沖縄から-「辺野古新基地建設作業中断」を考える。

 「辺野古新基地建設作業中断」を、各紙の社説を基に、考える。
 読売以外の各紙の社説の要約は次のようになる。

(協議開始の背景)
・琉球新報
①ここにきて政府が協議の場を設けたのは、翁長雄志知事が埋め立て承認取り消しを検討していることを恐れたからにほかならない。
②翁長知事が承認を取り消した後、9月の国連人権理事会本会議で新基地建設の不条理を世界に訴えることは、政府として避けたいということが背景にあろう。
③政府がその姿勢を変化させたのは、県と協議することで強権的なイメージを薄めたいとの思惑があろう。安保法案の強硬姿勢で低下した内閣支持率が、新基地本体工事強行でさらに低下することを避ける狙いが透けて見える。
④新基地建設問題を打開することを主眼に据えているとはとてもいえない。
・沖縄タイムス
①翁長雄志知事が第三者委員会の検証結果に基づき辺野古埋め立て承認を取り消し、訴訟に発展すれば政権が打撃を受ける。問答無用の強権的な姿勢があからさまになるからだ。そんな事態を避けたい思惑がありそうだ。
②菅氏が中断中の集中協議を提案したのは沖縄の声を無視できなくなった側面もある。
・朝日新聞
①これからの1カ月は、世論の批判が広がっている安全保障関連法案の参院審議と重なる。原発再稼働など国民の評価が割れる課題もある。そのうえに、沖縄県の強い反対を押し切って辺野古の埋め立てを強行すれば、内閣支持率のさらなる低下を招きかねない――。
②9月9日までの協議期間は、安保法案が成立するまでの、つかの間の「休戦期間」なのか。そんな疑念がぬぐえない。
・毎日新聞
①安保関連法案の衆院での強行採決などにより、各種世論調査で安倍内閣の支持率は下落し、不支持率が上回る傾向が出ている。
②辺野古移設問題で翁長氏が埋め立て承認を取り消し、政府が法的な対抗措置を繰り出したうえ本体工事を強行すれば、国と県の全面対立は避けられない。安保関連法案や内閣支持率にさらなる悪影響が出るのは必至だ。政権側にそういう判断が働いても不思議ではない。

(主張)
・琉球新報
①翁長知事は協議の場で「普天間飛行場を辺野古に移設することは不可能であるということをあらためて申し上げたい」と述べている。政府は新基地建設を押し付けるとみられ、協議は平行線をたどることが予想される。
 前知事の埋め立て承認について検証した第三者委員会は、承認手続きに「瑕疵(かし)が認められる」とする報告書を翁長知事に提出している。たとえ協議が決裂したとしても、翁長知事は粛々と埋め立て承認取り消しといった次の段階に進めばいいだけのことだ。
②県には政府を新基地建設断念に追い込むぐらいの決意で協議に臨むことが求められる。民意実現は県政の責務である。
・沖縄タイムス
①翁長知事は、選挙公約に託された有権者の思いを背負いいささかもぶれることなく協議に臨まなければならない。概算要求を控える中、集中協議の透明性を高め、県民に疑念を持たれることがないようにしてもらいたい。
②日本の安全保障は、過重な基地を負担する沖縄県民の犠牲の上に成り立っている。政府は集中協議の中でその事実に向き合い、辺野古新基地建設を見直して断念へ舵(かじ)を切るきっかけにすべきだ。
・朝日新聞
①双方に事情はあろうが、せっかくの対話の機会を問題の打開につなげてほしい。
②まず確認すべきは「辺野古か普天間か」の二者択一の議論はもう終わりにすることだ。
 中国と長期的に安定した関係を築くには、どんな外交戦略が必要なのか。そのなかに米軍や自衛隊をどう位置づけるべきなのか。沖縄に基地が集中することに意味があるのか。海兵隊の基地は本当に必要なのか。大きな構図の中で、白紙から再考すべきである。
 それは、安倍政権と沖縄県だけで成り立つ議論ではない。
③解決には米国との本格協議が必要であり、それを避けている限り、政権が本気で沖縄と向き合っているとは言えない。この1カ月を、こうした議論を深めるための転機とすべきだ。
・毎日新聞
①政府はこれを政治的なパフォーマンスにせず、沖縄の声に真剣に耳を傾け、解決の糸口を探ってほしい。
②工事の中断期間を限定することなく、解決策を見いだすまで県側ととことん話し合うべきだ。

 今回の「辺野古新基地建設作業中断」に、毎日新聞の「工事の中断期間を限定することなく、解決策を見いだすまで県側ととことん話し合うべきだ。」との位置づけを持たせるべきである。
 また、このわずか一月間の「辺野古新基地建設作業中断」が、真に意味あるものになるためには、朝日新聞の「解決には米国との本格協議が必要であり、それを避けている限り、政権が本気で沖縄と向き合っているとは言えない。この1カ月を、こうした議論を深めるための転機とすべきだ。」との主張にも見られるような、米国との本格協議のための始まりの期間と、その考え方を根本的に変える必要がある。
 もちろん、そのためには、琉球新報の「県には政府を新基地建設断念に追い込むぐらいの決意で協議に臨むことが求められる。民意実現は県政の責務である。」とする沖縄県側の姿勢が必要になることは言うまでもない。

 最後に、ここで読売の社説を載せたのは、「事態打開への知事も頭を冷やそう」との主張についてである。
 読売の前提は、あくまで、頭を冷やすのは安倍晋三政権ではなく沖縄県の側なのである。
 それは、「県に対する一連の配慮を通じ、県との対立状況の打開を目指す菅氏の判断を支持したい。」という評価さへ生む。
 「不毛な対立」と真摯に生きようとする人たちの営みを全否定し、「翁長氏は、菅氏との集中協議を機に歩み寄り、より現実的な対応を冷静に検討してはどうか。」とまで主張して恥じない、その姿勢は、本当に未来社会を展望できているのか。
読売には、問いたい。ジャーナリズムの使命とは何だったのか。

 以下、琉球新報及び沖縄タイムス、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞の社説の引用。






琉球新報-<社説>新基地集中協議 政治利用許されない 決裂なら承認取り消しを-2015年8月5日


 菅義偉官房長官が米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に伴う新基地建設工事を10日から9月9日までの1カ月間停止し、県と集中的に協議すると発表した。
 ここにきて政府が協議の場を設けたのは、翁長雄志知事が埋め立て承認取り消しを検討していることを恐れたからにほかならない。
 翁長知事が承認を取り消した後、9月の国連人権理事会本会議で新基地建設の不条理を世界に訴えることは、政府として避けたいということが背景にあろう。
 政治的な思惑で県との協議を利用することは許されない。政府は協議の場で県と真摯(しんし)に向き合い、民意を直視すべきだ。

政府は建設断念を

 考えの異なる者同士の協議では、双方が互いの意見に耳を傾け、妥協点を見いだして結論を出すことが求められる。だが、政府にそのような考えはないようだ。
 菅官房長官は「普天間の危険除去と辺野古移設に関する政府の考え方や、沖縄県の負担軽減を目に見える形で実現したいという政府の取り組みをあらためて丁寧に説明したい」と述べている。「辺野古が唯一の解決策」との考えに何ら変わりはないということだ。
 普天間飛行場は沖縄戦のさなか、住民を収容所に押し込めている間に米軍が無断で建設した。その経緯からしても「新基地は造らせない」とする県に正当性がある。県がこの点で妥協する必要は一切ない。政府が新基地建設を断念するのが筋である。
 安倍政権はこの間、「地元に丁寧に説明し、理解を求めながら進める」「沖縄に寄り添う」などと述べてきた。だが、県の工事停止要求や協議呼び掛けを無視し続けてきた。
 政府がその姿勢を変化させたのは、県と協議することで強権的なイメージを薄めたいとの思惑があろう。安保法案の強硬姿勢で低下した内閣支持率が、新基地本体工事強行でさらに低下することを避ける狙いが透けて見える。
 新基地建設問題を打開することを主眼に据えているとはとてもいえない。
 沖縄はこの時期、台風接近が続くことが予想され、もともと工事はできなくなる。その間を利用して県と協議し、丁寧に説明したとの形を残すことだけが目的だろう。
 一方で、政府が工事を一時停止し、県と協議せざるを得ない状況に追い込まれたのは、沖縄の強固な民意の存在がある。県民大会などを通して新基地建設の理不尽さを訴えて国民世論を喚起したことが、政府を立ち止まらせる結果につながったともいえよう。

後ろ向き対応に終始

 翁長知事は協議の場で「普天間飛行場を辺野古に移設することは不可能であるということをあらためて申し上げたい」と述べている。政府は新基地建設を押し付けるとみられ、協議は平行線をたどることが予想される。
 前知事の埋め立て承認について検証した第三者委員会は、承認手続きに「瑕疵(かし)が認められる」とする報告書を翁長知事に提出している。たとえ協議が決裂したとしても、翁長知事は粛々と埋め立て承認取り消しといった次の段階に進めばいいだけのことだ。
 菅官房長官は県が求めているキャンプ・シュワブ沿岸域の臨時制限区域への立ち入り調査を認める方針を示した。県は2月から調査を求めてきたが、米軍が拒否し、政府もその調整に積極的に協力しなかったため、実現できなかった。
 工事停止や協議開始、立ち入り調査など県の要求に対し、政府は全て後ろ向きな対応に終始している。今ごろ、調査が認められたからといって政府に感謝するわけにはいかない。ともあれ県はサンゴ破壊の状況を詳細に記録し、政府に問題点を突き付けてほしい。
 県には政府を新基地建設断念に追い込むぐらいの決意で協議に臨むことが求められる。民意実現は県政の責務である。


沖縄タイムス社説-[辺野古1カ月中断]政府は断念へ舵を切れ-2015年8月5日


 知事就任以来、4カ月も政府首脳に面会できず、沖縄防衛局のボーリング調査がサンゴ礁を傷つけた恐れがあるとして求めていた立ち入り調査も店(たな)ざらしにされていたのに一体何があったのだろうか。

 辺野古新基地建設をめぐり、菅義偉官房長官は記者会見で、移設作業を「10日から9月9日までの1カ月間中断する」と発表した。県が2月下旬に米軍に申請していた立ち入り調査も許可されるという。菅氏は「普天間の危険性除去と辺野古移設に関する考え方や負担軽減を実現したいという政府の取り組みを丁寧に説明したい」と語った。

 菅氏が発表したのは移設作業の中断であって断念ではない。辺野古に基地を建設する考えは何も変わっていない。この時期に発表した意図はどこにあるのだろうか。

 官邸は明らかにしていないが、想像できる。

 衆院で強行採決し、参院で審議中の安保法案をめぐり、安倍内閣の支持率は急落。不支持率が支持率を上回った。

 翁長雄志知事が第三者委員会の検証結果に基づき辺野古埋め立て承認を取り消し、訴訟に発展すれば政権が打撃を受ける。問答無用の強権的な姿勢があからさまになるからだ。そんな事態を避けたい思惑がありそうだ。

 安倍晋三首相は安保法案、原発再稼働、戦後70年談話と厳しい政治日程を抱える。9月には総裁選もある。そんな中で沖縄の声に耳を傾けるという一種のアリバイづくりのようにも見える。政権浮揚のために辺野古を使うのなら沖縄をもてあそぶものである。
    ■    ■
 菅氏の会見を受け、翁長知事も記者会見し、埋め立て承認の取り消しなど、この間は県としても新たな法的・行政手続きを取らないことを明らかにした。「辺野古への建設は不可能という前提で議論をしていきたい」とのスタンスをあらためて鮮明にした。

 菅氏が中断中の集中協議を提案したのは沖縄の声を無視できなくなった側面もある。

 辺野古では海上と陸上で体を張った反対運動が続く。市町村では「島ぐるみ会議」の結成が相次ぐ。それに県・名護市が加わり、三位一体の抗議活動が継続している。

 「辺野古基金」には全国から寄付金が届き、4億円を突破した。世論調査でも全国の6割以上が「工事中止」か「移設断念」を求めるようになるなど変化している。

 翁長知事は、選挙公約に託された有権者の思いを背負いいささかもぶれることなく協議に臨まなければならない。

 概算要求を控える中、集中協議の透明性を高め、県民に疑念を持たれることがないようにしてもらいたい。
    ■    ■
 第三者委の検証結果が指摘するように政府は埋め立て申請で「なぜ辺野古なのか」「なぜ沖縄なのか」説明していない。沖縄の多くの人が感じている根本的な疑問だ。政府は一度も答えたことがない。

 日本の安全保障は、過重な基地を負担する沖縄県民の犠牲の上に成り立っている。政府は集中協議の中でその事実に向き合い、辺野古新基地建設を見直して断念へ舵(かじ)を切るきっかけにすべきだ。



朝日新聞社説-政権と沖縄―「休戦」で終わらせるな-2015年8月5日


 ようやく安倍政権と沖縄県の対話の窓が開いたのだろうか。これを継続的な話し合いの場に育てなければならない。

 米軍普天間飛行場の沖縄県名護市辺野古への移設に伴う新基地建設をめぐり、安倍政権と沖縄県が9月9日まで1カ月間、すべての工事を中断し、集中的に協議することで合意した。

 近く本体工事に着手する方針だった政権と、前知事の埋め立て承認を取り消す方針だった沖縄県。このまま進めば、双方が対抗措置を繰り出す泥沼の衝突に発展するのは必至だった。

 その寸前に、かろうじて1カ月の猶予期間が生まれた。翁長雄志(おながたけし)知事の誕生から8カ月、すれ違いが続いてきた国と県が、本格的な話し合いの席に着くことは評価したい。

 だが、互いの歩み寄りは容易ではない。

 協議期間は1カ月に区切られている。政権が、辺野古移設が唯一の解決策という方針を転換する気配もない。

 おそらく政権にはこんな事情があるのだろう。

 これからの1カ月は、世論の批判が広がっている安全保障関連法案の参院審議と重なる。原発再稼働など国民の評価が割れる課題もある。そのうえに、沖縄県の強い反対を押し切って辺野古の埋め立てを強行すれば、内閣支持率のさらなる低下を招きかねない――。

 9月9日までの協議期間は、安保法案が成立するまでの、つかの間の「休戦期間」なのか。そんな疑念がぬぐえない。

 翁長知事も「辺野古新基地建設は不可能」とする姿勢を貫く構えだ。昨年の名護市長選、知事選、総選挙で繰り返し示された新基地建設反対の民意が知事の背中を押している。

 双方に事情はあろうが、せっかくの対話の機会を問題の打開につなげてほしい。

 まず確認すべきは「辺野古か普天間か」の二者択一の議論はもう終わりにすることだ。

 中国と長期的に安定した関係を築くには、どんな外交戦略が必要なのか。そのなかに米軍や自衛隊をどう位置づけるべきなのか。沖縄に基地が集中することに意味があるのか。海兵隊の基地は本当に必要なのか。大きな構図の中で、白紙から再考すべきである。

 それは、安倍政権と沖縄県だけで成り立つ議論ではない。

 解決には米国との本格協議が必要であり、それを避けている限り、政権が本気で沖縄と向き合っているとは言えない。この1カ月を、こうした議論を深めるための転機とすべきだ。


毎日新聞社説-辺野古工事中断 ポーズに終わらせるな-2015年08月05日


 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設にかかわる全ての工事が、10日から9月9日までの1カ月間、中断されることになった。その間に政府と県が集中的に協議するという。両者の対立が決定的になるのを回避し、話し合いによる問題解決を目指すことを、ひとまず歓迎したい。政府はこれを政治的なパフォーマンスにせず、沖縄の声に真剣に耳を傾け、解決の糸口を探ってほしい。

 政府と県が合意し、菅義偉官房長官と翁長雄志(おなが・たけし)知事が発表した。

 これまで政府は、辺野古沖で進めている海底ボーリング調査が終わり次第、この夏にも本体工事に着手する方針だった。合意により、政府は期間中、ボーリング調査を停止し、調査用のスパット台船を撤去する。車両による資材の搬入や、実施設計の協議もやめる。

 一方、県はこの間、辺野古埋め立て承認を取り消すなどの新たな法的・行政的手続きはとらない。県が、サンゴ礁の損傷を調べるため米軍に申請していた辺野古沖の臨時制限区域での潜水調査も認められる。

 政府が従来のかたくなな姿勢を変え、県との協議に取り組むのは、一歩前進ではある。

 だが、菅氏は「政府の考え方を負担軽減を含めて説明したい」と述べ、翁長氏も「辺野古移設は不可能だと申し上げたい」と語る。双方とも主張を曲げるつもりはなく、1カ月でどこまで協議が進展するか疑問だ。

 今回の合意は、政府側が県に呼びかけ、水面下で調整を続けてきたという。1カ月に区切った政府の方針転換には、政治的な思惑もにじむ。

 この夏は安倍政権にとって難しい政治課題が山積している。

 参院では安全保障関連法案を審議中だ。安倍晋三首相が発表する戦後70年談話をめぐり、首相の歴史認識が内外の注目を集めている。鹿児島県の九州電力川内原発の再稼働も迫っている。

 安保関連法案の衆院での強行採決などにより、各種世論調査で安倍内閣の支持率は下落し、不支持率が上回る傾向が出ている。

 このうえ、辺野古移設問題で翁長氏が埋め立て承認を取り消し、政府が法的な対抗措置を繰り出したうえ本体工事を強行すれば、国と県の全面対立は避けられない。安保関連法案や内閣支持率にさらなる悪影響が出るのは必至だ。政権側にそういう判断が働いても不思議ではない。

 政府は、今回の合意をそうした悪影響を回避するための政治的なポーズに終わらせてはならない。工事の中断期間を限定することなく、解決策を見いだすまで県側ととことん話し合うべきだ。


読売新聞社説-辺野古作業中断 事態打開へ知事も頭冷やそう-2015年08月05日


 菅官房長官が、米軍普天間飛行場の辺野古移設の作業を今月10日から1か月間中断する、と発表した。

 菅氏はこの間、移設に反対する翁長雄志知事と集中的に協議し、移設への理解を重ねて求める。他の米軍基地の負担軽減に前向きに取り組む姿勢も説明する。

 県が求めていた、移設先の立ち入り禁止水域でのサンゴ礁などの潜水調査も実現する見通しだ。

 県に対する一連の配慮を通じ、県との対立状況の打開を目指す菅氏の判断を支持したい。

 政府の海底ボーリング調査などに対し、県は反発を強めていた。知事の私的諮問機関は7月、前知事の埋め立て承認に「法的な瑕疵かしがある」との報告書をまとめた。翁長氏は、8月中にも承認を取り消す可能性を示唆している。

 菅氏には、安全保障関連法案への対応などで内閣支持率が低下する中、県との関係の決定的悪化を避けるとともに、冷却期間を設ける狙いもあるのだろう。

 翁長氏は、政府方針を歓迎した。移設作業の中断中は、埋め立て承認取り消しを見送る考えを示し、「話し合いで解決の糸口を探る努力は惜しまない」と語った。

 ただ、協議では「辺野古移設は不可能と改めて申し上げたい」とも強調した。協議が不調に終わった場合は、承認取り消しに踏み切る構えを崩していない。

 政府と県は協議でまず、市街地に位置する普天間飛行場の危険性の早期除去が最優先課題であることを確認せねばならない。

 辺野古移設は、その目的を実現するための最も現実的な解決策である。辺野古以外に有力な移設先は存在しない。翁長氏が反対に固執すれば、普天間飛行場の危険な現状が長期化する。他の基地負担軽減策の遅滞も招くだろう。

 日米両政府は、約1000ヘクタールに及ぶ県南部の米軍施設返還で合意している。辺野古移設が進展し、米軍との信頼関係が強まれば、他の施設返還の前倒しを図ることも不可能ではあるまい。

 翁長氏は、菅氏との集中協議を機に歩み寄り、より現実的な対応を冷静に検討してはどうか。

 埋め立ては、前知事が正当な行政手続きで承認した。翁長氏が取り消しても、政府には行政不服審査などの法的な対抗手段がある。移設作業の中止は簡単でない。

 不毛な対立を回避する対話の機会を逸してはなるまい。


by asyagi-df-2014 | 2015-08-05 12:03 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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