労働問題-残業代ゼロ法案の審議入りを前に

 残念ながら、「残業代ゼロ法案」がいよいよ国会で審議入りする。
東京新聞は、2015年5月6日、このことに関して、「仕事はいつも過密状態です」という働く現場の状況を報告した。
 この中で、現行法制度上の「裁量制」の実態を次のように指摘する。

「制度上、深夜や休日の割り増し手当は別に支払われることになっている。しかし、SEたちは残業時間を実態通りに申告しない。他社との価格競争の中、人件費を含むプロジェクト予算はぎりぎりまで抑えられ、手当が膨らめば自分たちの人事評価に影響し、解雇されることもあるからだ。
 男性は『仕事量の裁量がない以上、会社が残業代を支払わずに長時間働かせられる』と指摘する。」と。
 また合わせて、「労働行政を担うある労働基準監督官は『実労働時間の把握がしづらい働き方だ』と、過重労働の監視は難しいと打ち明けた。」とも報告する。

 今回の働き方の制度を変える労働関連法案が労働者のための政策でないことは明らかだ。

 以下、東京新聞の引用。






東京新聞-「裁量制」実態把握難しく 「みなし時間」超えて過重労働-2015年5月6日

 働き方の制度を変える労働関連法案が連休明け以降、国会で審議入りする。労働基準法改正案は裁量労働制の対象拡大と「残業代ゼロ」(高度プロフェッショナル)制度の創設を目指す内容。政府は両制度とも労働者が働き方を決められ、能力を発揮できると説明する。だが、裁量労働制は過重労働を常態化しているとされ、新制度もその恐れが指摘される。働く現場を取材した。 (小林由比)

 「仕事はいつも過密状態です」

 十年余り裁量労働制で働く大手IT企業のシステムエンジニア(SE)の男性(56)。プロジェクトに所属するSEを束ねる立場で遅くなることも多いが、午前八時半からの打ち合わせには必ず出社する。仕事を持ち帰ることも珍しくない。

 裁量労働制は事前に労使で残業を含む「みなし労働時間」を定め、賃金を決める。実際の労働時間が「みなし」より長くても、賃金に反映されない。男性のみなし労働時間は一日七時間三十六分だが、残業は一日五~六時間。一カ月では百二十時間になる。

 制度上、深夜や休日の割り増し手当は別に支払われることになっている。しかし、SEたちは残業時間を実態通りに申告しない。他社との価格競争の中、人件費を含むプロジェクト予算はぎりぎりまで抑えられ、手当が膨らめば自分たちの人事評価に影響し、解雇されることもあるからだ。

 男性は「仕事量の裁量がない以上、会社が残業代を支払わずに長時間働かせられる」と指摘する。

 過労で命を落とす人もいる。東京の金融コンサルタント会社で証券アナリストとして働いていた男性は二〇一三年七月、仕事を終えた午後六時半ごろ、心筋梗塞で倒れ、翌日に亡くなった。四十七歳だった。倒れた日も、午前六時前から自宅で市況の分析などを配信していた。男性のみなし労働時間は一日十時間だが、残業時間は一日六~七時間。亡くなる前の半年間の残業は月八十~百三十時間。毎朝三時半に起き、自宅で情報を集めて午前六時に出社。帰宅は午後七時ごろ。土曜も仕事に没頭した。

 会社側は「任意でやったこと」と主張したが、今年三月に労災が認められた。男性の妻(50)は「しんどい、と繰り返していた夫に、もっと強く専門機関に相談するよう勧めればよかった」と悔やむ。

 労働行政を担うある労働基準監督官は「実労働時間の把握がしづらい働き方だ」と、過重労働の監視は難しいと打ち明けた。

 <労働時間規制> 労働基準法は労働時間の上限を1日8時間、週40時間と定める。労使が合意して協定を結べば、時間外労働は可能だが、企業には残業代支払いの義務がある。ホワイトカラーを中心に多様な働き方が広がる中で、労基法にこの原則を柔軟化する制度ができてきた。裁量労働制はあらかじめ定めた時間を働いたとみなし、働き方を自己裁量に任せる。「高度プロフェッショナル制度」は柔軟な働き方を目指す仕組みだが、既存の制度とは違い、残業代や休日・深夜の割増賃金は一切支払われなくなる。


by asyagi-df-2014 | 2015-05-07 12:17 | 書くことから-労働 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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