本からのもの-「日本なぜ、「基地」と「原発」を止められないのか」

著書名;「日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか」
著作者;矢部宏治
出版社;集英社インターナショナル

 矢部の引用したヘルムート・シュミットの「日本は周囲に友人がいない。東アジアに仲のいい国がない。それが問題です。」との助言が、確かに、納得できる。
 矢部の言う「安保村」の解体は、「われわれも調査をつづけます。フィリピンの憲法改正と、ドイツ『「2プラス+4条約』と『独立』までの歴史、国連憲章『敵国条項』、子どもの被爆問題については、近い将来、『〈戦後再発見〉双書〉のなかで、それぞれ一冊の本にすることを最後にお約束しておきます。」という宣言によって、検討の価値を持つ。

 矢部の重要な次の指摘は、この本を通したテーマである。

「すべての軍事力と交戦権を放棄した憲法9条2項」と、「人類史上最大の攻撃力を持つ米軍の駐留」が共存するという、きわめて大きな矛盾が生まれてしまった。そうした矛盾を内包したまま、『米軍が天皇制を守る』という非常に歪んだ形で、戦後日本(安保村)の国家権力構造が完成することになったのです。」

 それは、「あくまで日本側からの希望に、アメリカ側が応じる形で駐留するということになっていたのです。このことが、現在でも敵国条項(国連憲章第五三条・第一〇七条)が実質的に日本に適用されつづけている最大の原因だと私は思います。」となり、「より本質的な原因としては、『米軍駐留を日本側から、しかも昭和天皇が日本の支配層の総意として要請した』ところにあったといってよいでしょう。」と、まとめられる。

 また、矢部は、「日本国憲法の真実」として、次のように指摘する。

「『日本国憲法の真実』を極限まで簡略化すると、①占領軍が密室で書いて、受入を強要した、②その内容の多く(とくに人権条項)は、日本人にはとても書けない良いものっだった、ということになるからです。これが日本国憲法をめぐる『大きなねじれ』の正体です。」

 矢部は、この問題の解決には、「①の歴史的事実をきちんと認めた上で、②を越えるような内容の憲法を自分たちでつくるというのが、どこの国でも当たり前のあり方です。」と、提起する。

 矢部の多くの指摘は、検討に値するものである。
 今しなければならないことを整理しながら、考えていくことになる。

 最後に、長文になるが、今の日本の実像を見極めるために、引用して終わる。

「一九九〇年に結んだ『2プラス4条約』にもとづき、米英仏ソの駐留軍はすべて一九九四年までにドイツから完全撤退していきました、現在ドイツに残っている米軍は、基本的にNATO軍としての制約のもとに駐留しており、そのドイツの国内法が適用されています。こうして日本と同じく第二次大戦の敗戦国だったドイツは、長く苦しい、しかし戦略的な外交努力の末、戦後四九年目にして、ついに本当の意味での独立を回復することができたのです。
 それにひきかえ日本は、ドイツのように周辺諸国に真摯に謝罪し、「過去の克服」をおこなうのではなく、戦後まもなく成立した冷戦構造のなか、米軍基地の提供とひきかえに、外交と安全保障をすべてアメリカに任せっきりにして、国際社会への復帰をはたしました。講和条約に通常書かれるはずの敗戦国としての戦争責任も明記されず、賠償金の支払いも基本的に免除されました。そして過去に侵略をおこなった韓国や中国などの周辺諸国に対しては、贖罪意識よりも、経済先進国としての優越感を前面に押し出すようになり、戦後七〇年のあいだ、本当の意味での信頼関係を築くことが、ついにできませんでした。その結果、日本は世界でただ一国だけ、国連における『敵国』という国際法上最下層の地位にとどまっているのです。・・・。
 アメリカに従属していれば、その保護のもとで『世界第三位の経済大国』という夢を見ていられます。しかし、ひとたびアメリカから離れて自立しようとすれば、世界で一番下の法的ポジションから、周辺国に頭を下げてやり直さなければならない。それはまさに戦後の西ドイツが歩んだ苦難の道そのものです。
 今さらそんな大変なことはやりたくないし、そもそもどうやっていいかわからない。だから外務省が中心になって、米軍の中量継続をみずから希望し、ありもしない『アジアの冷戦構造』という虚構を無理やり維持しようとしている。それが現在の『戦後日本(安保村)の正体』なのです。」 


by asyagi-df-2014 | 2015-06-17 05:51 | 本等からのもの | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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