沖縄から-辺野古第2回協議は、「空手形」・「ポーズ」なのか。

 翁長雄志沖縄知事と政府側との2回目の会談の様子について、沖縄タイムスは2015年8月19日、「翁長雄志知事は18日、首相官邸で菅義偉官房長官らと会談し、米軍普天間飛行場の返還に伴う名護市辺野古への新基地建設をめぐり政府側と2回目の協議に臨んだ。菅氏は普天間飛行場の5年以内の運用停止について『地元の協力がなければ難しい』と辺野古新基地建設が条件との考えを示し、運用停止は困難だと明言した。」と、報じた。
 この「地元の協力がなければ難しい」と辺野古新基地建設が条件との考えを示し、運用停止は困難だとの明言について、「『辺野古が唯一と言うのはやめてもらいたい』と批判。市民が収容所にいる間に接収された普天間飛行場の形成過程に触れ、『老朽化し、世界一危険になったから代替案を示せというのは日本政治の堕落だ』と政府を批判した。」との県知事の反論を伝えた。

 この辺野古第2回協議について、琉球新報は「『空手形』は誰のせいか」、沖縄タイムスは「単なるポーズか」と、批判した。

 なお、辺野古第3回協議は、「県、政府は安慶田光男副知事、杉田和博官房副長官による事務レベルでの作業部会を立ち上げ、3回目の協議を24日に沖縄で開催する方針を確認した。」と、伝えた。

 琉球新報及び沖縄タイムスの主張は、次のとおりである。

(琉球新報)
(1)米軍普天間飛行場の5年内運用停止という2013年末の政府の約束が、単なる口約束、「空手形」だったことがこれで明確になった。
 辺野古新基地建設をめぐる県と政府の第2回協議で、菅義偉官房長官は5年内運用停止について、「地元の協力がなければ難しい」と述べた。あたかも知事のせいであるかのような口ぶりだ。
 5年内停止について安倍首相は「知事との約束は県民との約束だ。できることは全てやる」と述べていた。
 だが4月の日米首脳会談でも日米外務・防衛閣僚会合(2プラス2)でも日本側は米側に要求すらしていないし、共同声明にも盛り込んでいない。「できること全て」どころか、何一つやっていないのが実態だ。そもそも当初から米側は完全否定の姿勢で、政府がそれを覆そうと努力した形跡はまるでない。最初から実現するつもりなどなかったのに、知事の責任に帰そうとするのは悪質なすり替えだ。
 政府は、どうせ5年後に県民は忘れている、と高をくくっていたのではないか。そうであれば「朝三暮四」の猿のごとき扱いである。不誠実極まりない。
(2)沖縄への基地の集中がミサイル攻撃を誘発し、沖縄を危険にさらすという指摘は論理的で正当なものだ。元米国防総省高官などの発言も引用し、説得力があった。
 これに対する中谷元・防衛相の「ミサイル攻撃は日本全体が対象」という発言は、基地が最大の軍事目標になるという軍事常識に反する。「ミサイル防衛で対処する」とも述べたが、ミサイルの集中攻撃を1発の撃ち漏らしもなく防げるはずがない。どちらが合理的かは火を見るより明らかだ。
 本島中南部は過密だから基地を北部に移すという論理に対し、知事が「自然や文化など北部のソフトパワーが死んでしまう。北部を殺すことになる」と反論したのも説得力がある。
(3)沖縄関係予算は大部分が、どの都道府県も受け取っている通常の予算である。だが「振興予算」と呼んでいるため、他県より特別に多いかのように誤解されている。県は資料まで用意し全国の記者に配ってそのことを説明していた。

(沖縄タイムス)
(1)米軍普天間飛行場の「5年以内の運用停止」に関する政府の説明は、相変わらずその場しのぎで、一貫性がない。「見せ掛け」や「ごまかし」を含んだ「5年以内の運用停止」は事実上破綻した、というべきだろう。
(2)仲井真前知事も指摘したように、「1日も早い危険性除去」を実現したいのであれば、地元が強硬に反対している辺野古に新基地を建設するのではなく、県外の既存基地に移す方が早くて安上がりだ。新基地の完成を待たずにオスプレイの部隊を県外に移設することができれば「5年以内の運用停止」は可能だが、それが実現できれば、莫大な予算を投じ県民の反対を押し切って新基地を建設する必要はなくなる。
 「新基地建設」を実現するため、県民向けには「危険性除去」を強調する。その「真実」を問わず語りに明らかにしたのが菅発言である。
 2014年4月の日米共同声明は、辺野古への早期移設を含む基地の統合によって「長期的に持続可能な米軍のプレゼンス(存在)を確かなものにする」ことをうたっている。「抑止力」と「危険性除去」が新基地建設の便利な方便として利用されているのである。 実際、政府には、計画見直しや譲歩の兆しは全く見られない。県との集中協議は、対話の姿勢を公に示すだけの単なるポーズ、アリバイ作りになる恐れがある
(3)埋め立て承認に当たって県と防衛省は「留意事項」を交わし、実施設計や環境保全対策に関する協議を実施することを確認した。今回の集中協議は、「留意事項」で定められた協議とは全く別物だ。
 集中協議の期間中になし崩しに「留意事項」で定める協議が実施された場合、1カ月の集中協議期間が終わった段階で、政府は間髪を入れず埋め立て本体工事に入る可能性がある。
 県は、埋め立て承認の取り消しなど、次の手を早急に準備し、「協議決裂」に備える必要がある。


 以下、琉球新報、沖縄タイムスの引用。






沖縄タイムス-普天間停止は辺野古移設が条件 政府と沖縄県2回目協議も平行線-2015年8月19日


 【東京】翁長雄志知事は18日、首相官邸で菅義偉官房長官らと会談し、米軍普天間飛行場の返還に伴う名護市辺野古への新基地建設をめぐり政府側と2回目の協議に臨んだ。菅氏は普天間飛行場の5年以内の運用停止について「地元の協力がなければ難しい」と辺野古新基地建設が条件との考えを示し、運用停止は困難だと明言した。

 これに対し、翁長氏は「辺野古が唯一と言うのはやめてもらいたい」と批判。市民が収容所にいる間に接収された普天間飛行場の形成過程に触れ、「老朽化し、世界一危険になったから代替案を示せというのは日本政治の堕落だ」と政府を批判した。

 会談後、翁長氏は記者団に「政府との歩み寄りはなかった」とした上で、次回以降の事務レベル協議でも「流れがどうなるか予測はつかない」と述べた。菅氏も「歩み寄りが難しい状況に全く変わりはない。簡単に距離感は詰まらない」と述べ議論が平行線をたどっているとの認識を示した。

 協議には、岸田文雄外相、中谷元・防衛相、山口俊一沖縄担当相ら関係閣僚が初めて同席、約35分間議論した。

 翁長氏は冒頭の約20分間、米軍基地問題の不条理や在沖海兵隊の抑止力に関する疑問、沖縄が他府県に比べ国から多額の予算を得ているという振興予算をめぐる「誤解」についてただした。4閣僚は話し合いを継続する必要性を強調した。

 県、政府は安慶田光男副知事、杉田和博官房副長官による事務レベルでの作業部会を立ち上げ、3回目の協議を24日に沖縄で開催する方針を確認した。


沖縄タイムス-普天間5年内停止と抑止力維持 矛盾する政府説明-2015年8月20日


 菅義偉官房長官が18日の翁長雄志知事との「集中協議」の場で米軍普天間飛行場の5年以内の運用停止について辺野古移設が条件との考えを伝えた。仲井真弘多県政時代から、辺野古と運用停止は切り離して考えるべきだと求める県の訴えと相反し、埋め立て承認を得るための政府の「二枚舌」が露呈したともいえる。(東京支社・大野亨恭、政経部・福元大輔)

 18日の協議で、県側はあらためて5年以内の運用停止を求めた。

 2014年8月に着手した辺野古の新基地建設は、完成まで9年半かかるといわれている。「5年以内」を実現するには実質的に普天間の機能を県外へ移設しなければならない。

 県は一時的でも普天間を県外へ移設できるなら、航空、陸上、後方支援の各部隊が一体的に運用することで抑止力を維持できるという政府の説明に矛盾が生じるというロジックを組み立てる考え。稲嶺進名護市長も「5年以内の運用停止ができれば、辺野古はいらなくなる」と重ねて主張してきた。

 だが、防衛省幹部は辺野古での翁長氏との対立を背景に、運用停止の米側との交渉自体にすら後ろ向きな姿勢を見せる。

 「そもそも5年以内の運用停止を米側にのませるのはハードルが高く、実現は見通せない。ましてや辺野古抜きの交渉などあり得ない」と突き放す。

▽危険性の除去

 「5年以内」について、県は当初から「辺野古が進む、進まないにかかわらず実現するという約束だ」と訴えてきた。

 当時の又吉進知事公室長は「辺野古が前提というなら、負担軽減推進会議から抜ける覚悟を政府に伝えた。いつも丁々発止のやりとりだ」と厳しく対峙(たいじ)する姿勢を見せていた。

 だが、政府との認識は食い違う。政府は表向きは「辺野古前提」を明言せず、リンク論をあいまいにしてきた。一方、防衛省関係者は仲井真氏が「埋め立て承認の事実上の条件として5年以内を求めた」とし、「新基地が条件であるのは当然だ」と強調する。

 県幹部は「政府は普天間の危険性除去が原点というなら、運用停止をまず急ぐべきだ。辺野古を前提条件にするのはダブルスタンダードであり、何が何でも沖縄に基地を置きとどめる方便だ」と批判する。

▽辺野古不要論

 昨年、新基地建設反対を訴え翁長氏が知事に当選した後も、沖縄の基地負担軽減を掲げる政府は、「約束は生きている」(安倍晋三首相)とあくまで5年以内の方針を維持してきた。

 だが、政府の腰は重い。ことし4月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同文書に「5年以内」は盛り込まず、オバマ大統領との首脳会談でも安倍首相は言及しなかった。

 背景には、県が想定するように、仮に5年以内の運用停止が実現してしまえば「辺野古は不要との論が成り立ってしまう」(政府関係者)との政府の苦しい立場がある。

 翁長氏は5月の新基地建設反対を訴える県民大会でこうした政府の姿勢についてこう批判した。「(運用停止は)埋め立て承認を得るための話クヮッチーだ」

 【ことば】5年以内の運用停止 仲井真弘多前知事が2013年12月の沖縄政策協議会で政府に要請。14年2月18日に普天間飛行場負担軽減推進会議の初会合が開かれたことから、この日を起点に19年2月までの実現を目指すが、めどは立っていない。定義について県は「飛行機が存在しない状態」を求め、日本政府は言及を避けている。米政府や米軍は否定的な見解を示す。


琉球新報社説-辺野古第2回協議 「空手形」は誰のせいか-2015年8月20日


 米軍普天間飛行場の5年内運用停止という2013年末の政府の約束が、単なる口約束、「空手形」だったことがこれで明確になった。
 辺野古新基地建設をめぐる県と政府の第2回協議で、菅義偉官房長官は5年内運用停止について、「地元の協力がなければ難しい」と述べた。あたかも知事のせいであるかのような口ぶりだ。
 5年内停止について安倍首相は「知事との約束は県民との約束だ。できることは全てやる」と述べていた。
 だが4月の日米首脳会談でも日米外務・防衛閣僚会合(2プラス2)でも日本側は米側に要求すらしていないし、共同声明にも盛り込んでいない。「できること全て」どころか、何一つやっていないのが実態だ。そもそも当初から米側は完全否定の姿勢で、政府がそれを覆そうと努力した形跡はまるでない。最初から実現するつもりなどなかったのに、知事の責任に帰そうとするのは悪質なすり替えだ。
 政府は、どうせ5年後に県民は忘れている、と高をくくっていたのではないか。そうであれば「朝三暮四」の猿のごとき扱いである。不誠実極まりない。
 それにしても知事の発言は、米軍基地をめぐる「神話」の実態を余すことなく暴いていた。
 沖縄への基地の集中がミサイル攻撃を誘発し、沖縄を危険にさらすという指摘は論理的で正当なものだ。元米国防総省高官などの発言も引用し、説得力があった。
 これに対する中谷元・防衛相の「ミサイル攻撃は日本全体が対象」という発言は、基地が最大の軍事目標になるという軍事常識に反する。「ミサイル防衛で対処する」とも述べたが、ミサイルの集中攻撃を1発の撃ち漏らしもなく防げるはずがない。どちらが合理的かは火を見るより明らかだ。
 本島中南部は過密だから基地を北部に移すという論理に対し、知事が「自然や文化など北部のソフトパワーが死んでしまう。北部を殺すことになる」と反論したのも説得力がある。
 沖縄関係予算は大部分が、どの都道府県も受け取っている通常の予算である。だが「振興予算」と呼んでいるため、他県より特別に多いかのように誤解されている。県は資料まで用意し全国の記者に配ってそのことを説明していた。
 知事は、政府との協議の場を、全国の誤解を払拭(ふっしょく)する場にしている。その努力を高く評価したい。


沖縄タイムス社説-[辺野古協議2回目]対話は単なるポーズか-2015年8月20日


 米軍普天間飛行場の「5年以内の運用停止」に関する政府の説明は、相変わらずその場しのぎで、一貫性がない。「見せ掛け」や「ごまかし」を含んだ「5年以内の運用停止」は事実上破綻した、というべきだろう。

 名護市辺野古の新基地建設をめぐる政府と県の2回目の協議で、菅義偉官房長官は、「5年以内の運用停止」について「地元の協力がなければ難しい」と述べた。

 辺野古移設が条件との考えをあらためて明らかにしたのである。実におかしな説明だ。ここには「二重、三重の欺瞞(ぎまん)」がある。

 辺野古の埋め立て承認に当たって、「5年以内の運用停止」など4項目の負担軽減策を要請した仲井真弘多前知事に対し、「できることはすべて行う」と胸を張り、「知事と約束したことは沖縄県民との約束」だと大見得を切ったのは安倍晋三首相である。

 だが、米政府高官や米軍幹部は口をそろえて、「5年以内の運用停止」を否定。追い詰められた中谷元・防衛相は「幻想を与えるようなことは言うべきでない」と従来の説明を撤回し、実現が極めて困難なことを認めた。

 ところが菅長官は、この期に及んであらためて「地元の協力がなければ難しい」と主張したのである。

 仲井真前知事も指摘したように、「1日も早い危険性除去」を実現したいのであれば、地元が強硬に反対している辺野古に新基地を建設するのではなく、県外の既存基地に移す方が早くて安上がりだ。
    ■    ■
 新基地の完成を待たずにオスプレイの部隊を県外に移設することができれば「5年以内の運用停止」は可能だが、それが実現できれば、莫大な予算を投じ県民の反対を押し切って新基地を建設する必要はなくなる。

 「新基地建設」を実現するため、県民向けには「危険性除去」を強調する。その「真実」を問わず語りに明らかにしたのが菅発言である。

 2014年4月の日米共同声明は、辺野古への早期移設を含む基地の統合によって「長期的に持続可能な米軍のプレゼンス(存在)を確かなものにする」ことをうたっている。「抑止力」と「危険性除去」が新基地建設の便利な方便として利用されているのである。

 実際、政府には、計画見直しや譲歩の兆しは全く見られない。県との集中協議は、対話の姿勢を公に示すだけの単なるポーズ、アリバイ作りになる恐れがある。
    ■    ■
 埋め立て承認に当たって県と防衛省は「留意事項」を交わし、実施設計や環境保全対策に関する協議を実施することを確認した。今回の集中協議は、「留意事項」で定められた協議とは全く別物だ。

 集中協議の期間中になし崩しに「留意事項」で定める協議が実施された場合、1カ月の集中協議期間が終わった段階で、政府は間髪を入れず埋め立て本体工事に入る可能性がある。

 県は、埋め立て承認の取り消しなど、次の手を早急に準備し、「協議決裂」に備える必要がある。


by asyagi-df-2014 | 2015-08-21 09:29 | 沖縄から | Comments(0)

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