貧困問題-子ども貧困大綱の閣議決定

安部晋三内閣は、2014年8月29日の閣議で、貧しい家庭の子供の教育や生活を支援するため、初めて「子供の貧困対策大綱」を決定した。
 学校をプラットホーム(拠点)と位置付け、福祉機関などと連携した総合的な支援体制を構築し、貧困率など25項目の統計データを「指標」に設定するなかでその改善に向けて取り組むとしているが、具体的な数値目標はほとんど盛り込まれなかった。
 安倍晋三首相は閣議に先立つ会議で「全ての子供が夢と希望を持って成長していける社会の実現を目指す」と強調したが、この政権の基本理念である成長戦略と子どもの貧困対策は、相反するものであり、「『子どもの貧困率』は2012年に16・3%と過去最高。ひとり親世帯での貧困率は54・6%。ともに先進国の中で最悪の水準」という過酷な実態が、このままでは改善されることなく残されていくことになる。
 この閣議決定は、安部晋三政権の限界をあらためて露呈するものになった。

以下、東京新聞の引用。






東京新聞-子どもの貧困、学校拠点に支援 政府、初の対策大綱決定-2014年8月29日


 政府は29日の閣議で、貧しい家庭の子供の教育や生活を支援するため、初めて「子供の貧困対策大綱」を決定した。学校をプラットホーム(拠点)と位置付け、福祉機関などと連携した総合的な支援体制を構築する。貧困率など25項目の統計データを「指標」に設定。その改善に向けて取り組むとしたが、数値目標は盛り込まなかった。

 安倍晋三首相は閣議に先立つ会議で「全ての子供が夢と希望を持って成長していける社会の実現を目指す」と強調した。

 厚生労働省の調査では、子供の貧困率は2012年に16・3%と過去最悪を記録した。


東京新聞社説-子ども貧困大綱 改善の数値目標を示せ- 2014年9月1日

 あまりの中身のなさにがくぜんとする。閣議決定された子どもの貧困対策大綱には、当事者らが強く求めていた施策の多くが盛り込まれなかった。せめて貧困率削減の数値目標くらいは示せ。

 一日の主な栄養源は学校の給食のみ。貧しさから進学をあきらめざるを得ない。そんな子どもたちが少なくない現状だ。

 平均的な所得の半分(年百二十二万円)を下回る世帯で暮らす子どもの割合である「子どもの貧困率」は二〇一二年、16・3%と過去最高だった。ひとり親世帯での貧困率は54・6%。ともに先進国の中で最悪の水準だ。

 大綱は「子どもの将来が生まれ育った環境で左右されることのないよう、必要な環境整備と教育の機会均等を図る」とうたう。立派な理念は並ぶが、具体的な施策は既存の事業をまとめただけだ。

 大綱の策定を義務付けた子どもの貧困対策推進法は昨年六月、全会一致で成立した。与野党超えた全党が、喫緊に取り組まなければならない課題という認識を共有したのではなかったのか。

 当事者や有識者が参加する政府の検討会は四回開かれた。当事者らが求めていたのは、貧困率削減の数値目標の設定のほか、ひとり親世帯への児童扶養手当、遺族年金の支給期間の延長や増額、返済の必要のない給付型奨学金の充実などだった。

 政府は、貧困率のデータには、資産などが勘案されておらず、実態を反映していない、などの理由で数値目標の導入を見送った。児童扶養手当や給付型奨学金の拡充は財源確保の問題に加え、「施策の効果をよく検討しなければいけない」として退けた。

 経済的に苦しい家庭の子どもに給食費や学用品代を補助する「就学援助」は、生活保護が引き下げられたことに連動し、一四年度、七十余の自治体が支給対象の所得基準を下げた。子どもの貧困対策に逆行している。

 「私が死んで保険金でももらった方が、子どもはお金の心配をすることなく大学に行ける」。民間支援団体のアンケートに、栃木県に住む四十代シングルマザーはつづった。

 英国では、一九九九年、当時のブレア首相が、子どもの貧困撲滅を打ち出した。数値目標を掲げて、多くの施策を打った結果、貧困率の削減に成功した。

 日本の政府は熱意に欠ける。政治主導で最優先に取り組むべき課題だ。


by asyagi-df-2014 | 2014-09-02 05:45 | 書くことから-貧困問題 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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