NPT決裂

 国連本部で約1カ月にわたって開かれていた核拡散防止条約(NPT)再検討会議は、決裂という結果で終わった。
 このことについて、毎日新聞は、「米ニューヨークで開かれていた核拡散防止条約(NPT)再検討会議は22日、中東の非核化に向けた米国とアラブ諸国との見解の相違を埋められないまま終了した。背景にはイランの核開発を巡る中東情勢の変化がある。米欧などがイランとの交渉で一定の「平和的な」核開発を認めつつある中、イランと敵対する潜在的核保有国イスラエルは態度を硬化。最大の同盟国・米国も、イスラエルの安全が保障されるまで非核化に同意できないとの方針を強めざるを得なかったとみられる。」と、報じた。
 この中で、アメリカが果たした役割については、「イスラエル紙ハーレツによると、トーマス・カントリーマン米国務次官補(安全保障・不拡散担当)は19日、急きょイスラエルを訪問。外務省高官らとNPT会議などについて『集中的な協議』を重ねた。米国の最終的な判断に、イスラエルの意向が大きく反映された可能性がある。オバマ米大統領は22日、ワシントンで開催されたユダヤ系団体との会合で『イスラエルの安全保障に対する決意は今もこれからも揺るぎない』と強調した。米議会保守派を中心にイランとの核交渉に批判的な声が根強い中、NPT会議でのオバマ政権の判断には、核交渉についてユダヤ系議員から理解と支援を得る狙いがあった可能性もある。」と、伝えた。
 一方、毎日新聞は、「広島、長崎への原爆投下から70年の今年、被爆者たちは「核兵器なき世界」に向けて前進することを願っていただけに『核の恐ろしさが分からないのか』と失望を隠さない。一方で『諦めるわけにはいかない』と核廃絶への決意を新たにする声も聞かれた。」と、被爆者の落胆の声を報じた。

 いずれにしろ、日本の「集団的自衛権」の行使は、こうしたアメリカの政策に容易に「従属」するということになる。


 以下、毎日新聞の引用。







毎日新聞-NPT決裂:中東に渦巻く核兵器開発疑惑 イスラエル強硬-2015年05月23日 


 米ニューヨークで開かれていた核拡散防止条約(NPT)再検討会議は22日、中東の非核化に向けた米国とアラブ諸国との見解の相違を埋められないまま終了した。背景にはイランの核開発を巡る中東情勢の変化がある。米欧などがイランとの交渉で一定の「平和的な」核開発を認めつつある中、イランと敵対する潜在的核保有国イスラエルは態度を硬化。最大の同盟国・米国も、イスラエルの安全が保障されるまで非核化に同意できないとの方針を強めざるを得なかったとみられる。【エルサレム大治朋子、カイロ秋山信一】

 イスラエルはNPT非加盟国だが、今回の再検討会議で「中東非核地帯構想」が中心議題になるとみて、20年ぶりにオブザーバー参加した。非核化を求めるアラブ諸国の動向を見極める狙いがあった。非核化に向けた国際会議の開催が決定すれば、核保有を否定も肯定もしない「あいまい政策」に対し、国際社会の圧力が高まるのは必至だからだ。

 さらに、6月に期限を迎えるイランと主要6カ国(米英仏中露独)の核交渉が最終合意に至れば、「(イランとライバル関係にある)サウジアラビアやエジプト、トルコなど中東各国が核兵器開発に乗り出す可能性がある」(イスラエルのシンクタンク「国家安全保障研究所」)とみられている。イスラエルとしては、「核抑止力」を低下させる事態は回避したいのが本音だ。

 イスラエル紙ハーレツによると、トーマス・カントリーマン米国務次官補(安全保障・不拡散担当)は19日、急きょイスラエルを訪問。外務省高官らとNPT会議などについて「集中的な協議」を重ねた。米国の最終的な判断に、イスラエルの意向が大きく反映された可能性がある。

 オバマ米大統領は22日、ワシントンで開催されたユダヤ系団体との会合で「イスラエルの安全保障に対する決意は今もこれからも揺るぎない」と強調した。米議会保守派を中心にイランとの核交渉に批判的な声が根強い中、NPT会議でのオバマ政権の判断には、核交渉についてユダヤ系議員から理解と支援を得る狙いがあった可能性もある。

 一方、核兵器を持たないアラブ諸国にとって、緊張関係にあるイスラエルの事実上の核武装やイランの核開発は大きな脅威だ。5年に1度のNPT会議は、アラブ諸国が国際社会の圧力を利用してイスラエルやイランに核放棄を迫る絶好の機会で、今回の会議でも中東非核化会議の開催に強く固執した。

 エジプトなどアラブ諸国とイスラエルは4度の中東戦争を経験。その後、エジプトとヨルダンはイスラエルと平和条約を結んだが、潜在的な緊張関係は解けていない。両国を除くアラブ諸国は今なおイスラエルと平和条約を結んでいない。

 イスラエルの事実上の核武装に対し、エジプトは「イスラエルがNPTに加盟しなければ、エジプトは化学兵器禁止条約に加入しない」と主張、化学兵器の保有も継続しているとみられる。過去にはイラク、リビア、シリアが核兵器開発を進めた疑惑もあり、イスラエルの事実上の核武装が、中東に大量破壊兵器が多く存在する一因となってきた。

 また、米欧などがイランに一定の核開発を認めた場合、サウジアラビアは「同等の権利」を主張する構えだ。サウジはパキスタンの核兵器開発を資金面で支援したとの見方があり、「イランが核武装すれば、サウジにパキスタンの核弾頭を配備する」との密約説もささやかれている。


毎日新聞-NPT決裂:「核の恐怖分からぬのか」被爆者、失望隠せず-2015年05月23日 


 米ニューヨークの国連本部で約1カ月にわたって開かれていた核拡散防止条約(NPT)再検討会議は、決裂という最悪の結果となった。広島、長崎への原爆投下から70年の今年、被爆者たちは「核兵器なき世界」に向けて前進することを願っていただけに「核の恐ろしさが分からないのか」と失望を隠さない。一方で「諦めるわけにはいかない」と核廃絶への決意を新たにする声も聞かれた。【高橋咲子、加藤小夜、石川裕士、樋口岳大、小畑英介】

 長崎原爆被災者協議会の山田拓民事務局長(83)は「核兵器廃絶への展望を成果として示してほしかった」と落胆。その上で「加盟国は『何も決まらなかった』で終わらせず、核廃絶に向け有効な取り組みを続けるという気持ちを持ち続けてもらいたい」と話した。

 広島県被団協の大越和郎理事長代行(75)は「核兵器禁止条約に対する核保有国の抵抗感が非常に強い印象を受けた。その一方、非保有国を中心に禁止条約に向けた機運は高まっている。ここで矛を収めるわけにはいかない」と語った。

 会議に合わせて渡米し、現地で核廃絶を訴えた被爆者たちの落胆は大きい。

 広島県原水協の代表団長を務めた佐久間邦彦さん(70)は今回、核兵器全面禁止を求める全国署名633万6205筆を持参した。「核廃絶を願う声を、核保有国が無視したのは遺憾だ。被爆者として、再び同じ犠牲者を出さないことが真の願い。これからも核兵器の非人道性を訴え、核兵器禁止条約の締結を求めていく」と誓った。

 長崎市の被爆者、末永浩さん(79)は「世界の首脳に広島、長崎に来てもらいたいと思っていたので残念。こうした会議の時だけでなく、普段からもっと世界の人々に被爆の実相を語る必要性を感じる」と語った。

 広島県「黒い雨」原爆被害者の会連絡協議会の高東征二さん(74)は「世界の国々は核の恐ろしさがまだ分かっていない。核なき世界に向けて時間はかかるかもしれないが、諦めずに議論を続けてほしい」と求めた。

 ◇広島市長「極めて残念」

 広島市の松井一実市長は「最終文書が採択されなかったことは極めて残念」とのコメントを発表した。自らが会長を務めるNGO「平和首長会議」加盟都市と連携して「核兵器禁止条約の早期交渉開始を求める国際世論の拡大に取り組んでいく」と強調した。


by asyagi-df-2014 | 2015-05-24 08:38 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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