学問の自由とは。

 朝日新聞は、2015年6月17日、「下村博文・文部科学相は16日、全86の国立大学長らに、卒業式や入学式で国旗掲揚と国歌斉唱をするように要請した。東京都内であった国立大学長会議で、『取り扱いについて、適切にご判断いただけるようお願いする』と述べた。」と、報じた。

 このことに関しては、、「学問の自由を考える会」が、次の視点を明確にするなかで、反対していた。

(1)大学が国家権力から距離を置き、独立を保つことは、学問が進展・開花する必要条件である。
(2)政府の権力、権威に基づいて国旗国歌を強制することは、知の自律性を否定し、大学の役割を根底から損なうことにつながる。

 また、文部科学省の要請の撤回を求める理由についても、その根拠を次のように明確にしている。

①そもそも大学は、ヨーロッパにおけるその発祥以来、民族や地域の違いを超えて、人類の普遍的な知識を追究する場として位置付けられてきた。それぞれの国民国家の独自性は尊重されるが、排他的な民族意識につながらないよう慎重さが求められる。
②そもそも大学は、ヨーロッパにおけるその発祥以来、民族や地域の違いを超えて、人類の普遍的な知識を追究する場として位置付けられてきた。それぞれの国民国家の独自性は尊重されるが、排他的な民族意識につながらないよう慎重さが求められる。
③文部科学省は今回のはたらきかけは要請にすぎないと説明しているが、国立大学法人が運営費交付金に依存する以上、「要請」が圧力となることは明白である。
④伝統と文化とは何かを考究すること自体、大学人の使命の一つであり、既存の伝統の問い直しが新しい伝統を生み、時の権力への抵抗が国家の暴走や国策の誤りを食い止めることも多い。
⑤教育基本法第七条が『大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない』とするゆえんである。

 こうした動きは、安倍晋三政権による現在の立憲主義を否定した安保関連法案成立への強行施策と非常に密接に結びついた策動である。
 大事なのは、一人ひとりの「否」の姿勢と、それをいかに組織していくかということになる。

 以下、学問の自由を考える会の声明及び朝日新聞の引用。






国旗・国歌に関する国立大学への要請に反対する声明


 本年4月9日の参議院予算委員会における安倍晋三首相の答弁を機に、文部科学省は国立大学に対して、入学式、卒業式において国旗を掲揚し、国歌を斉唱するよう要請するとされている。これは、日本における学問の自由と大学の自治を揺るがしかねない大きな政策転換であり、看過できない。

 そもそも大学は、ヨーロッパにおけるその発祥以来、民族や地域の違いを超えて、人類の普遍的な知識を追究する場として位置付けられてきた。それぞれの国民国家の独自性は尊重されるが、排他的な民族意識につながらないよう慎重さが求められる。現在、日本の大学は世界に開かれたグローバルな大学へと改革を進めているが、政府主導の今回の動きが、そうした方向性に逆行することがあってはならない。

そもそも大学は、ヨーロッパにおけるその発祥以来、民族や地域の違いを超えて、人類の普遍的な知識を追究する場として位置付けられてきた。それぞれの国民国家の独自性は尊重されるが、排他的な民族意識につながらないよう慎重さが求められる。大学が国家権力から距離を置き、独立を保つことは、学問が進展・開花する必要条件である。文部科学省は今回のはたらきかけは要請にすぎないと説明しているが、国立大学法人が運営費交付金に依存する以上、「要請」が圧力となることは明白である。

 たしかに教育基本法第二条は、教育目標の一つとして、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する(中略)態度を養う」ことを掲げる。しかし、伝統と文化とは何かを考究すること自体、大学人の使命の一つであり、既存の伝統の問い直しが新しい伝統を生み、時の権力への抵抗が国家の暴走や国策の誤りを食い止めることも多い。教育基本法第七条が「大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない」とするゆえんである。政府の権力、権威に基づいて国旗国歌を強制することは、知の自律性を否定し、大学の役割を根底から損なうことにつながる。

 以上の理由から、我々は、大学に対する国旗国歌に関する要請を撤回するよう、文部科学省に求める。

2015年4月28日
学問の自由を考える会


朝日新聞-卒業・入学式での国旗国歌、86国立大に要請 文科相-2015年6月17日


 下村博文・文部科学相は16日、全86の国立大学長らに、卒業式や入学式で国旗掲揚と国歌斉唱をするように要請した。東京都内であった国立大学長会議で、「取り扱いについて、適切にご判断いただけるようお願いする」と述べた。

 冒頭のあいさつで下村文科相は、国旗と国歌が国民に定着してきたことと、1999年の国旗国歌法の施行が今回の要請の背景にあると説明した。ただし、学習指導要領に基づいて実施を指導してきた小中高校とは異なり、「各国立大学の自主的な判断にゆだねられている」と話した。

 下村文科相は要請後、記者団の取材に応じ、「適切な判断」とは国旗を掲揚し、国歌を斉唱することかという質問に、「文科省としてそういうお願いをした」と答えた。「最終的に各大学の判断。大学の自治とか学問の自由とかに抵触するようなことは全くない。介入ではない。お願いしているだけだ」と強調した。実施状況の調査は「今のところは考えていない」という。

 文科省によると、3月時点で、予定を含め、今春の卒業式で国旗掲揚した国立大は74校、国歌斉唱したのは14校だった。(石山英明、高浜行人)


by asyagi-df-2014 | 2015-06-18 09:01 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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