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本からのもの-「アベノミクス化」する社会

著書名;世界11月号 「アベノミクス化する社会」
著作者;内橋 克人
出版社;岩波書店 


 アベノミクスが目指すのものは、内橋が副題で示す「強者の欲望に寄り添う権力のもとで」というものでしかないことを痛感する。
 ここでは、辺野古敷地建設に関連して、明確に、その意味を明確にする。

 2014年9月12日、海底ボーリング調査の進む地域を広く囲むフロートの周辺にカヌーで近づき、抗議活動を行っていた市民5人が海上保安庁・保安官によって、突如、拘束された。拘束した市民に対して保安官は「刑特法を適用する」と叫んだ。拘束を「(身柄)確保」と呼んだ。
また、管官房長官は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題を、「もう過去の問題。粛々と工事を進めて行くだけ」と、述べた。
 こうした一連の事実を、内橋は、「記者会見で、『過去』と定義づけた管官房長官発言は単なるブラフ(脅し)ではない。海保・保安官らの『常軌を逸した排除』、居丈高な振る舞いの背後に安倍政権の強い後ろ盾がある。抗議活動を圧倒的な力で排除、拘束できる強権発動の手順は整った。辺野古を『過去』のものとする官房長官発言は、この国を被う安倍政権の強権的統治手法の一例を示すに過ぎない。」
 こうも続ける。
 「石原伸晃環境大臣(当時)の『金目(かねめ)でしょ』は同氏だけの専売特許ではない。安倍政権が駆使する統治手段の全体の象徴である。『アベノミクス』は単なる経済政策ではなく、『金目(アメ)は先に、ムチは後で』の典型的な国民傀儡化の統治手法である。」
 まさしく、安倍順三政権の特徴は、強権的な『金目(アメ)は先に、ムチは後で』の典型的な国民傀儡化の統治手法であることがわかる。

 また、辺野古新基地建設をこれほどまでに急ぐのかについては、次のように解き明かす。 「危険な普天間基地を名護市辺野古に移すことで、普天間基地の周辺住民に安全を取り戻す-ごく普通に信じられている『常識』の誤謬をウィキリークスが明かした。市街地のただなかにある普天間基地を大浦湾に臨む辺野古に移せば、陸地では臨めなかった『海』を手に入れることができる。海は軍港の母である。『飛行場プラス軍港』が大浦湾に忽然と浮上する。当面、『新たな軍港』には米軍の高速輸送船が配備される。『辺野古軍港』の構築計画はすでに日米両政府間で合意済みとウィキリークスは暴いた。」
 実は、「日本政府はすでに五年前の秋、米府と合意を交わした」と、ウィキリークスは
暴露したのである。
 結局、辺野古新規津建設は、「市街地の『航空基地』を海に移すだけで『軍港』が付加される。軍事基地としての戦略的次元は飛躍」をもたらすことになる。
 ここにこそ、安倍晋三政権の強権的な手法の根拠があると言えるのである。それは、「『軍港』という機能を付加することで『陸海空』を統合する戦略的拠点基地」を作るという意思表示なのである。
 内橋は、こうも続ける。
 「新基地は、『集団的自衛権』発動の試験台となり、そこに至るプロセスの全ては『特定秘密保護法』を武器として国民の『事前通知』は遠ざけられる。」と。
 こうして、安部晋三政権が、辺野古新基地建設を急ぐ理由を明らかにする。
 辺野古新基地建設は、「構造的沖縄差別」をより深くするものでしかない。
 内橋は、辺野古新基地建設の本等の意味を、「以上のすべては、二〇一二年一月、オバマ米大統領による『新軍事戦略構想』、すなわち、『アジア・太平洋地域で軍事的主導権を確立する』という米アジア基軸戦略の構図に符合している。」と、説明する。
 それは、米軍再編に、日本政府が「目下の同盟者」(新崎)としての役割を果たそうとしている姿である。 

 最後に、内橋は、「二〇一三年一二月二五日、総理官邸で会談した直後、仲井間知事『驚くべき立派な内容を提示して頂いた。いい正月になると実感した。一四〇万県民を代表して心から感謝する」と最大級の賛辞で恭順の意を表した。辺野古への移設容認のご褒美は『立派な内容』であったはずだ。が、支払うべき代償の『内容』は明らかにされていない』と警告する。
 ここでもまた、新崎の 「目下の同盟者」という言葉が相応しい。


by asyagi-df-2014 | 2014-10-24 05:38 | 本等からのもの | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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