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労働者派遣法改正を東海林智さんの記事で考える。

 朝日新聞は、2015年6月19日、「派遣社員の受け入れ期間の制限を事実上なくす労働者派遣法改正案が19日午後の衆院本会議で採決され、与党の賛成多数で可決された。今後は参議院で審議されることになる。与野党で激しく対立してきた同法案は成立に近づいた。」と、報じた。
このことについて、週刊金曜日6/19/2015-1044号の東海林智さんの「『3年で切り捨て』を認める法改悪の非道 いよいよ『生涯派遣』の時代が迫る」を基に、考える。

 東海林は、改正の要点を次のようにまとめる。
(1)今回の改正は、派遣の期間の制限を業務単位から人単位に改めた。派遣労働者が一つの企業で働ける期間の上限を一律3年間とした。そのため、これまで期間の制限がなかった通訳や秘書など専門26業務も3年が上限となった。つまり、26業務で働いている人も3年で雇い止めになる。
(2)派遣労働者を使う企業は同じ労働者を3年以上使うことはできないが、人を変えれば同じ仕事にまた派遣労働者を使うことができる。これまでの派遣労働を利用する際の「派遣労働は臨時的、一時的なものに限る」との原則をないがしろにしたもので、正社員の派遣労働への置き換えなど派遣労働がどんどん拡大する危険性が指摘されている。
(3)派遣労働者が淡い期待をかけていた「同一労働同一賃金法」は、「均等な待遇及び均衡の取れた待遇」と変更され、この均衡の言葉が入ったことで骨抜きにされてしまった。

 東海林は、この記事では派遣労働者の怒りの声を、あわせて伝えた。
 (1)については、「30代半ばを過ぎ、正社員での就職は難しく、せめて長期間働ける専門業務を探してようやく仕事を見つけた。なのに、3年で雇い止めではやってられない」と。
 (2)については、「これまで3年の制限があったから、正社員にしてでも使いたいと思ったら正社員に登用されるケースもあった。しかし、今回の改正で、人を変えれば派遣を使い続けることができるし、課を変えれば同じ人を派遣として使い回すことも可能となる。派遣先は正社員として雇う理由がなくなる」、また、「派遣先が変わる度に賃金はリセットされ下がるだろう.改正で処遇はむしろ悪くなる。」と。

 この記事の最後に、東海林は、こうまとめている。
 「私たちはぎりぎりで踏ん張り、誇りを持って仕事をしている。この改悪に黙っていられない」。との声を紹介し、「誰のための改正か」と。


by asyagi-df-2014 | 2015-06-22 11:08 | 書くことから-労働 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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