26業務に関する派遣緊急ホットライン(無料電話相談)を実施したが、40件もの電話が殺到した。寄せられた派遣労働者の声で、特に目立ったのは、40代、50代の専門26業務の派遣労働者が、3年後にはクビ、との通告を受けたという話である。
(3)主張
日本労働弁護団は、労働者派遣法「改正」案の不当な内容、審議が不十分なままの採決の強行に強く抗議すると共に、本法案の廃案を目指して最後の最後まで戦い抜く決意である。

 毎日新聞は、この派遣法改正を「安倍政権は成長戦略で派遣制度や労働時間制度の見直しなど労働分野の規制改革を掲げており、改正派遣法成立はその第1弾といえる。」と、評した。まさしく、言い当てている。
 「安保関連」法案が「積極的平和主義」という名の米国従属であるように、この派遣法改正は「成長戦絡」という名の資本(企業)による労働者の基本的権利の剥奪に利するための政策に過ぎない。
 
 以下、毎日新聞及び日本労働弁護団幹事長声明の引用。







日新聞-改正派遣法:成立 30日施行、期間制限を撤廃-毎日新聞 2015年09月11日 12時58分


 企業の派遣受け入れ期間の制限をなくす改正労働者派遣法は11日、衆院本会議で自民、公明両党などの賛成多数により可決、成立した。企業が派遣制度を利用する際の規制緩和が柱で、民主党など野党や労働組合が「不安定な雇用が拡大する」と反対し、今国会の焦点の一つだった。施行は9月30日。
 安倍政権は成長戦略で派遣制度や労働時間制度の見直しなど労働分野の規制改革を掲げており、改正派遣法成立はその第1弾といえる。
 派遣制度は現在、通訳や秘書などの専門業務を除いた一般業務について企業は同じ職場で3年まで派遣労働者を受け入れられる。(共同)


遣法参議院厚生労働委員会採決強行・幹事長声明                  2015年9月8日
日本労働弁護団  幹事長  高木太郎


 本日、政府自民党、公明党は、参議院厚生労働委員会で、労働者派遣法「改正」案の採決を強行した。

 この派遣法「改正」案は、派遣労働を事実上、無期限に使い続けることを可能にする法案であり、断じて許すことはできない。

 同時に、この法案の審理過程で、現在、期間制限なく就労することが認められている専門26業務の労働者について、一律3年で雇い止めにされてしまう危険性があることが明らかになった。

 日本労働弁護団では、6月2日に専門26業務に関する派遣緊急ホットライン(無料電話相談)を実施したが、40件もの電話が殺到した。また、非正規労働者の権利実現原告会議が実施している労働者派遣法改正案に関する「緊急アンケート」には700を超える派遣労働者の不安の声が寄せられている。

 寄せられた派遣労働者の声で、特に目立ったのは、40代、50代の専門26業務の派遣労働者が、3年後にはクビ、との通告を受けたという話である。今回の「改正」では、専門26業務の枠が取り払われ、一律派遣期間は3年間とされる。これを使って、派遣先・派遣元会社は、もう必要がない、人を入れ替えたいと考えた派遣労働者に対して、「派遣法に従って」3年で雇い止めを通告するのである。

 他方、派遣先・派遣元会社がまだまだ使い続けたいと考える派遣労働者については、部署を変えて使い続けることができる。どこまでも、派遣元、派遣先会社にとって、使い勝手の良い(派遣労働者には不安定雇用を強いられる)今回の派遣法「改正」なのである。

 そして、これは、専門26業務以外の労働者にもそのまま当てはまる。使い勝手の良くなった派遣法により派遣労働者は益々増え、正社員の派遣労働者への置き換えが進むであろう。物言う労働者、40代、50代になって企業が使いにくくなった労働者は、さらにクビを切られやすくなり、3年後には、今よりさらに多くの派遣労働者が雇用を失うことになってしまうのである。

 8月26日には、参議院厚生労働委員会で、派遣企業、弁護士、派遣労働者の生の声を聞く参考人質疑が行われたが、肝心の派遣労働者の意見陳述の際には、自民党の出席議員のうち、5名が居眠りをする状態であった。法案の施行期日は当初本年9月1日施行だったものが9月30日施行と変更され、法案、付則の文言を巡っても何度も審議が中断するなど、法案の問題点が次々に明らかになったが、これらに対する誠実な回答は得られないまま採決が強行された。

 日本労働弁護団は、労働者派遣法「改正」案の不当な内容、審議が不十分なままの採決の強行に強く抗議すると共に、本法案の廃案を目指して最後の最後まで戦い抜く決意である。


by asyagi-df-2014 | 2015-09-12 05:28 | 書くことから-労働 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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