安部晋三政権を考える-2014年11月19日

NPJで、「アベノミクスに審判を-賃金15カ月減・ワーキングプア30万人増・富裕層過去最大・内部留保13兆円増」という記事を見つけました。
 安部晋三政権は、消費税増税を18カ月延期するけれど、2017年4月には「景気判断条項を付すことなく確実に実施」することを明言するとともに、今週21日に衆議院を解散することを表明しました。
 このことを考えるための判断基準。
・賃金は15カ月連続マイナス
・大企業の労働分配率は1年で4.4%マイナス
・勤労者世帯収入は12カ月連続マイナス
・貯蓄を保有していない世帯31%と過去最大
・消費支出は過去の消費税増税時より落ち込みが激しい
・「暮らしにゆとりがない」が半数近くに増加
・雇用が増えたと安倍首相は言うが正規雇用減少・非正規雇用激増
・大企業の内部留保はこの1年で13兆円も増加
・日本の富裕層は過去最大の101万世帯、純金融資産総額は241兆円
・チャンスつかんで好循環なのは富裕層と大企業だけ
・「全世帯の16%の人々が貧困生活を強いられている状況の中で
・アベノミクス第3の矢は「自分に刺さる毒矢」

 最後に、「今回の解散総選挙は、安倍首相による『戦争する貧困大国日本づくり』を許すのかどうかを根源的な争点にしなければいけないと思っています。」と、まとめられています。

 以下、引用。







アベノミクスに審判を-賃金15カ月減・ワーキングプア30万人増・富裕層過去最大・内部留保13兆円増-2014年11月19日
井上伸 | 国家公務員一般労働組合執行委員、国公労連書記、雑誌編集者


昨夜、安倍首相が記者会見し、消費税増税を18カ月延期するけれど、2017年4月には「景気判断条項を付すことなく確実に実施」することを明言するとともに、今週21日に衆議院を解散することを表明しました。

アベノミクスの継続を問う解散総選挙というのが安倍首相の主張のようです。昨夜の記者会見で、安倍首相は「3本の矢の経済政策は確実に成果を上げつつあります」、「企業の収益が増え、雇用が拡大し、賃金が上昇し、そして消費が拡大していく、そして景気が回復していくという経済の好循環がまさに生まれようとしています」などと述べていますが、本当でしょうか?

賃金は15カ月連続マイナス
まず、賃金は上昇するどころか、昨年(2013年)の7月から今年(2014年)の9月まで15カ月連続で実質賃金はマイナスになっています。(▼下表参照。厚労省「毎月勤労統計調査」の実質賃金より)

大企業の労働分配率は1年で4.4%マイナス
企業は利益をあげ、賃金は下がっているので、労働分配率も大企業(資本金10億円以上)は、2012年の59.5%から2013年の55.1%へと4.4%も減少しています。(※資本金10億円未満の企業の労働分配率は同64.0%から62.6%へと1.4%減少しています。※財務省「法人企業統計」より)

勤労者世帯収入は12カ月連続マイナス
そして、賃金はマイナスになっていますから当然なのですが、勤労者世帯の収入も12カ月連続でマイナスになっています。(▼下表参照。総務省「家計調査報告」より)

貯蓄を保有していない世帯31%と過去最大
また、下のグラフにあるように「貯蓄を保有していない世帯の割合」は、2013年に31%と過去最大の数字に跳ね上がっています。

消費支出は過去の消費税増税時より落ち込みが激しい
とりわけ驚くのは、消費支出が過去のどの消費税増税時よりも落ち込みが激しくなっていることで、今の日本経済の深刻化さが非常によくわかります。(▼下のグラフ参照。総務省「家計調査報告」より)

「暮らしにゆとりがない」が半数近くに増加
以上のように客観的なデータで勤労者の収入と支出が落ち込んでいますから、これも当たり前なのですが、国民の暮らし向きはどんどんゆとりがなくなってきています。(▼下のグラフ参照。日本銀行「生活意識に関するアンケート調査」より)

雇用が増えたと安倍首相は言うが正規雇用減少・非正規雇用激増
ワーキングプア30万人増で労働者の4人に1人に
昨夜の記者会見で安倍首相は、「政権発足以来、雇用は100万人以上増えました」とアベノミクスが成功している一例としてあげています。この雇用が100万人以上増えたと安倍首相が自慢しているデータはどこから来ているかというと、総務省の「労働力調査」です。2012年の7~9月期の正規雇用労働者3,327万人(雇用で正規雇用の占める割合64.5%)から2014年同期は3,305万人(同62.9%)と22万人も減っています。逆に同期比較で非正規雇用労働者は1,829万人(雇用で非正規雇用の占める割合35.5%)から1,952万人へと123万人も増えているのです。非正規雇用労働者の増加分123万人から正規雇用労働者の減少分22万人を引けば、101万人の増加となり、安倍首相が言うように、確かに「政権発足以来、雇用は100万人以上増えました」。しかし、それはすべて非正規雇用労働者で、しかも正規雇用労働者は22万人も減少しているのです。そうすると、国税庁の「民間給与実態統計調査」で分かるのですが、年収200万円以下のワーキングプアは、2012年の1,090万2千人から、2013年の1,119万9千人へと、29.9万人も増え、労働者全体に占めるワーキングプアの割合は24.1%にもなり、およそ4人に1人がワーキングプアという状況になってしまっているのです。

大企業の内部留保はこの1年で13兆円も増加
一方で、大企業の内部留保は2012年の272兆円から2013年の285兆円へと13兆円も増加していますし(資本金10億円以上の大企業約5千社の内部留保を財務省「法人企業統計年報」から計算)、野村総合研究所が昨日発表した調査によると、日本の富裕層・超富裕層の世帯数は過去最大になっているとして、次のように指摘しています。

日本の富裕層は過去最大の101万世帯、純金融資産総額は241兆円
この2年間で世帯数は24.3%、純金融資産総額は28.2%増加

純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の「富裕層」、および同5億円以上の「超富裕層」を合わせると、2013年時点で100.7万世帯でした。(中略)2011年と比較すると、富裕層は25.4%、超富裕層は8.0%、両者を合わせた世帯数は24.3%の増加となりました。また、NRIが同様の方法で推計した中で、2000年以降のピークである2007年の合計世帯数90.3万世帯を約10万世帯上回りました。(中略)2012年12月に発足した安倍政権下の経済政策(いわゆるアベノミクス)による株価上昇がもたらした金融資産増加の影響が大きかったと考えられます。

出典:野村総合研究所の調査発表
アベノミクスは富裕層と大企業だけに莫大な利益もたらし多くの国民には貧困・生活苦もたらした
以前のエントリー「アベノミクスで日本の富裕層の増加率(22.3%)は世界一、ワーキングプアはこの1年で30万人も増加」で同様の指摘をしていますが、ようするに、アベノミクスは、富裕層と大企業だけに莫大な利益をもたらし、多くの国民には貧困・生活苦をもたらしたということです。

チャンスつかんで好循環なのは富裕層と大企業だけ
昨夜、安倍首相が記者会見で言った「3本の矢の経済政策は確実に成果を上げつつあります」、「ようやく動き始めた経済の好循環、この流れを止めてはなりません」、「チャンスを皆さんようやくつかんだのです。このチャンスを手放すわけにはいかない」の意味する本当のところは、富裕層と大企業だけにもたらされる「確実な成果」であり、「好循環」であり、「チャンス」であるということが、上記の客観的な数字によって判明するのです。

「全世帯の16%の人々が貧困生活を強いられている状況の中で
デフレ脱却などできるはずはありません」
浜矩子さんの指摘がズバリ当たっているアベノミクスの現状
以前、浜矩子さんの指摘を「人間不在で貧困放置するアベノミクス=ドーピング経済学が日本を壊す」というエントリーで紹介していますが、その中で、浜さんが「全世帯の16%の人々が貧困生活を強いられている状況の中で、デフレ脱却などできるはずはありません。いま日本が抱えているデフレ問題は、成長力の不足が原因ではありません。分配がきちんとできていないことが問題なのです。この16%の貧困の中にいる人々がまともな生活をできるようになってこそ、初めてデフレから脱却することが可能になります。逆にいたずらに経済成長を追求すればするほど、成長の成果を上げるために非正規雇用の人達がさらに人間らしく扱われない状態が出てきてしまいます。やはり、人間不在の目から見ると経済政策の焦点がまるでズレてしまうということを、安倍首相の成長戦略スピーチはよくあらわしていたと思います」と言っていますが、この浜矩子さんの指摘は上記で紹介したデータで見た通り、ズバリ当たっています。しかし、昨夜の安倍首相は、これまでと同じように人間不在で貧困放置するアベノミクス=ドーピング経済学をもってきて、「成長戦略をさらに力強く実施する」などと表明しています。このまま安倍首相の暴走を許すなら、上記で見た2年間の数字がさらに悪化するわけですから、雇用は破壊され、賃金は減少し、貧困・生活苦が激増していくことになります。

アベノミクス第3の矢は「自分に刺さる毒矢」
安倍首相の「成長戦略」というのは、以前紹介した二宮厚美神戸大学名誉教授の指摘にあるように、「日本を世界で一番企業が活動しやすい国にする」=「労働者にとっては一番働きにくい国」、つまり労働者にとっては「地獄」です。そして結局、アベノミクスの「第3の矢」はブーメランとなり「自分に刺さる毒矢」になってしまい日本経済を破壊するものです。

それから、以前ブログで「竹中平蔵氏がめざす貧困大国アメリカ - 99%を食い潰す富裕層の富裕層による富裕層のための日本へ」というエントリーをアップしていますが、安倍首相の「岩盤規制といえども、私の『ドリル』から無傷ではいられません」という異様な物言いとアベノミクス第3の矢=毒矢は、竹中平蔵氏がめざすものと同じです。

根源的な総選挙争点は安倍首相による「戦争する貧困大国日本づくり」を許すかどうか
加えて、竹中平蔵氏や安倍首相がお手本とする「貧困大国アメリカ」は戦争中毒大国でもありますが、以前のエントリー「安倍政権が集団的自衛権行使に執念を燃やす理由 - 戦後の平和主義を根本的に転換し本気で軍事大国めざす」や「集団的自衛権行使=『戦争する軍隊づくり』で止まるつもりない安倍政権の『戦争する国づくり』」で渡辺治一橋大学名誉教授の分析を紹介したように、安倍首相の暴走をストップしなければ、「戦争する国づくり」がますます進むことになってしまいます。今回の解散総選挙は、安倍首相による「戦争する貧困大国日本づくり」を許すのかどうかを根源的な争点にしなければいけないと思っています。


by asyagi-df-2014 | 2014-11-20 05:40 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
画像一覧