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米軍再編-CV-22オスプレイの配備に抗するために

 2015年5月7日付けの朝日新聞の「米国務省は5日、垂直離着陸できる新型輸送機オスプレイ17機を日本に売却することを決めた。すでに日本政府は、離島防衛の強化などを目的に2018年度までに17機を陸上自衛隊が保有し、佐賀空港に配備する方針を固めており、オスプレイ配備に向け具体的に動き出すことになる。」との記事を取りあげた。
 これに関連して、2015年5月12日には、米空軍横田基地に2017年からCV―22オスプレイを配備する計画が発表された。

 こうしたオスプレイ配備に抗するために、東京弁護士会会長声明(「日米両政府に対し、横田飛行場へのオスプレイの配備計画の中止および普天間飛行場からのオスプレイの撤去と日本国内の領土におけるオスプレイの飛行の全面的中止を求める。」)を基本に改めて考える。

(具体的な反対理由)
(1)横田飛行場の周辺も市街地であり、オスプレイが墜落する事故が発生した場合に大惨事に至る可能性が高い点は、普天間飛行場と同様である。
(2)今回横田飛行場に配備が予定されている米空軍所属のCV-22も、構造上は既に普天間飛行場に配備されているMV-22と同様であり、オートローテーション機能(エンジンが停止した際に、下降によって生じる空気の流れで回転翼が自動回転し、安全に着陸する機能)の欠陥や、回転翼機モードと固定翼機モードの切替時の不安定さなど、専門家から構造上重大な危険をはらんでいると指摘されている。
(3)米政府は、過去の墜落事故について、オスプレイの墜落事故は乗組員の人為的ミスであって機体自体には問題がないことを強調し、日本政府もこれを肯定しているが、重大事故が短期間のうちに続発している事実はオスプレイの危険性が極めて高いことを如実に示すとともに、操縦士のわずかなミスが墜落事故につながる点でオスプレイは極めて危険な機種であるといえる。
(4)このような中でハワイにおける事故原因の究明と横田飛行場周辺自治体への説明がなされないまま配備計画が進むことは、人口密集地域の周辺住民の生命・身体等を重大な危険にさらすことになる。
(5)CV-22は、米軍特殊作戦部隊の輸送を主な任務としており、夜間・低空飛行訓練を行うことが想定されているが、普天間飛行場では日米間で合意した運用ルールや騒音防止協定に違反する飛行訓練が多数目撃され、普天間飛行場周辺の市民の基地負担は限界に達している。
(6)夜間・低空を含むオスプレイの飛行訓練が実施されることによって、周辺住民の生活により甚大な被害を生じさせることは普天間飛行場での現状から見ても明らかである。
(7)輸送対象となる米軍特殊作戦部隊が沖縄に駐留していることからすれば、沖縄に飛来し訓練をする可能性があり、沖縄への飛来回数が増加して沖縄にもさらなる深刻な負担を強いることが懸念される。

結論)
(1)オスプレイ配備は、米軍基地周辺をはじめ米軍基地や飛行ルート周辺住民の生命・身体等に対する重大な侵害の危険を生じさせるものであり、憲法が保障する幸福追求権(13条)を侵害し、平和のうちに生存する権利(憲法前文、9条、13条等)の精神にも反するものである。
(2)オスプレイ配備問題をはじめとして米軍基地に派生する問題の根底には、我が国の主権の行使を制約している日米地位協定がある。米運への航空法の適用等が必要である。
(3)日本政府が、周辺自治体・住民への具体的な説明もないままに横田飛行場へのオスプレイの配備を受け入れることは容認しがたい。

 オスプレイ配備に抗するために、この東京弁護士会の会長声明の上記の「結論」が押さえになる。
 
 以下、東京弁護士会会長声明の引用。







横田飛行場へのCV-22オスプレイの配備の中止を求める会長声明
                         2015年05月22日
                         東京弁護士会 会長 伊藤 茂昭



 日米両政府は、2015年5月12日、米空軍横田基地に2017年からCV―22オスプレイを配備する計画を発表した。
 当会は、日米両政府に対し、横田飛行場へのオスプレイの配備計画の中止および普天間飛行場からのオスプレイの撤去と日本国内の領土におけるオスプレイの飛行の全面的中止を求める。

1 当会は、2012年10月の普天間飛行場へのMV-22オスプレイの配備にあたって、2013年2月25日付「普天間飛行場へのオスプレイの配備撤回及び国内におけるオスプレイの飛行の全面中止を求める会長声明」を公表し、横田飛行場へ飛来することに対して、「横田飛行場の周辺も市街地であり、オスプレイが墜落する事故が発生した場合に大惨事に至る可能性が高い点は、普天間飛行場と同様である」ことを指摘した。

2 MV-22については、上記会長声明でも指摘したとおり、開発段階から重大事故を繰り返しており、上記会長声明の後にも2013年8月にはネバダ州で着陸失敗後に炎上し、2014年10月にはペルシャ湾で一時的に動力を失った機体を脱出した隊員1人が死亡し、去る5月17日にはハワイでの墜落事故で乗組員2人が死亡している。
 今回横田飛行場に配備が予定されている米空軍所属のCV-22も、構造上は既に普天間飛行場に配備されているMV-22と同様であり、オートローテーション機能(エンジンが停止した際に、下降によって生じる空気の流れで回転翼が自動回転し、安全に着陸する機能)の欠陥や、回転翼機モードと固定翼機モードの切替時の不安定さなど、専門家から構造上重大な危険をはらんでいると指摘されている。
 米政府は、過去の墜落事故について、オスプレイの墜落事故は乗組員の人為的ミスであって機体自体には問題がないことを強調し、日本政府もこれを肯定しているが、重大事故が短期間のうちに続発している事実はオスプレイの危険性が極めて高いことを如実に示すとともに、操縦士のわずかなミスが墜落事故につながる点でオスプレイは極めて危険な機種であるといえる。
 このような中でハワイにおける事故原因の究明と横田飛行場周辺自治体への説明がなされないまま配備計画が進むことは、人口密集地域の周辺住民の生命・身体等を重大な危険にさらすことになる。

3 また、CV-22は、米軍特殊作戦部隊の輸送を主な任務としており、夜間・低空飛行訓練を行うことが想定されているが、普天間飛行場では日米間で合意した運用ルールや騒音防止協定に違反する飛行訓練が多数目撃され、沖縄防衛局調査でも運用が制限される午後10時以降の飛行が2013年度には60回に及んでいるほか、2013年2月に飲料水ボトル、2015年3月にはアルミ製部品の各落下事故が発生しているが、2015年3月18日、宣野湾市が「MV-22オスプレイからの部品落下について」として沖縄防衛局長、外務省沖縄事務所沖縄担当大使、及び第三海兵遠征軍司令官・沖縄地域調整官へ行った求めに対しても具体的な再発防止策を示していない。普天間飛行場周辺の市民の基地負担は限界に達している。
 上記会長声明で指摘をしたとおり、横田飛行場の騒音をめぐっては、最高裁判所を含め裁判所が過去に何度も受忍限度を超えて違法であると認定しているにも関わらず、さらに夜間・低空を含むオスプレイの飛行訓練が実施されることによって、周辺住民の生活により甚大な被害を生じさせることは普天間飛行場での現状から見ても明らかである。
 さらに、輸送対象となる米軍特殊作戦部隊が沖縄に駐留していることからすれば、沖縄に飛来し訓練をする可能性があり、沖縄への飛来回数が増加して沖縄にもさらなる深刻な負担を強いることが懸念される。

4 上記のようにオスプレイ配備は、米軍基地周辺をはじめ米軍基地や飛行ルート周辺住民の生命・身体等に対する重大な侵害の危険を生じさせるものであり、憲法が保障する幸福追求権(13条)を侵害し、平和のうちに生存する権利(憲法前文、9条、13条等)の精神にも反するものであり、日本政府が、周辺自治体・住民への具体的な説明もないままに横田飛行場へのオスプレイの配備を受け入れることは容認しがたい。

5 オスプレイ配備問題をはじめとして米軍基地に派生する問題の根底には、我が国の主権の行使を制約している日米地位協定がある。日弁連は2014年2月20日「日米地位協定に関する意見書」を公表し、米軍に対しても航空法の適用等を求めている。

6 当会は、1997年以来、毎年、沖縄米軍基地にかかわる被害・人権侵害等の状況について訪問調査を重ね、2013年3月6日にシンポジウム「米軍機オスプレイ配備の法的問題点と運用実態~日本国の主権と市民の安全は守られているのか~」を開催するとともに、オスプレイ配備後の状況について宜野湾市等からの聞き取り調査を行ってきており、その危険性について認識している。これらを踏まえ、当会は、日米両政府に対し、横田飛行場へのオスプレイの配備計画の中止及び普天間飛行場からのオスプレイの撤去と日本国内の領土におけるオスプレイの飛行の全面的中止を求めるものである。


by asyagi-df-2014 | 2015-05-25 09:01 | 米軍再編 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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