沖縄から-第三者委員会検証結果(3)

 沖縄和タイムスは2015年7月17日、【深堀り】で「『ただ法廷闘争』に至っても、県側に有利な判断が下される保証はない。知事側近は『国から莫大(ばくだい)な損害賠償を求められるリスクがある』と指摘。別の幹部は『報告書が指摘した点は、どれも法的な瑕疵とするには弱い』と打ち明けた。」と、伝えた。
 また、「とはいえ、日米で合意した辺野古移設計画を見直す動きは見られない。官邸関係者は仲井真弘多前知事の埋め立て承認に関し『審査に約9カ月かけ、県と防衛省が何度も協議している。手続きに瑕疵はない』と自信を見せる。一方、自民党関係者は、米映画テーマパーク『ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)』の沖縄誘致などで県が政府に協力を仰ぐ場面が増えると読む。『翁長氏もこぶしを振り上げにくいのではないか』と歩み寄りに期待を示した。」との記事を載せた。

 沖縄タイムスは7月17日の社説で次のように考え方を主張した。
(報告書の意義)
 弁護士や大学教授ら6人の有識者が、政治的な要素は抜きに、法律的な側面から理を尽くして報告書をまとめた意味は大きい。
(報告書の論点)
(1)委員会が、そもそもの問題として挙げたのは辺野古の「埋め立ては必要か」という点だ。つまり、「なぜ辺野古なのか」「なぜ県外ではないのか」の詳しい説明はない。県の頭越しに現行案を決め「唯一の選択肢」と繰り返すだけ。そこに委員会が言う「合理的な疑い」が生じている。
(2)報告書は公有水面埋立法で埋め立ての免許基準とされる「環境保全への十分な配慮」「埋め立てが国や地方公共団体の計画に違背していない」についても、法的瑕疵を指摘している。委員会が重く見たのは、生物多様性の豊かさと独自の生態系が守られるのかといった環境面の課題である。
(3)辺野古ありきの国の姿勢とその政治的圧力に、県の承認判断がゆがめられた可能性がある。
(沖縄タイムスの主張)
 県に求めたいのは承認取り消し後、国が工事を強行した時の具体的な対抗策だ。「法治国家」を強調する国には、示された「法的瑕疵」に真摯(しんし)に向き合ってもらいたい。

 あわせて、琉球タイムス7月17日の社説で次のように考え方を主張した。
(報告書の意味)
委員は弁護士や環境の専門家だ。
その有識者が1月の委員会発足以来、6カ月もかけて慎重かつ多角的に検証した結果である。翁長雄志知事が言葉通り、報告を「最大限尊重」すれば、やはり承認は取り消すしかない。
(報告書の論点)
(1)公有水面埋立法は環境保全に「十分配慮」することを要件とする。新基地の環境保全措置は、日本政府が示すものの、実際に守るかどうかは米軍次第である。第三者委がこの点を踏まえ、「保全策が適正に講じられたとは言い難く、十分とも認め難い」と指摘したのは納得がいく。実はこの点は、基地をめぐる最も本質的な指摘である。
(2)そもそも埋立法は「埋め立ての必要性」が前提だ。ジョセフ・ナイ元米国防次官補ら多数の米側専門家は、海兵隊が豪州や本国に撤退しても問題ないと述べている。第三者委が言うように「必要性」に「合理的な疑いがある」のは明らかだ。
(3)在沖米軍が「環境保全策」をほごにした例は枚挙にいとまがない。普天間基地の飛行経路は逸脱が常態化している。オスプレイは日米合意に反して市街地をヘリモードで飛び、高度も守っていないことは自治体の調査で証明済みだ。嘉手納と普天間の両基地は日米合意で夜間・未明は飛行しないはずだが、未明に100デシベル以上の殺人的爆音が響くのもたびたびだ。
(琉球新報の主張)
菅義偉官房長官は早速、「法治国家であり、工事を進める」と述べた。笑止千万だ。知事が承認を取り消せば移設作業は法的根拠を失う。「法治国家」なら、直ちに作業を中止するしかないはずだ。

 沖縄タイムスの「知事側近は『国から莫大(ばくだい)な損害賠償を求められるリスクがある』と指摘。別の幹部は『報告書が指摘した点は、どれも法的な瑕疵とするには弱い』と打ち明けた。」の記事は、これまでの日本政府のやり方を振り返れば、「さもありなん」と言うしかない。
 しかし、今までのこうしたあり方を否定しなければ未来を創造することはできないというのも、これまでの歴史からの厳しい結果である。
 問題は、その方向性を沖縄だけに依存するのではなく、自らの闘いにすることである。

 以下、沖縄タイムスの引用。








沖縄タイムス-【深掘り】辺野古取り消し時期探る翁長氏 国は自信「手続きに瑕疵ない」-2015年7月17日


 米軍普天間飛行場の移設をめぐり、沖縄県名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認手続きに法的な瑕疵(かし)があるとする有識者委員会の報告書が16日、翁長雄志知事に提出された。翁長氏は承認取り消しの判断時期を探る一方、対話を通じて政府側の譲歩を引き出す硬軟両様の構えを示す。政府も決定的な対決は避けたい考えで、双方の駆け引きが激しさを増しそうだ。
 ▽カード
 「どのように対応するのが効果的なのか、慎重に検討していきたい」。資料を合わせ686ページに上る報告書を受け取った翁長氏は、記者団に厳しい表情で語った。今後の判断に期限は示さず、報告書の詳細も「精査が必要」として明らかにしなかった。

 取り消しに前のめりだった翁長氏の物言いの変化には伏線がある。今月4日、東京に足を運び、菅義偉官房長官とホテルで夕食を取りながら会談。基地問題は封印し、同じ時期にともに法政大に通っていた学生時代や政治家としての歩み、家族など「生きてきた経緯」(翁長氏)を披露し合った。

 打開策を見つけるために話し合いを続けることには、双方とも異論はない。県幹部は、翁長氏が今後の交渉を優位に進めるため、取り消し判断の根拠となる報告書を「カードとしてしばらく温存する」と解説した。
 ▽リスク
 翁長氏が実際に取り消しに踏み切った場合はどうなるか。移設工事を担う沖縄防衛局が、関係法を所管する国土交通相に対し、知事の処分取り消しを求める審査請求と処分の効力を一時的に止める執行停止を申し立てる展開が予想される。

 執行停止が認められれば、政府は移設作業を継続できる。県は作業停止を求め、国を相手取り裁判所に訴えを起こすとみられる。

 防衛局が申し立てを見送る代わりに、国交相が取り消し処分を是正するよう県に指示する可能性もある。この場合は、指示に応じない県を国が司法の場に訴えることになりそうだ。

 ただ「法廷闘争」に至っても、県側に有利な判断が下される保証はない。知事側近は「国から莫大(ばくだい)な損害賠償を求められるリスクがある」と指摘。別の幹部は「報告書が指摘した点は、どれも法的な瑕疵とするには弱い」と打ち明けた。
 ▽こぶし
 「沖縄県には冷静で慎重な判断をお願いしたい。翁長氏も首長として現状をどうするか責任がある。そのままなら普天間の固定化につながりかねない」。菅氏は16日の記者会見で、周囲に住宅が密集する普天間飛行場の危険性に触れ、翁長氏をけん制した。

 安全保障関連法案の影響で内閣支持率が低下傾向となる中、辺野古移設をめぐる県との対立深刻化は避けたい本音があるのは間違いない。

 とはいえ、日米で合意した辺野古移設計画を見直す動きは見られない。官邸関係者は仲井真弘多前知事の埋め立て承認に関し「審査に約9カ月かけ、県と防衛省が何度も協議している。手続きに瑕疵はない」と自信を見せる。

 一方、自民党関係者は、米映画テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」の沖縄誘致などで県が政府に協力を仰ぐ場面が増えると読む。「翁長氏もこぶしを振り上げにくいのではないか」と歩み寄りに期待を示した。(共同通信)


沖縄タイムス社説-[第三者委「瑕疵」報告]新基地阻止 次の段階へ-2015年7月17日


 名護市辺野古で進む新基地建設の根拠となっている公有水面埋め立て承認手続きを検証していた第三者委員会が、「手続きには法的に瑕疵(かし)があった」とする報告書を、翁長雄志知事に提出した。

 国の埋め立て申請に不備があり、それを審査した県の対応も不十分と断じる内容だ。

 弁護士や大学教授ら6人の有識者が、政治的な要素は抜きに、法律的な側面から理を尽くして報告書をまとめた意味は大きい。誤りが裏付けられたことで新基地建設阻止に向けた県の取り組みは新たな段階に入る。

 委員会が、そもそもの問題として挙げたのは辺野古の「埋め立ては必要か」という点だ。
 防衛省は米軍普天間飛行場の移設先として辺野古沿岸の公有水面埋め立て承認申請書を県に提出した当時から、「普天間の危険性除去は喫緊の課題、固定化は絶対に避けなければならない」と言い続けてきた。

 しかし「なぜ辺野古なのか」「なぜ県外ではないのか」の詳しい説明はない。県の頭越しに現行案を決め「唯一の選択肢」と繰り返すだけ。そこに委員会が言う「合理的な疑い」が生じている。

 海兵隊の「抑止力論」が色あせてしまった今、辺野古への移設を見直すことが、むしろ普天間の危険性除去の近道と考える県民は多い。

 埋め立ての根拠を問うのは、米側と本気になって交渉し沖縄の負担軽減を図ろうとしない政府の姿勢を問うことにもつながっている。
    ■    ■
 報告書は公有水面埋立法で埋め立ての免許基準とされる「環境保全への十分な配慮」「埋め立てが国や地方公共団体の計画に違背していない」についても、法的瑕疵を指摘している。

 委員会が重く見たのは、生物多様性の豊かさと独自の生態系が守られるのかといった環境面の課題である。

 ジュゴンの保護策一つをとっても、国の環境影響評価書では「辺野古地先を利用する可能性は小さい」となっていたが、実際は環境団体が多数の食(は)み跡を確認するなど、国の予測や保全策の不備は明らかだ。にもかかわらず、前県政は「ジュゴン保全に関する科学的知見が少なく現時点で取り得る対策は講じている」という曖昧な理由で埋め立てを承認した。

 辺野古ありきの国の姿勢とその政治的圧力に、県の承認判断がゆがめられた可能性がある。
    ■    ■
 翁長知事は、8月中にも埋め立て承認取り消しを表明する。

 3月に知事が出した新基地建設作業の停止指示を、沖縄防衛局が行政不服審査法による手続きで「無効」にした時と同様、承認取り消しも「無効」とされる恐れがある。地方自治法に基づき国が取り消しの是正を求める対応も想定される。いずれにしても法廷闘争となる公算が大きい。

 県に求めたいのは承認取り消し後、国が工事を強行した時の具体的な対抗策だ。「法治国家」を強調する国には、示された「法的瑕疵」に真摯(しんし)に向き合ってもらいたい。


琉球新報社説-辺野古検証委報告 承認は取り消すしかない-2015年7月17日


 辺野古埋め立てに対する前知事の承認について検証した第三者委員会が「法律的な瑕疵(かし)が認められる」と報告した。新基地建設はついに重大な局面を迎えた。
 委員は弁護士や環境の専門家だ。
その有識者が1月の委員会発足以来、6カ月もかけて慎重かつ多角的に検証した結果である。翁長雄志知事が言葉通り、報告を「最大限尊重」すれば、やはり承認は取り消すしかない。
 在沖米軍が「環境保全策」をほごにした例は枚挙にいとまがない。普天間基地の飛行経路は逸脱が常態化している。オスプレイは日米合意に反して市街地をヘリモードで飛び、高度も守っていないことは自治体の調査で証明済みだ。嘉手納と普天間の両基地は日米合意で夜間・未明は飛行しないはずだが、未明に100デシベル以上の殺人的爆音が響くのもたびたびだ。
 公有水面埋立法は環境保全に「十分配慮」することを要件とする。新基地の環境保全措置は、日本政府が示すものの、実際に守るかどうかは米軍次第である。第三者委がこの点を踏まえ、「保全策が適正に講じられたとは言い難く、十分とも認め難い」と指摘したのは納得がいく。
 実はこの点は、基地をめぐる最も本質的な指摘である。米軍の姿勢は、ひとえに日米地位協定3条で排他的管理権を米側に認めたことに起因する。日本側が基地の使い方に一切口出しできないという規定だ。ドイツでもイタリアでも米軍は現地の国の法律に従う。日米地位協定は、他国ではあり得ない植民地的規定なのである。
 これがある以上、どんな対策もほごになりうる。「適正に講じる」ことは不可能なのだ。
 そもそも埋立法は「埋め立ての必要性」が前提だ。ジョセフ・ナイ元米国防次官補ら多数の米側専門家は、海兵隊が豪州や本国に撤退しても問題ないと述べている。第三者委が言うように「必要性」に「合理的な疑いがある」のは明らかだ。
 菅義偉官房長官は早速、「法治国家であり、工事を進める」と述べた。笑止千万だ。知事が承認を取り消せば移設作業は法的根拠を失う。「法治国家」なら、直ちに作業を中止するしかないはずだ。
 知事が取り消せば、防衛省は知事の処分取り消しを国交省に申し立てると聞く。政府が政府に申し立てる茶番は、この国が「人治国家」であることを示している。


by asyagi-df-2014 | 2015-07-19 15:03 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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