衆院選公示、地方紙から考える

衆院戦が公示された。
 あえて、九州の地方紙からこのことを考える。
まとめてみると次のようになる。

(1)選挙の持つ意義

・琉球新報
「2009年の政権交代、12年の政権奪還をわれわれは経験した。その成果と不首尾を総括すべきときだ。だが前2回に比べ有権者の関心が薄いと懸念されている。政治家が公約をほごにし、公約にないことを実行したことで、政治との距離が増したのではないか。
 公約を基に投票先を選び、政権党はその公約を守り、有権者が選択した未来を実現する。それで初めて国民は主権を実感するのだ。本来の主権者たる国民の手に政治を取り戻すため、候補者には公約の明示と実行の確約を求めたい。」
「問われているのは、日本が一地域を差別して恥じない国であるのか、民主主義を重んじる国であるのか、という根本なのである。」

・沖縄タイムス
「安倍晋三首相がこの時期に突然、衆院を解散したことについては、全国の有権者から『』大義なき自己都合解散』との批判が強い。消費税の再増税先送りが選挙の争点になりにくいのは確かである。
 ただ、こうなった以上、安倍政治に対する審判の機会が与えられた、と積極的にとらえ直したほうがいい。
 候補者を擁立する与野党9党は、それぞれが重視する争点を掲げている。経済政策『アベノミクス』の是非、閣議決定に基づく集団的自衛権の行使容認、安全保障政策の急転換、社会保障、原発再稼働、東日本大震災の被災地復興、地方再生、政治とカネなど、論ずべきテーマは多様である。」

・南日本新聞
「問われるのは政権奪還後2年間の『安倍政治』である。」
「『1強多弱』の勢力図が塗り替わるかどうかが最大の焦点だ。」
「成熟社会の日本のどんな未来図を描くのか。与野党の本格的な論戦を期待したい。」

・西日本新聞
「『今回の衆院解散には大義がない』からと選挙に対する関心を喪失し、投票所へ向かうのをためらったら、誰がほくそ笑むのか。冷静に考えたい。賢明な主権者として『大義ある審判』で応じよう。」


(2)何を焦点とすべきなのか。

・琉球新報
「今回の選挙で真っ先に問われるべきは憲法改正の是非、なかんずく9条改正の是非である。」
「各党に何より問いたいのは、沖縄に米軍基地の過重負担を押し付け、犠牲を強要する『構造的差別』を、今後も続けるか否かだ。」

・沖縄タイムス
「沖縄選挙区(1~4区)は、知事選で浮上した新たな政治潮流を反映し、従来にない構図になる見通しだ。最大の争点は、やはり辺野古問題である。」
「『県外』から『県内容認』に転換した以上、そのことの是非がまず問われなければならない。」

・南日本新聞
「道半ばのアベノミクスで、最もしわ寄せを受けるのが子どもたちだ。『子どもの貧困率』は2012年、16.3%で過去最悪を更新した。実に6人に1人である。」
「アベノミクスの恩恵はまだ、円安で潤う一部の輸出企業や富裕層などにとどまっている。」
「選挙戦後半には、『知る権利』の侵害が懸念される特定秘密保護法が施行される。安全保障の情報を特定秘密にし、漏えいすると最高で懲役10年を科す。憲法9条の解釈変更による集団的自衛権の行使容認の閣議決定とともに、『安倍政治』を象徴する施策だ。
 こうした世論を二分する戦後安全保障政策の大転換を、まともな国会論議を避けたまま押し通す政治手法や、異論に耳を貸さない姿勢も問われるべきである。」

・西日本新聞
「安倍首相の経済政策『アベノミクス』が大きな争点であることは否定しない。しかし、果たしてそれが『最大』かどうかは、有権者の判断に委ねられる。」
「その一方で、昨夏の参院選で衆参ねじれを解消した後の『決めすぎる政治』を問題にする有権者も少なくないはずだ。
 国民の知る権利を侵害しかねない特定秘密保護法を採決強行の連続で成立させ、戦後の歴代内閣が『憲法解釈上できない』としてきた集団的自衛権の行使を一内閣の閣議決定で容認へ踏み切った判断の是非は、今回の総選挙で徹底的に論じてほしい。」
「そして、私たちが特に訴えたいのは、来年の戦後70年へ向けてこの国はどこに向かうのか-という歴史的な時間軸に根差した将来のいわば『方向感覚』である。」

 ここでは、西日本新聞の「そして、私たちが特に訴えたいのは、来年の戦後70年へ向けてこの国はどこに向かうのか-という歴史的な時間軸に根差した将来のいわば『方向感覚』」という主張を肝に銘じたい。

 以下、各紙社説の引用。






琉球新報社説-衆院選公示 憲法改正 正面から問え 沖縄に犠牲強要するのか-2014年12月2日

 第47回衆院選が2日公示される。14日の投開票だ。
 2009年の政権交代、12年の政権奪還をわれわれは経験した。その成果と不首尾を総括すべきときだ。だが前2回に比べ有権者の関心が薄いと懸念されている。政治家が公約をほごにし、公約にないことを実行したことで、政治との距離が増したのではないか。
 公約を基に投票先を選び、政権党はその公約を守り、有権者が選択した未来を実現する。それで初めて国民は主権を実感するのだ。本来の主権者たる国民の手に政治を取り戻すため、候補者には公約の明示と実行の確約を求めたい。

 4年の猶予

 今回の選挙で真っ先に問われるべきは憲法改正の是非、なかんずく9条改正の是非である。
 この総選挙で自民党が勝利すれば、来秋の同党総裁選で安倍晋三首相が再選されるのは確実だ。総裁の任期は3年で、任期が切れるのは2018年秋だ。今から4年の猶予がある。安倍氏の宿願は祖父の岸信介氏もできなかった憲法改正と聞く。就任2年で集団的自衛権行使容認の解釈改憲を実行した首相のことだ。4年もあれば確実に憲法改正を実行するだろう。
 憲法改正は国の根幹の変更である。それなら最優先で争点にすべきだ。首相は、任期中に改憲を提起する可能性があるなら、その条項を具体的に明示し、国民の審判を仰ぐべきだ。あいまいなままで選挙を終え、「信を得た」として改憲に至るのは許されない。
 前回総選挙で自民党は憲法改正を掲げたとはいえ、公約に「集団的自衛権行使容認」の文字は無かった。解釈改憲もまた「国のかたち」を根底から変えるものだ。本来なら今夏の閣議決定の際に解散し、信を問うべきだった。
 とはいえ、その関連法案の整備はこれからで、来年の通常国会で審議されるはずだ。それならこの選挙でその是非を論ずべきだ。
 アベノミクスの成否について各党の見解は分かれる。確かに雇用総数は増えたが、増えたのは主に非正規だ。株価も上がったが、有価証券を持つ世帯は17%にすぎず、恩恵にあずかるのは一部だ。デフレ脱却は実現しつつあり、賃金も上昇した。だが物価上昇率は賃金上昇率を上回っており、実質所得はマイナスである。
 解雇しやすくする特区の新設や「残業代ゼロ法案」(日本型新裁量労働制)も取り沙汰されている。今後4年で上程されそうなこれらについても議論すべきだ。
 原発再稼働の問題も忘れてはならない。各党は堂々と論戦し、その是非を正面から問うてほしい。
 
 構造的差別
 
 各党に何より問いたいのは、沖縄に米軍基地の過重負担を押し付け、犠牲を強要する「構造的差別」を、今後も続けるか否かだ。
 今回の唐突な解散は女性閣僚起用の失敗が要因と評されるが、沖縄知事選での自民党敗北を覆い隠す趣も感じられる。だが沖縄の民意を正面から受け止めるべきだ。
 ことは米軍普天間飛行場の辺野古移設の是非にとどまらない。移設を容認した知事は現職としては前代未聞の大差で惨敗した。地元の市長も新知事も明確に反対を掲げて当選した。民主主義的手続きで示されたこの圧倒的民意を政府が無残に踏みにじるのなら、まさに「構造的差別」に他ならない。
 いや差別ではない、と言うかもしれない。だが例えば、この県に原発が既に数基あるからといって、知事も市長も明確に反対しているのに、政府が原発建設を強行できる所があるだろうか。
 問われているのは、日本が一地域を差別して恥じない国であるのか、民主主義を重んじる国であるのか、という根本なのである。
 自民党だけではない。知事選を経てもなお、辺野古移設を意味する「日米合意推進」を掲げる党が何と多いことか。各党は論戦を通じてその行き詰まりに気付き、日米関係の新しい地平を切り開く方向に早急に転じてもらいたい。


沖縄タイムス社説-衆院選きょう公示]主権者が審判下す時だ-2014年12月2日


 衆院選はきょう2日公示され、14日の投開票に向け12日間の選挙戦に入る。県内有権者にとっては、知事選からわずか1カ月足らずのうちに二つの大型選挙を経験することになる。

 沖縄選挙区(1~4区)は、知事選で浮上した新たな政治潮流を反映し、従来にない構図になる見通しだ。最大の争点は、やはり辺野古問題である。

 なぜ沖縄で、選挙のたびに繰り返し、辺野古問題が争点になるのか。

 戦後、米軍統治の下で過重な基地負担を強いられてきた沖縄に、移設名目であれ、恒久基地を建設することは、公平・公正の原則に著しく反し、県民の尊厳や誇りさえ傷つけるからだ。

 過去2回の衆院選を思い起こしてほしい。2009年の前々回の衆院選で自民党県連は沖縄選挙区で全議席を失った。

 前回、12年の衆院選では、党本部と異なる「県外移設」の公約を掲げて戦いを挑んだ結果、比例区で復活した候補者を含め4人全員の当選を果たした。

 自民党本部は選挙の際、県連の公約を「黙認」していながら、いざ政権の座につくと、当選した沖縄選出の議員を説得、威圧し、「県内移設容認」へと公約を転換させた。それが呼び水になって仲井真弘多知事の埋め立て承認につながったことは周知の通りである。
 「県外」から「県内容認」に転換した以上、そのことの是非がまず問われなければならない。
    ■    ■
 安倍晋三首相がこの時期に突然、衆院を解散したことについては、全国の有権者から「大義なき自己都合解散」との批判が強い。消費税の再増税先送りが選挙の争点になりにくいのは確かである。

 ただ、こうなった以上、安倍政治に対する審判の機会が与えられた、と積極的にとらえ直したほうがいい。

 候補者を擁立する与野党9党は、それぞれが重視する争点を掲げている。経済政策「アベノミクス」の是非、閣議決定に基づく集団的自衛権の行使容認、安全保障政策の急転換、社会保障、原発再稼働、東日本大震災の被災地復興、地方再生、政治とカネなど、論ずべきテーマは多様である。

 争点を絞ることが難しいだけに、論戦が拡散し、あいまい化する恐れもある。沖縄の場合、激しい選挙戦となった知事選の直後だけに、有権者の選挙疲れや師走のあわただしさで投票率が低下するのではないか、とも懸念される。
    ■    ■
2年の衆院選小選挙区で、自民党は有効投票総数の43%の得票率だったのに対し、獲得した議席は237議席で、全議席の79%にも達した。恐るべき議席占有率だ。

 得票数と獲得議席の隔たりがあまりにも大きい。小選挙区制度に欠陥があるのは明らかである。少数意見を尊重し、丁寧な国会論議を尽くす必要があるのは、一つには、こうした事情があるからだ。

 この2年の安倍政権はどうだったか。衆院選はそのことを問う機会でもある。

南日本新聞-[きょう公示 -2014衆院選-] 「安倍政治」の是非に自ら判断示そう-2014年12月2日

 衆院選がきょう公示される。

 自民党議員でさえ「なぜ解散なのか、大義は?」といぶかる中での選挙戦入りだ。もやもやを有権者もまだ晴らせないに違いない。

 問われるのは政権奪還後2年間の「安倍政治」である。

 論点は多岐にわたる。アベノミクスの是非、人口減と地方再生、原発・エネルギー、消費税と社会保障、雇用、外交・安保、そして強引な政治手法などだ。

 野党は、批判のための批判に終わってはならない。政策の対立軸を明確にして、有権者の選択肢を広げるべきである。

 「1強多弱」の勢力図が塗り替わるかどうかが最大の焦点だ。

 安倍晋三首相(自民党総裁)は勝敗ラインを「自民と公明党で過半数」とした。現有326議席からの大幅減である。

 党内でも「1強」の感がある首相だが、結果次第では揺らぐ可能性もあろう。

 成熟社会の日本のどんな未来図を描くのか。与野党の本格的な論戦を期待したい。

■どうする子どもの貧困

 最大の争点と目されるアベノミクスで、与党は「3本の矢」による成果を強調する。

 株が上がった、雇用や給与が増えた、完全失業率は下がり有効求人倍率が改善した-などである。

 だが、雇用増といっても非正社員が増えたにすぎず正社員は逆に減った。給与は7~9月の実質賃金でみると、前年同月比マイナスで2年前より悪化した。

 10月の家計の消費支出も実質で7カ月連続マイナスだ。7~9月期の国内総生産(GDP)は、2四半期続けてマイナスだった。

 道半ばのアベノミクスで、最もしわ寄せを受けるのが子どもたちだ。「子どもの貧困率」は2012年、16.3%で過去最悪を更新した。実に6人に1人である。

 「苦しい気持ちや悲しい気持ちで毎日過ごしている子どもがいなくなったら、それが本当の『豊かな国』なのではないか」

 薩摩川内市東郷小学校の6年生が、本紙など主催の第14回「新聞」感想文コンクールの入賞作品で率直な疑問を呈している。

アベノミクスの恩恵はまだ、円安で潤う一部の輸出企業や富裕層などにとどまっている。

 自民は「この道しかない」として「3本の矢」の政策を進めるが、民主など野党は転換や軌道修正を訴える。子どもの疑問に答えられるのはどちらか。各党の公約に目を凝らしたい。

 日本の60年の人口が約8700万人になり、65歳以上の高齢者は4割という推計がある。

 少子高齢化、人口減にあえぐ地方にとって、経済再生は喫緊の課題である。

 東京一極集中を排し、人と企業を大都市圏から地方へ呼び戻して、そがれた活力を補う。地方が切望するそんな方向へ進むよう各党は具体策を競うべきだ。

 東京電力福島第1原発事故を受け、原発再稼働などエネルギー政策も地方の行く末を左右する。

 再稼働を進める自民に対して公明や民主、維新は原発ゼロなどを目指す。共産や社民などは再稼働も新増設も認めない。

 再稼働ゼロなら立地自治体に脱原発への道筋を示す必要がある。原発が立地していても疲弊している地域が少なくないからだ。

 将来の電源構成も先送りされている課題だ。九州電力川内原発を再稼働の皮切りにしたい自民は、一方で原発依存度を可能な限り低減すると主張する。だが、電源構成ははっきりさせない。

 太陽光や風力など再生可能エネルギーは地方に有利な条件が多い。これを電源構成にどう位置付け、地方再生につなげるのか。各党の政策を聞きたい。


■政治手法も争点だ

 選挙戦後半には、「知る権利」の侵害が懸念される特定秘密保護法が施行される。安全保障の情報を特定秘密にし、漏えいすると最高で懲役10年を科す。憲法9条の解釈変更による集団的自衛権の行使容認の閣議決定とともに、「安倍政治」を象徴する施策だ。

 こうした世論を二分する戦後安全保障政策の大転換を、まともな国会論議を避けたまま押し通す政治手法や、異論に耳を貸さない姿勢も問われるべきである。

 世界50カ国余を歴訪したトップ外交は評価できる。しかし、中国や韓国との関係はまだぎくしゃくしている。来年の戦後70年を目前に、いかにして近隣諸国と和解し、平和的共存を図るのか。特に自民は打開策を明らかにしなければならない。

 解散風が吹き始めたころ、安倍政権は「政治とカネ」で閣僚らが野党の追及にさらされていた。目玉だった女性閣僚2人が辞任し、女性活躍推進法案などは廃案に追い込まれた。今回の選挙はそうした状況をリセットし、次の4年間のフリーハンドを得たいとの首相の思惑が見える。

 有権者が無関心でいてよいはずがない。むしろ、民意の重みを示す好機と捉え積極的に一票を投じたい。


西日本新聞社説-総選挙きょう公示 大義ある審判で応じよう-2014年12月02日

■2014衆院選■ 
 第47回衆院選がきょう公示される。2年ぶりの総選挙だが、有権者の側に沸き立つような熱気や高揚感はほとんどない。なぜか。
 主権者が「次の首相と政権」を基本政策とともに選び抜く-。そんな衆院選本来の政権選択選挙という体をなしていないからだ。
 では、争点が不在かといえば、断じて違う。いや、むしろ有権者として判断すべき重大な問題や積み残された政治課題は多い。
 「今回の衆院解散には大義がない」からと選挙に対する関心を喪失し、投票所へ向かうのをためらったら、誰がほくそ笑むのか。冷静に考えたい。賢明な主権者として「大義ある審判」で応じよう。
 ▼受け皿のない現実
 過去2回の衆院選は政権交代の是非が現実的な最大の争点となり、実際に政権交代が実現した。それは、1990年代以降の政治・選挙制度改革で模索してきた「政権交代が可能な二大政党制」の一つの到達点だったはずだ。
 その様相は今回、一変した。自民党など与党は野党転落などあり得ないと確信している様子だ。野党第1党の民主党は政権奪還という目標すら口にしない。永田町流の損得勘定にたけた与党の皮算用も、政権担当能力を明示できない野党も、有権者からみれば緊張感に欠けると指摘せざるを得ない。
 安倍晋三首相は消費税再増税を延期する決断をしたので「国民に信を問いたい」と語った。ところが、与党だけでなく野党も増税延期には異論を唱えず、首相が想定した「争点」になり得ていない。
 むしろ世論調査で「再増税の先送りに反対」とする約3割の有権者にとって、事実上その選択肢がないことの方が問題だ。痛みや負担を覚悟する有権者の受け皿がない現実は、政党の側の旧態依然ぶりをあぶり出していないか。
 安倍首相の経済政策「アベノミクス」が大きな争点であることは否定しない。しかし、果たしてそれが「最大」かどうかは、有権者の判断に委ねられる。
 2年間の安倍政権を振り返って、最大の成果は政治に安定を取り戻したことだ。首相が1年で毎年のように交代し、「決められない政治」にうんざりした国民にとって、今秋の内閣改造まで一人の閣僚も交代しなかった「安定と継続」は評価の材料となろう。
 ▼未来への想像力を
 その一方で、昨夏の参院選で衆参ねじれを解消した後の「決めすぎる政治」を問題にする有権者も少なくないはずだ。
 国民の知る権利を侵害しかねない特定秘密保護法を採決強行の連続で成立させ、戦後の歴代内閣が「憲法解釈上できない」としてきた集団的自衛権の行使を一内閣の閣議決定で容認へ踏み切った判断の是非は、今回の総選挙で徹底的に論じてほしい。
 年明けにも九州電力川内原発が再稼働する情勢を踏まえれば、賛否が二分する原発問題を論議する好機でもある。東京電力福島原発事故の教訓を問い直すべきだ。
 そして、私たちが特に訴えたいのは、来年の戦後70年へ向けてこの国はどこに向かうのか-という歴史的な時間軸に根差した将来のいわば「方向感覚」である。
 周知のように安倍首相は「戦後レジーム(体制)からの脱却」を持論としている。戦後体制の象徴は日本国憲法であり、戦争の放棄を明記した第9条であろう。
 人間に例えれば古希となる国の70年に及ぶ歩みを単純に是か非かで論じるわけには当然いかない。
 しかし、憲法が支えてきた戦後民主主義の何を守り、どこを変えるか-という議論は避けて通れないはずだ。今回の直接的な争点となり得るかどうかは別として、有権者の判断材料とするのは可能であり、また自由でもある。
 政党側が提示する「争点」にとどまらず、有権者側が考える「争点」も含め、熟慮すべきテーマには事欠かない。
 膨らみ続ける財政赤字と持続可能な社会保障制度、近隣外交の立て直しと安全保障の在り方、さらには地球規模のエネルギーや環境問題などに思いをめぐらせれば、今は選挙権を持たない将来世代のことをどう考えるか-という確かな想像力の問題でもあろう。
 今回の総選挙で私たちが投じる一票の意味はやはり重い。


by asyagi-df-2014 | 2014-12-02 20:59 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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