水俣から-水俣病特別措置法(特措法)に基づく未認定患者救済

 水俣病特別措置法(特措法)に基づく未認定患者救済で、熊本、鹿児島、新潟3県に一時金を請求した人の判定結果について、環境省が2014年8月29日日公表した。
 その一時金の給付対象者は3県合わせて3万2244人で、その内訳は、熊本1万9306人、鹿児島1万1127人、新潟(22日現在)1811人。
 また、今回、本来の年齢要件では原則対象外となる1969(昭和44)年12月以降生まれの6人(熊本4人、鹿児島2人)を救済対象としたことを、熊本・鹿児島の両県が、2014年8月29日明らかにした。熊本の4人は、へその緒の水銀濃度が胎児性・小児性水俣病の判断基準の目安を上回っていた。
 
 朝日新聞は今回の環境省の報告を「国の被害者救済は終結へ」と伝えているが、今回の特措法の救済をめぐっては、対象地域や出生年の線引きが不当だとして救済対象外とされた水俣病不知火患者会の会員らが熊本地裁などに提訴している実態があることを忘れてはいけない。
 宮澤信夫の、「『最終解決』や『もやい直し』の呼び声に包まれて、『苦渋の選択』をした人たちは、『水俣病の被害者と認められることで人権を回復する機会』を放棄させられた」という指摘を肝に命じなければならない。

以下、朝日新聞及び熊本日日新聞の引用








朝日新聞-水俣病特措法3.2万人に適用 国の被害者救済は終結へ-2014年8月30日

 半世紀を超す水俣病問題の「最終解決」を目指した水俣病被害者救済法(特措法)にもとづく救済策で、環境省は29日、計3万2244人が一時金の支給を受ける対象になったと発表した。複数の症状の組み合わせが必要な国の認定基準で患者と認められない人向けの対策はこれで終結に向かう。

 未認定患者を対象にした救済策は、2010年5月から受け付けを始め、12年7月末に締め切った。熊本、鹿児島、新潟3県の計4万7906人について判定を進めてきたが、国が全容を示すのは初めて。

 熊本水俣病では対象は原則、不知火海沿岸の対象地域に居住歴があり、原因企業チッソがメチル水銀を含む排水を止めた翌年の1969年11月までに生まれた人。対象外の人は、水銀に汚染された魚を多く食べた証明が求められた。熊本、鹿児島両県では申請者中、一時金の支給対象になった人は7割に満たなかった。対象者の内訳は、熊本県1万9306人、鹿児島県1万1127人、新潟県1811人。このほかに療養費のみの支給になった人が6千人余りいる。対象から外れた人は9649人だった。

 水俣病をめぐっては、いまも1千人以上が公害健康被害補償法に基づく患者認定を求めているほか、今回の救済策の対象にならなかった人たちが各地で裁判を起こしている。(香取啓介)

 〈水俣病被害者救済法〉 2004年の最高裁判決が国の認定基準より幅広い救済を認めたことを受けて、未認定患者から救済を求める声が盛り上がり、超党派の議員立法で作られた。09年成立。単独の症状でも認め、認定患者への補償額(1500万~1800万円)より大幅に低い一時金(210万円)や療養費(医療費の自己負担分)などを支給する。1995年に続く「第2の政治決着」といわれる。



熊本日日新聞-年齢対象外も救済 水俣病特措法、熊本4人- 2014年08月29日


 水俣病特別措置法(特措法)に基づく未認定患者救済で、熊本、鹿児島両県は29日、本来の年齢要件では原則対象外となる1969(昭和44)年12月以降生まれの6人(熊本4人、鹿児島2人)を救済対象としたことを明らかにした。熊本の4人は、へその緒の水銀濃度が胎児性・小児性水俣病の判断基準の目安を上回っていた。

 特措法の救済対象者の年齢要件は、「69年以降は水俣病が発生するレベルの水銀汚染はない」とする91年の中央公害対策審議会答申に基づく。熊本の場合、69年12月以降生まれで一時金の給付を申請した人は466人おり、対象者は0・86%にとどまったが、若い世代がメチル水銀汚染を受けた可能性を示した形だ。

 特措法の救済は、対象者の年代や地域を限定。年齢要件を満たさない人は、メチル水銀による汚染を、へその緒などで証明する必要がある。

 県水俣病保健課によると、4人のへその緒のメチル水銀濃度は、胎児性・小児性水俣病の判断基準の目安で例示された1ppm以上だった。さらに▽母親が水俣湾や周辺海域の魚介類を多食したと認められる▽症状が救済要件を満たす-ことから救済対象となった。

 4人の年齢や居住地については、県は「個人情報を開示すれば、特定される恐れがある」として伏せた。一時金を支給されたかなどの救済内容も公表しなかった。

 一方、環境省が29日午後公表した一時金の給付申請者約4万8千人に対する熊本、鹿児島、新潟3県の判定結果によると、救済対象者は、医療費の自己負担分が無料になる被害者手帳のみの交付が認められた人を含め3万8257人に上った。 対象者の居住地域や年齢の内訳は明らかにしていない。新潟県は106人の判定を終えておらず、判定結果は確定値ではない。

 環境省は「水俣病問題の解決に向け大きく前進した」、水俣病の原因企業チッソ(東京)は「被害者の方に一時金を支払うのは当社の責任の一つ。確実に支払っていく」とのコメントを出した。(潮崎知博、高橋俊啓)


by asyagi-df-2014 | 2014-08-30 17:02 | 水俣から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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