ハンセン病-ハンセン病患者に対する「隔離法廷」を検証

毎日新聞は、2014年10月18日、「伝染の恐れを理由にハンセン病患者の裁判を裁判所外の隔離施設などで開いた『特別法廷』(出張裁判)に正当な根拠がなかった可能性があるとして、最高裁が検証を始めたことが分かった。」と、伝えた。
 毎日新聞の「遅きに失した検証と言わざるを得ない。今後の聞き取りでは、元患者らから厳しい直言も相次ぐだろう。だが、国の誤った隔離政策に乗じていた可能性がある以上、司法にも虚心坦懐(たんかい)にその声に耳を傾け、過去の差別と向き合う責任がある。」という解説が、まさしく核心を突いている。
 注視していきたい。

 以下、毎日新聞の引用。






毎日新聞-ハンセン病患者:最高裁「隔離法廷」を検証 95件-2014年10月18日

 伝染の恐れを理由にハンセン病患者の裁判を裁判所外の隔離施設などで開いた「特別法廷」(出張裁判)に正当な根拠がなかった可能性があるとして、最高裁が検証を始めたことが分かった。元患者らが起こした訴訟で隔離政策が違憲と認定された1960年以降も12年間続いており、誤った政策に基づく差別を司法が認めるか注目される。近く関係者から聞き取りを実施し、結果も公表する。裁判所が過去の裁判の手続きを検証するのは極めて異例。

 裁判所が損壊したような場合は、裁判所外に特別法廷を設置することができる。事件を担当する地裁などの上申を受けて最高裁の司法行政部門である裁判官会議が設置場所を指定する。最高裁によると、指定は77年までに113件。ハンセン病を理由とする指定が計95件(刑事94件、民事1件)を占め、うちハンセン病国家賠償訴訟の熊本地裁判決が「違憲性が明白だった」と指摘した60年以降も27件あった。

 ハンセン病の特別法廷は主に患者らが入所する療養所内や勾留先とみられる刑務所、拘置所内に設置されており「隔離施設内のため傍聴者がなく、裁判の公開を定めた憲法に違反する」などの指摘があった。「全国ハンセン病療養所入所者協議会」などが昨年、問題点の検証を求め、最高裁が今年、事務総局内に調査委員会を設置した。特に60年以降の特別法廷設置の正当性を検証するとみられる。

 これまでに、裁判記録の大半は保管されていないことが分かり、最高裁は開廷場所の施設を所管する厚生労働、法務省に調査を依頼した。年内に始める聞き取り調査の対象には、元患者も含まれるとみられる。

 憲法は「裁判官の独立」を保障しているため検証対象は行政判断としての「開廷場所の指定」に絞られる。このため、個別の裁判結果の見直しにはつながらないが、検証の結論によっては再審を求める動きが強まる可能性がある。

 熊本県の国立ハンセン病療養所「菊池恵楓園」への入所勧告を受けた男性が53年、無罪を主張しながら殺人罪などで死刑とされた「菊池事件」の特別法廷を巡っては「関係者が白衣を着用し、証拠が火ばしで扱われた」との証言がある。【川名壮志、江刺正嘉】

 ◇解説 意義ある異例の判断
 ハンセン病の特別法廷の正当性には以前から疑問が呈されてきた。半世紀前後が経過し記録が散逸している以上、最高裁の検証も関係者の記憶に頼らざるを得ない。それでも、最高裁が過去を見つめ直す作業に乗り出した意義は大きい。

 裁判結果自体の検証は、憲法が保障する「裁判官の独立」を侵害するおそれがある。ハンセン病を巡って政府や国会が謝罪したにもかかわらず、裁判所が検証に踏み出せなかった理由もそこにある。今回は「開廷場所の指定」という司法行政上の判断に検証対象を絞ることで、憲法上の問題を回避した。

 最高裁を動かしたのは元患者たちの高齢化だ。国賠訴訟の判決確定後も、元患者がホテルに宿泊を拒否される事件が起きた。差別のない社会の実現を訴え続け、司法に検証を求めてきた原告団の中心メンバーと、入所者協議会長が今年5月に相次いで世を去ると、もはや放置は許されないとの意識が高まった。

 遅きに失した検証と言わざるを得ない。今後の聞き取りでは、元患者らから厳しい直言も相次ぐだろう。だが、国の誤った隔離政策に乗じていた可能性がある以上、司法にも虚心坦懐(たんかい)にその声に耳を傾け、過去の差別と向き合う責任がある。【石川淳一


by asyagi-df-2014 | 2014-10-19 05:31 | ハンセン病 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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