集団的自衛権-「存立事態」明記の法改正て何なの

 朝日新聞は、2014年1月10日、「政府は、日本が侵略やテロを受けた際の国や自治体の対応を定めた武力攻撃事態法に、日本が直接攻撃を受けていなくても、集団的自衛権に基づいて自衛隊が武力を使うことができる『存立事態』(仮称)という概念を新たに盛り込む検討に入った。」と、報じた。
 この「存立事態」については、「日本と密接に関係する他国が武力攻撃などを受けて有事(戦争状態)になった時、日本が直接攻撃を受けていなくても、国の存立や安全が脅かされたり、国民の権利が侵害されたりする明白な危険があれば、自衛隊の武力行使や国民の権利制限が認められる状況を指している。」と、説明する。
 このことの政府の狙いは、「今回、新たに『存立事態』を設けることで、米国など同盟国が武力攻撃を受けたり、資源を運ぶ海上交通路が戦争で使えなくなったりするケースでも、公共機関や国民に同様の対応・協力を求めるようにする狙いがあるとみられる。」と、指摘している。

 この記事で読み取れるものは、次のことである。

 「存立事態」という概念の導入は、「自衛隊による武力行使の要件を緩和し、集団的自衛権を使う際にも『防衛出動』を認めるよう条文を変える方向だ。」ということが目的とされるものではないか。
 また、「存立事態」という概念の導入によって、政府の解釈によって、「国民の権利の一部制限」が拡大されることになるということである。

 安部晋三政権の「積極的平和主義」の本質を見極めなければならない。

 以下、朝日新聞の引用。






朝日新聞-「存立事態」明記の法改正検討 集団的自衛権行使向け-2015年1月10日

 政府は、日本が侵略やテロを受けた際の国や自治体の対応を定めた武力攻撃事態法に、日本が直接攻撃を受けていなくても、集団的自衛権に基づいて自衛隊が武力を使うことができる「存立事態」(仮称)という概念を新たに盛り込む検討に入った。安倍政権は新年度予算の成立にめどが立つ3月以降に、安全保障法制の大枠を自民、公明両党に示し、同法改正案などの関連法案を通常国会の会期中に提出する方針だ。

 存立事態とは、日本と密接に関係する他国が武力攻撃などを受けて有事(戦争状態)になった時、日本が直接攻撃を受けていなくても、国の存立や安全が脅かされたり、国民の権利が侵害されたりする明白な危険があれば、自衛隊の武力行使や国民の権利制限が認められる状況を指している。

 今後の与党協議や国会審議では、日本が戦争状態にはない「存立事態」で、国民の権利をどこまで制限できるのかといった点が議論の焦点となりそうだ。

 存立事態は、安倍内閣が昨年7月の閣議決定で「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」があれば、集団的自衛権が行使できるとした考え方を反映。日本が直接攻撃を受けた際に使う個別的自衛権に加えて、集団的自衛権の行使を法的に裏付ける考え方として位置付けられている。

 2003年に制定された武力攻撃事態法では、日本が直接武力攻撃を受ける「武力攻撃事態」や、日本が狙われているような「武力攻撃予測事態」の際には、自衛隊や在日米軍への協力を地方自治体や公共機関に義務づけ、国民の権利も一部制限できる内容となっている。政府は今回、新たに「存立事態」を設けることで、米国など同盟国が武力攻撃を受けたり、資源を運ぶ海上交通路が戦争で使えなくなったりするケースでも、公共機関や国民に同様の対応・協力を求めるようにする狙いがあるとみられる。

 集団的自衛権の行使容認をめぐっては、自衛隊の出動ルールなどを定める自衛隊法も改正案が通常国会に提出される見通しだ。自衛隊が武力を使う「防衛出動」はこれまで、日本が直接攻撃された場合にしか認められていなかったが、政府はこの規定も見直す方針。自衛隊による武力行使の要件を緩和し、集団的自衛権を使う際にも「防衛出動」を認めるよう条文を変える方向だ。(今野忍、石松恒)

朝日新聞-安保法制、四つの分類 集団的自衛権巡り新概念-2015年1月10日

 政府が今月開会の通常国会で成立を目指す安全保障法制は、自衛隊の武力行使が認められるかの可否や、自衛隊の派遣先が有事(戦争状態)にあるかどうかによって四つに分類できる。それぞれの法改正の検討状況や論点を読み解いた。

 安倍晋三首相は6日、仕事始めのあいさつで「国民の平和な暮らし、国民の命を守っていくための、切れ目のない安全保障法制を整えていく責任を果たしていきたい」と述べた。首相周辺は「四つの分類に従って法整備を進め、切れ目のない法制を作る」と語る。

 一つ目の類型は、自衛隊が武力を使うことが認められるケースだ。これまでは日本が直接攻撃された場合に、戦力を放棄した憲法9条でも行使が認められると解釈されてきた「個別的自衛権」のみに対応する法体系だった。

 だが、安倍内閣は昨年7月の閣議決定で、日本に直接武力攻撃がなくても「日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険」がある状況なら、日本と密接に関係する米国などの他国の有事(戦争状態)でも、自衛隊が集団的自衛権を使えるよう憲法解釈を変更した。

 政府はこれに伴い、武力攻撃事態法と自衛隊法をそれぞれ、集団的自衛権も使えるような形で改正をめざす。ただ、集団的自衛権を行使する他国を特定したり、自衛隊が武力を使う場所に地理的な制約を設けたりすることはしない方針だ。

 このため両法の改正案では、時の政府が、国の存立を脅かす事態(存立事態)に当たると判断すれば、武力行使ができるようにする。例えば、中東・ペルシャ湾の海上交通路に機雷がまかれた場合、それが日本にとっての「存立事態」に当たるかどうかは法律に明記せず、政権の判断に委ねられることになる。

 二つ目の類型は、日本への武力攻撃には当たらないが、警察や海上保安庁では対処できない危機と位置づけられる「グレーゾーン事態」への対応だ。外国軍艦の領海侵入などが想定されているが、自公両党は法改正しない方針だ。自衛隊が警察力を行使する海上警備行動や治安出動で素早く対応できるよう、閣議決定などの手続きを見直す方針だ。

 三つ目と四つ目は、自衛隊が武力を使わない形で、海外で活動する内容を規定するものだ。

 うち三つ目は、海外での戦争・紛争に参戦した米国などの他国軍に対し、自衛隊が物資補給や人員輸送など「後方支援」活動をするための法整備だ。これまで日本は、各地で戦争が起きるたびに期間限定の特別措置法を作り、インド洋やイラクなどに自衛隊を派遣してきた。政府は派遣手続きの簡略化で後方支援の拡大をめざしており、恒久法を新設する方針だ。

 これに対し四つ目は、戦争後に平和を取り戻した他国で、日本が人道・復興支援など国際貢献活動を行うPKO協力法の見直しだ。政府は「積極的平和主義」を掲げた昨夏の閣議決定に従い、自衛隊の武器使用基準を緩和して、自衛隊の派遣地域や活動内容を拡大することを検討している。

 ■与党協議は3月以降に

 政府が大枠を固めた安全保障法制の議論はまず、自民、公明両党の協議に委ねられる。安倍政権は与党協議について、通常国会で2015年度予算案の成立のめどが立った後の3月以降に先送りすると決めた。

 自公両党は昨年末、通常国会前に政府が安保法制の全体像を示してから与党協議を始めることで合意。しかし官邸側は国会での予算審議が紛糾すると懸念し、先送りされた。政府は通常国会で関連法案の成立をめざすが、与党協議や国会審議で議論する課題は多い。

 特に、国の存立に関わる事態なら集団的自衛権の行使を認める法改正については、日本の有事と同様に国民生活や権利の制限を認めることに慎重論や反対の声も出そうだ。

 自衛隊が他国軍の補給・輸送を担う後方支援活動の見直しも、活動内容を大幅に広げるもので議論を呼びそうだ。戦争状態の派遣地域で、自衛隊が戦闘に巻き込まれる懸念も残る。これまで海外で一人の死者も出していない自衛隊の活動をどう変えていくのか。安倍晋三首相が掲げる「積極的平和主義」の内実を慎重に見極める議論が求められそうだ。
 (石松恒、池尻和生)


by asyagi-df-2014 | 2015-01-11 07:00 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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