労働問題-ブラックバイトを考えることから


 ここ最近、ブラック企業という言葉が定着してしまっているのが、実は、日本の実態である。このブラック企業を背景とする日本の企業のあり方が、「ブラックバイト」を生み出してきているのである。
 企業の利潤の追求が「子どもの貧困」を生みだし、それを維持させるものとして「ブラック企業」や「ブラックバイト」という「制度」が利用されている構造にあるのではないか。
 そして、そうした構造を下支えするものとして、安部晋三政権が「労働者派遣法」改正を企てていることを、まずは、理解する必要がある。
 今回、朝日新聞が「『ブラックバイト』について考える」を特集した。
 ブラック企業やブラックバイトを考えるために、この特集からその声(実態)を拾い出してみた。

(バイト学生の声))
・友達に「最低賃金より安いのはおかしい」と言われましたが、「個人経営だから仕方ないのかな」と思っていました。
・いま振り返ると「最近の若者はダメだ」と自分を含めて思われるのが嫌で、必要以上に頑張ってしまったと感じているそうです。
・20時間近く残業した月もあるのに店長から「未払い賃金はないよね」と確認され、言い返せなかったそうです。「店ではそれが当たり前で、どうしても切り出せなかった」
・「勝手に辞めたらほかの人に迷惑がかかる」。不満を抱えつつ、いまも働いています。
・「何度も店長にお願いしたけど、きついシフトは変わりませんでした」。
・「体調不良でも休めず実家にも帰省しづらい」
・「就職活動への不安もあるけど、辞めるとほかの人の負担が増える」。責任感を利用されているような気がして、「期待している」と店長から言われても素直に喜べないと言います。
・おでんやケーキの販売目標を書かされ、達成するため自腹で買った。

(バイト学生の親の声))
・高校2年の長女が焼き肉店を辞めることになり、代わりに賃金を受け取りに行くと店長が「罰金がある」。実際に受け取った賃金は、出勤した分の半分以下でした。納得できずお店の本社に手紙を出すと、「減額が法律違反という前にお店のルールを守って下さい」という返信とともに、長女がサインした「誓約書」のコピーが送られてきました。代わりがいない時のシフト変更や欠勤によって違約金をとられることや、レジの操作ミス時に損害賠償を請求されることが書かれていました。ただ、労働基準監督署に相談していることを伝えると、減額分は振り込まれました。「法律を調べ、言うべきことを言うのが大切です」
・大学2年の娘が最近まで塾講師をしていて、「夏休みや冬休みは講習に追われ、食事や休憩もろくに取れていなかった」。夜間に社員がおらず、具合が悪くなった子どもやその保護者への対応までしていて「バイトの役割を超えていて心配だった」と言います。

(雇い主の声)
・京都府でコンビニ店を営む40代男性は「本部の圧力や他店との競争が、結果的にブラックバイトに結びついている」と感じています。
・経営者がルールを知らないケースもありました。愛知県で飲食店を経営する男性は、最近まで一部のバイト代が最低賃金より安く、法定の深夜・休日割り増しもしていませんでした。法律に違反し罰則もありますが、「税理士らに指摘されるまで誰も教えてくれなかった」。


 こうした「ブラックバイト」の問題が出てくると、必ず唱えられるのが、「自己責任」論であるが、こうした声は、自己責任を主張することの誤りを、証明している。
 何故なら、こうした問題の背景は、朝日新聞がこの特集でした次の指摘にあるからである。

「ブラックバイト問題は、家庭の収入減で、学費や生活費をバイト代や奨学金に頼る学生が増えたのも背景にあります。若者を酷使する『ブラック企業』も横行し、学業との両立が難しくなっています。
 いまは職場から正社員が減り、バイトが高度な仕事を任されやすい。さらに学生は部活動と同じように協調性を大事にして、最後まで頑張ってしまう。辞めるのは自由なのに、周りへの迷惑を心配してできない。バイトで『不当な扱いを受けた』という声が多いのは、『何も言ってこない』と踏んでひどい扱いをする企業が多い裏返しでもあります。」


 また、「労働契約の問題だと理解している学生はほとんどいません。本人の同意があると企業側が主張し、『グレーゾーン』になる例も目立ちます。シフトを勝手に入れられても、断れずに出勤して給料が払われてしまえば、違法とは言いにくい。自爆営業も同じことが言えます。」という朝日新聞の指摘は、まさしく、日本のこれまでの労働行政及び教育行政のの貧困さを物語っている。

 以下、朝日新聞の引用。





朝日新聞-(フォーラム)「ブラックバイト」について考える-2015年5月25日


 学生らに「ブラックバイト」と呼ばれる働き方が広がっていることを4月下旬から報じてきました。これまでに雇う側を含め、120件超の電子メールや手紙が寄せられました。ご意見や追加取材をもとに、なぜこうした問題が起きてしまうのか考えます。
 ■バイト学生は―― 「辞めたい」言い出せず
 3年前の飲食店での体験を寄せてくれた名古屋市の女子大学生を取材しました。求人には時給800円となっていたのに、「研修期間だから」と言われ、最初の2カ月は当時の愛知県の最低賃金750円を下回る700円で働いていたそうです。

 友達に「最低賃金より安いのはおかしい」と言われましたが、「個人経営だから仕方ないのかな」と思っていました。時給はその後850円まで上がりましたが、午後10時以降に働かせた場合に法律で義務づけられている深夜の割増賃金は支払われていませんでした。

 店長は「どれだけ給料を払っていると思っているんだ」などと来店客の前で叱ることもあり、「辞めたいと何度も思ったけど、怖くて言い出せなかった」そうです。結局、1年ほどたち、休みで実家に戻ることをきっかけに辞めました。いま振り返ると「最近の若者はダメだ」と自分を含めて思われるのが嫌で、必要以上に頑張ってしまったと感じているそうです。
    *
 <残業代なし「当たり前」> 首都圏のドラッグストアで働く女子大学生(19)にも取材しました。バイト仲間に教えられるまで残業代が出ていないことを知らず、20時間近く残業した月もあるのに店長から「未払い賃金はないよね」と確認され、言い返せなかったそうです。「店ではそれが当たり前で、どうしても切り出せなかった」

 家庭の経済的な事情から、学費と交通費以外は自分で稼ぐよう親に言われています。郊外の自宅から大学まで片道約2時間。帰りの電車を考えるとバイト先は自宅近くに限られますが、郊外で夜に働ける職場は多くはありません。

 店は人手不足で、勉強したい日も駆り出されます。ほかのバイトが急に辞めたために残った人で対応したら、レジが混雑し、来店客から怒られたそうです。それがトラウマになって、「勝手に辞めたらほかの人に迷惑がかかる」。不満を抱えつつ、いまも働いています。
    *
 <毎月20日以上は出勤> 「何度も店長にお願いしたけど、きついシフトは変わりませんでした」。福岡県の女子大学生(20)は、働いている書店の勤務表を記者に見せてくれました。1日4時間ながら、5月の出勤予定日は店長とほぼ同じ23日。ここ1年ほど、毎月20日以上働いているそうです。

 学費と生活費は、奨学金とバイト代でやりくりしています。月15日ぐらい働けばなんとかなるので学業にも力を入れたいですが、「人手が足りない」として勤務を詰め込まれてしまいます。「体調不良でも休めず実家にも帰省しづらい」

 「辞めたい」と言ってもはぐらかされ、ベテランになってきたので複雑な仕事も任されるようになったそうです。「就職活動への不安もあるけど、辞めるとほかの人の負担が増える」。責任感を利用されているような気がして、「期待している」と店長から言われても素直に喜べないと言います。
 ■親は―― 役割超えた業務、心配
 埼玉県の50代女性は、5年前の経験を話してくれました。高校2年の長女が焼き肉店を辞めることになり、代わりに賃金を受け取りに行くと店長が「罰金がある」。

 実際に受け取った賃金は、出勤した分の半分以下でした。納得できずお店の本社に手紙を出すと、「減額が法律違反という前にお店のルールを守って下さい」という返信とともに、長女がサインした「誓約書」のコピーが送られてきました。代わりがいない時のシフト変更や欠勤によって違約金をとられることや、レジの操作ミス時に損害賠償を請求されることが書かれていました。

 ただ、労働基準監督署に相談していることを伝えると、減額分は振り込まれました。「法律を調べ、言うべきことを言うのが大切です」

 長崎市の女性は、大学2年の娘が最近まで塾講師をしていて、「夏休みや冬休みは講習に追われ、食事や休憩もろくに取れていなかった」。夜間に社員がおらず、具合が悪くなった子どもやその保護者への対応までしていて「バイトの役割を超えていて心配だった」と言います。
 ■雇い主は―― 売り上げ増の圧力背景
雇い主側の声もあります。

 大手コンビニの加盟店を経営する東日本の50代男性は、本部がつくった地区の「成績表」を見せてくれました。何がどこでどれだけ売れているか、自店は何番目か、一目でわかります。本部担当者との打ち合わせでは、成績表をもとに「顧客への声かけは?」「従業員をもっと巻き込みましょう」と言われます。

 コンビニ各社は、本部と経営者は対等な立場で、従業員管理などの細かな指示はしないとしています。男性を含め、複数の経営者は「本部がバイトに販売ノルマを指示することはなかった」としています。

 一方、お中元やクリスマスケーキといった季節商品の売り上げ増を本部から強く求められます。本部は契約を打ち切ることもできます。男性は「同じ方向を見てくれないと契約更新できるかどうか」と言われたそうです。京都府でコンビニ店を営む40代男性は「本部の圧力や他店との競争が、結果的にブラックバイトに結びついている」と感じています。

 働く側の問題を指摘する意見もありました。すし宅配店を経営する関西の40代男性は、連絡がないまま辞めていくバイト学生がいたと言います。急なシフト変更や残業で、しわ寄せはほかのバイトに。「自分の都合で辞められると店が成り立たなくなる現実をわかって」

 経営者がルールを知らないケースもありました。愛知県で飲食店を経営する男性は、最近まで一部のバイト代が最低賃金より安く、法定の深夜・休日割り増しもしていませんでした。法律に違反し罰則もありますが、「税理士らに指摘されるまで誰も教えてくれなかった」。

 奈良県で食品店を経営する30代男性は消費者の理解も求めます。「従業員増も賃上げもしたいが、現状では経営できなくなる。人件費を価格転嫁できるよう、消費者もモノの適正価格について考えて欲しい」
 ■「コンビニで自腹購入」
 おでんやケーキの販売目標を書かされ、達成するため自腹で買った。初めてのバイトで先輩たちも買っていたので、当然だと思っていた。内心は嫌だったけど、「みんなで頑張ろう」と盛り上がっていて、雰囲気を壊すようで言えなかった。

 (東京都・専門学校生・19歳)
    *
 ■「ほかの人に負担、辞められず」
 外食チェーンに週3日の約束で入ったが、多い時は週6日。シフト変更は1カ月前に申請しなければならず、学校行事でも認めてくれない。何度も辞めたいと思ったが、夜にホールで働ける人が少なく、ほかの人に負担がかかるので辞められない。

 (島根県・高校生)
    *
 ■「事業主もルール学んで」
 労働組合で相談を受けている。研修中の無給、制服代を給与から天引きといった例が増えている。学生はもちろん、事業主も働くルールを学ぶ機会が必要だ。

 (愛媛県・高尾佳孝さん・45歳)
 ■証拠書類残し、相談先探して ブラック企業被害対策弁護団代表・佐々木亮弁護士
 働く前にブラックかどうかを見極めるのは難しいです。バイト学生は、行政や労働組合の相談先を事前に調べておくのが大切です。契約書や労働条件通知書、給与明細書などの書類も残しておきましょう。

 ブラックバイト問題は、家庭の収入減で、学費や生活費をバイト代や奨学金に頼る学生が増えたのも背景にあります。若者を酷使する「ブラック企業」も横行し、学業との両立が難しくなっています。

 いまは職場から正社員が減り、バイトが高度な仕事を任されやすい。さらに学生は部活動と同じように協調性を大事にして、最後まで頑張ってしまう。辞めるのは自由なのに、周りへの迷惑を心配してできない。バイトで「不当な扱いを受けた」という声が多いのは、「何も言ってこない」と踏んでひどい扱いをする企業が多い裏返しでもあります。

 労働契約の問題だと理解している学生はほとんどいません。本人の同意があると企業側が主張し、「グレーゾーン」になる例も目立ちます。シフトを勝手に入れられても、断れずに出勤して給料が払われてしまえば、違法とは言いにくい。自爆営業も同じことが言えます。
    *
 ■気をつけるべきポイント
(1)相談窓口を調べておく
(2)会社からもらった書類は保存
(3)募集内容と実態が違えば赤信号
 ◆学生たちを取材し、責任感の強い人ほど辞められない状況に陥っていることを実感しました。働くための法律知識を、もっと伝える必要があると思います。

 ブラックバイトについては、今後の「働く」面(毎週金曜掲載)で、事例から考えるケーススタディーなども掲載していく予定です。
 (平井恵美)
 ◆平井と佐藤秀男、高橋末菜、編集委員・沢路毅彦が担当しました。


朝日新聞-ブラックバイト問題、なぜ起こる お便りもとに追加取材-2015年5月25日


■バイト学生は
 3年前の飲食店での体験を寄せてくれた名古屋市の女子大学生を取材しました。求人には時給800円となっていたのに、「研修期間だから」と言われ、最初の2カ月は当時の愛知県の最低賃金750円を下回る700円で働いていたそうです。

 友達に「最低賃金より安いのはおかしい」と言われましたが、「個人経営だから仕方ないのかな」と思っていました。時給はその後850円まで上がりましたが、午後10時以降に働かせた場合に法律で義務づけられている深夜の割増賃金は支払われていませんでした。

 店長は「どれだけ給料を払っていると思っているんだ」などと来店客の前で叱ることもあり、「辞めたいと何度も思ったけど、怖くて言い出せなかった」そうです。結局、1年ほどたち、休みで実家に戻ることをきっかけに辞めました。いま振り返ると「最近の若者はダメだ」と自分を含めて思われるのが嫌で、必要以上に頑張ってしまったと感じているそうです。

 首都圏のドラッグストアで働く女子大学生(19)にも取材しました。バイト仲間に教えられるまで残業代が出ていないことを知らず、20時間近く残業した月もあるのに店長から「未払い賃金はないよね」と確認され、言い返せなかったそうです。「店ではそれが当たり前で、どうしても切り出せなかった」

 家庭の経済的な事情から、学費と交通費以外は自分で稼ぐよう親に言われています。郊外の自宅から大学まで片道約2時間。帰りの電車を考えるとバイト先は自宅近くに限られますが、郊外で夜に働ける職場は多くはありません。

 店は人手不足で、勉強したい日も駆り出されます。ほかのバイトが急に辞めたために残った人で対応したら、レジが混雑し、来店客から怒られたそうです。それがトラウマになって、「勝手に辞めたらほかの人に迷惑がかかる」。不満を抱えつつ、いまも働いています。
■毎月20日以上働く
 「何度も店長にお願いしたけど、きついシフトは変わりませんでした」。福岡県の女子大学生(20)は、働いている書店の勤務表を記者に見せてくれました。1日4時間ながら、5月の出勤予定日は店長とほぼ同じ23日。ここ1年ほど、毎月20日以上働いているそうです。

 学費と生活費は、奨学金とバイト代でやりくりしています。月15日ぐらい働けばなんとかなるので学業にも力を入れたいですが、「人手が足りない」として勤務を詰め込まれてしまいます。「体調不良でも休めず実家にも帰省しづらい」

 「辞めたい」と言ってもはぐらかされ、ベテランになってきたので複雑な仕事も任されるようになったそうです。「就職活動への不安もあるけど、辞めるとほかの人の負担が増える」。責任感を利用されているような気がして、「期待している」と店長から言われても素直に喜べないと言います。
     ◇
■「コンビニで自腹購入」
 おでんやケーキの販売目標を書かされ、達成するため自腹で買った。大量に持ち帰った時は、費用の一部を友達に負担してもらって、自宅で「おでんパーティー」を開いた。初めてのバイトで先輩たちも買っていたので、当然だと思っていた。内心は嫌だったけど、「みんなで頑張ろう」と盛り上がっていて、雰囲気を壊すようで言えなかった。(東京都・専門学校生・19歳)
■「ほかに負担、辞められず」
外食チェーンに週3日の約束で入ったが、多い時は週6日。シフト変更は1カ月前に申請しなければならず、学校行事でも認めてくれない。店長に学校が忙しい曜日は避けるよう繰り返し伝えてもだめで、バイト優先の生活。何度も辞めたいと思ったが、夜にホールで働ける人が少なく、ほかの人に負担がかかるので辞められない。(島根県・高校生)
■「事業主も学んで」
 労働組合で相談を受けている。研修中の無給、制服代を給与から天引きといった例が増えている。学生はもちろん、事業主も働くルールを学ぶ機会が必要だ。(愛媛県・男性・45歳)
     ◇
■親は
 埼玉県の50代女性は、5年前の経験を話してくれました。高校2年の長女が焼き肉店を辞めることになり、代わりに賃金を受け取りに行くと店長が「罰金がある」。

 実際に受け取った賃金は、出勤した分の半分以下でした。納得できずお店の本社に手紙を出すと、「減額が法律違反という前にお店のルールを守って下さい」という返信とともに、長女がサインした「誓約書」のコピーが送られてきました。代わりがいない時のシフト変更や欠勤によって違約金をとられることや、レジの操作ミス時に損害賠償を請求されることが書かれていました。

 ただ、労働基準監督署に相談していることを伝えると、減額分は振り込まれました。「法律を調べ、言うべきことを言うのが大切です」

 「経営側はもっとアルバイトの生活に心を傾けて」。首都圏に住む50代女性は、正社員をめざして生花店で働く娘が心配です。12時間近く働く日もあり、繁忙期は食事や休憩も十分にとれないと言います。

 長崎市の女性は、大学2年の娘が最近まで塾講師をしていて、「夏休みや冬休みは講習に追われ、食事や休憩もろくに取れていなかった」。夜間に社員がおらず、具合が悪くなった子どもやその保護者への対応までしていて「バイトの役割を超えていて心配だった」と言います。

 東京都の50代男性は、専門学校生の娘が最近まで働いていたコンビニで、おでんを自腹で買ったり、勤務時間外にわざわざ店に行って発注や店内装飾を無給でやったりしていたといいます。「働いてお金を稼ぐ意味や大切さを学んで欲しくてバイトを許可したが、意味を成していない」と憤ります。
■雇い主は
 雇い主側の声もあります。
 大手コンビニの加盟店を経営する東日本の50代男性は、本部がつくった地区の「成績表」を見せてくれました。何がどこでどれだけ売れているか、自店は何番目か、一目でわかります。本部担当者との打ち合わせでは、成績表をもとに「顧客への声かけは?」「従業員をもっと巻き込みましょう」と言われます。

 コンビニ各社は、本部と経営者は対等な立場で、従業員管理などの細かな指示はしないとしています。男性を含め、複数の経営者は「本部がバイトに販売ノルマを指示することはなかった」としています。

 一方、お中元やクリスマスケーキといった季節商品の売り上げ増を本部から強く求められます。本部は契約を打ち切ることもできます。男性は「同じ方向を見てくれないと契約更新できるかどうか」と言われたそうです。京都府でコンビニ店を営む40代男性は「本部の圧力や他店との競争が、結果的にブラックバイトに結びついている」と感じています。

 働く側の問題を指摘する意見もありました。「権利意識ばかり強くてルールを守れない人こそ、ブラックバイトと呼ぶべきだ」。すし宅配店を経営する関西の40代男性は、連絡がないまま辞めていくバイト学生がいたと言います。急なシフト変更や残業で、しわ寄せはほかのバイトに。「自分の都合で辞められると店が成り立たなくなる現実をわかって」

 経営者がルールを知らないケースもありました。愛知県で飲食店を経営する男性は、最近まで一部のバイト代が最低賃金より安く、法定の深夜・休日割り増しもしていませんでした。法律に違反し罰則もありますが、「税理士らに指摘されるまで誰も教えてくれなかった」。

 奈良県で食品店を経営する30代男性は消費者の理解も求めます。「従業員増も賃上げもしたいが、現状では経営できなくなる。人件費を価格転嫁できるよう、消費者もモノの適正価格について考えて欲しい」
■ブラック企業被害対策弁護団代表・佐々木亮弁護士
 働く前にブラックかどうかを見極めるのは難しいです。バイト学生は、行政や労働組合の相談先を事前に調べておくのが大切です。契約書や労働条件通知書、給与明細書などの書類も残しておきましょう。

 ブラックバイト問題は、家庭の収入減で、学費や生活費をバイト代や奨学金に頼る学生が増えたのも背景にあります。若者を酷使する「ブラック企業」も横行し、学業との両立が難しくなっています。

 いまは職場から正社員が減り、バイトが高度な仕事を任されやすい。さらに学生は部活動と同じように協調性を大事にして、最後まで頑張ってしまう。辞めるのは自由なのに、周りへの迷惑を心配してできない。バイトで「不当な扱いを受けた」という声が多いのは、「何も言ってこない」と踏んでひどい扱いをする企業が多い裏返しでもあります。

 労働契約の問題だと理解している学生はほとんどいません。本人の同意があると企業側が主張し、「グレーゾーン」になる例も目立ちます。シフトを勝手に入れられても、断れずに出勤して給料が払われてしまえば、違法とは言いにくい。自爆営業も同じことが言えます。
■気をつけるべきポイント
①相談窓口を調べておく
②会社からもらった書類は保存
③募集内容と実態が違えば赤信号
■取材後記
 学生たちを取材し、責任感の強い人ほど辞められない状況に陥っていることを実感しました。働くための法律知識を、もっと伝える必要があると思います。

 ブラックバイトについては、今後の「働く」面(毎週金曜掲載)で、事例から考えるケーススタディーなども掲載していく予定です。(平井恵美)


by asyagi-df-2014 | 2015-05-26 12:13 | 書くことから-労働 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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