沖縄から-米陸軍UH60ヘリ墜落(3)

 米陸軍UH60ヘリの墜落の問題を、2015年8月13日、琉球新報と沖縄タイムスは社説として、「米軍ヘリ墜落 いつまで災い続くのか」、「『米軍ヘリ墜落』『沖縄の危険』浮き彫り」と、報じた。

 二紙は、沖縄からの「異論」を、日本に突きつける。
 琉球新報は、「天から災いが降ってくることは、沖縄では空想の類いではない。沖縄戦から70年もたつ。いったいどれほどの時間を不安のままで過ごさねばならないのだろう。
 米陸軍のヘリコプターMH60が浜比嘉島の東の海域に墜落した。本土復帰から43年で46回目の墜落だ。年1回以上も墜落があり、着陸失敗などを含めると43年で540件を超す。こんな地域が他にあるだろうか。」と。
 沖縄タイムスは、「裁判で『違法』だと指摘された米軍機による騒音被害、頻繁に発生する米軍機事故と墜落の不安、事故が発生したときの米軍優位の対応、米兵によるさまざまな事件-これらの現実は、沖縄の基地維持を最優先してきた政府の不作為や怠慢によってもたらされたものである。その責任は重大だ。」と。
 この事故の意味を、琉球新報は、「他県では絶対にあり得ない事態を沖縄に強いている事実。それをまず菅氏は直視すべきだ。その事態を真の意味で取り除くすべは何なのか、虚心に考えてみるがよい。そうすれば、同じ沖縄県内に代替基地を造ることが『負担軽減』などであるはずがないことは、くっきりと見えてくるだろう。」と、する。
 この上で、二紙は、次の要求を理由とともに表明する。
(1)「政府はまず同型機の飛行中止を求めてもらいたい。」。理由は、「自国民の安全を確保するのは、他国では当たり前の、最低限の要求である。」から。
(2)「事故の検証も日本側が主体的に行うべきだ。」。理由は、「ドイツでは国内の米軍基地内もドイツ法を適用する。米軍人・軍属が事件事故を起こせば、ドイツ当局は基地内にも踏み込んで捜査する。同じ敗戦国なのに、いつまでも植民地扱いを許しているのは日本だけなのである。」から。
(3)「今回の事故機には陸上自衛隊・中央即応集団に所属する2人の自衛隊員が同乗していたことも明らかになった。自衛官は2人とも負傷しているという。自衛隊員はなぜ、米軍ヘリに搭乗していたのか。」。理由は、「日米の軍事一体化を象徴する事故だけに、政府はそのあたりの事情を詳しく明らかにすべきである。」から。

 安倍晋三政権は、琉球新報の「不幸中の幸いで墜落は洋上だったが、陸上で起きてもおかしくなかった。その危険度を減らすには、飛行場や常駐機、外来機の絶対数を引き下げるしかない。米軍基地の県内移設の不合理は、その意味でも歴然としているのである。」との指摘を、肝に銘じるべきである。

 以下、琉球新報及び沖縄タイムスの引用。







琉球新報社説-米軍ヘリ墜落 いつまで災い続くのか-2015年8月13日


 天から災いが降ってくることは、沖縄では空想の類いではない。沖縄戦から70年もたつ。いったいどれほどの時間を不安のままで過ごさねばならないのだろう。
 米陸軍のヘリコプターMH60が浜比嘉島の東の海域に墜落した。本土復帰から43年で46回目の墜落だ。年1回以上も墜落があり、着陸失敗などを含めると43年で540件を超す。こんな地域が他にあるだろうか。
 折しも菅義偉官房長官が来県し、辺野古新基地建設をめぐる県との集中協議を始めたまさにその日の墜落だ。皮肉と言うほかない。
 他県では絶対にあり得ない事態を沖縄に強いている事実。それをまず菅氏は直視すべきだ。その事態を真の意味で取り除くすべは何なのか、虚心に考えてみるがよい。そうすれば、同じ沖縄県内に代替基地を造ることが「負担軽減」などであるはずがないことは、くっきりと見えてくるだろう。
 政府はまず同型機の飛行中止を求めてもらいたい。自国民の安全を確保するのは、他国では当たり前の、最低限の要求である。
 そもそも事故原因の特定と再発防止策確立までの飛行中止は、民間機なら当たり前の話だ。何も特別な要求ではない。
 イタリアでは国内の米軍基地を飛び立つ米軍機はその都度、イタリア当局に申請し、許可を得る。米軍の重要な行動は全て事前にイタリア軍に伝えることになっている。事故を起こした同型機の飛行再開が、イタリア政府の許可なくして行われるはずがない。
 それが日本では平然となされている。米軍による基地の使い方に、日本政府が一切口出しできないこと自体、世界史的に見ても異常なのである。植民地そのものだ。戦後70年も経てなお植民地であり続けていることがおかしいのだ。
 同じ文脈で、事故の検証も日本側が主体的に行うべきだ。ドイツでは国内の米軍基地内もドイツ法を適用する。米軍人・軍属が事件事故を起こせば、ドイツ当局は基地内にも踏み込んで捜査する。同じ敗戦国なのに、いつまでも植民地扱いを許しているのは日本だけなのである。
 不幸中の幸いで墜落は洋上だったが、陸上で起きてもおかしくなかった。その危険度を減らすには、飛行場や常駐機、外来機の絶対数を引き下げるしかない。米軍基地の県内移設の不合理は、その意味でも歴然としているのである。


沖縄タイムス社説-[米軍ヘリ墜落]「沖縄の危険」浮き彫り-2015年8月13日


 また米軍ヘリが墜落した。

 米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡る政府と県の集中協議は、沖縄の現実をまざまざと見せつけたような、波乱含みの幕開けとなった。

 米陸軍のH-60型ヘリが12日午後、うるま市伊計島の南東約14キロの沖合で、米輸送艦への着艦に失敗し、墜落した。尾翼部分が折れるなど機体の損傷が激しく、乗員17人のうち6人が負傷した。

 この日午後、辺野古問題を集中協議するため県庁で菅義偉官房長官と会談した翁長雄志知事は冒頭、墜落事故に触れ、こう語った。

 「2時間ほど前にUH60ヘリが嘉手納沖に墜落した。(5月に)ワシントンに行くとき立ち寄ったハワイでは、ちょうどそのときMV22(オスプレイ)が墜落した」

 翁長知事は、二つの墜落事故を引き合いに出して、基地周辺に住んでいる人々の負担がいかに大きいかを強調したのである。

 県の調べによると、復帰後の米軍航空機による事故は2014年12月末現在、固定翼機の墜落28件、ヘリの墜落は17件にのぼる。不時着や部品落下事故など「日常的」な事故を含めると、その数は大幅に増える。

 今回の事故機には陸上自衛隊・中央即応集団に所属する2人の自衛隊員が同乗していたことも明らかになった。自衛官は2人とも負傷しているという。自衛隊員はなぜ、米軍ヘリに搭乗していたのか。

 日米の軍事一体化を象徴する事故だけに、政府はそのあたりの事情を詳しく明らかにすべきである。
    ■    ■
 04年の、きょう8月13日は、沖縄国際大学の構内に米軍ヘリが墜落、炎上した日でもある。

 校舎を焦がし、民間地域の建物などに大きな被害を与えただけでなく、米軍が規制線を張って現場への立ち入りを阻止し、日本側の主権行使が著しく制約を受けた事故でもあった。

 13年8月5日には嘉手納基地のHH60ヘリがキャンプ・ハンセンに墜落した。立ち入り調査が長いこと認められず、宜野座村は大川ダムからの取水をおよそ1年間も中止せざるを得なかった。

 裁判で「違法」だと指摘された米軍機による騒音被害、頻繁に発生する米軍機事故と墜落の不安、事故が発生したときの米軍優位の対応、米兵によるさまざまな事件-これらの現実は、沖縄の基地維持を最優先してきた政府の不作為や怠慢によってもたらされたものである。その責任は重大だ。
    ■    ■
 翁長知事と菅官房長官との話し合いは、すれ違いに終わった。普天間飛行場の移設先はなぜ、辺野古でなければならないのか。政府は「抑止力の維持・強化」ということを強調するが、辺野古にオスプレイの新基地を建設して、中国の何を、どのように抑止しようというのか。

 県はこれらの疑問を逐一、政府にぶつけ、その回答をつぶさに公表してもらいたい。 今回の墜落事故は辺野古への新基地建設が決して問題の解決にならないことをあらためて明らかにしたといえる。


by asyagi-df-2014 | 2015-08-14 10:37 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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