ヘイトクライムに抗して-ヘイトスピーチ「街宣差し止め」一審支持

【ヘイトクライム(Hate crime)は、人種、民族、宗教、性的思考などにかかる特定の属性を有する個人や集団に対する偏見や憎悪が元で引き起こされる暴行等の犯罪行為を指す。-ウイッキペディアより】


 朝日新聞は、2014年7月8日、「都朝鮮第一初級学校(京都市、現・京都朝鮮初級学校)周辺で「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の会員らがヘイトスピーチ(差別的憎悪表現)をしたことが名誉毀損(きそん)にあたるかが争われた訴訟の判決が8日、大阪高裁であった。森宏司裁判長は在特会側の控訴を棄却。「学校の児童が人種差別という不条理な行為で多大な精神的被害を被った」と述べ、約1226万円の異例の高額賠償と新たな街宣活動の差し止めを命じた一審・京都地裁判決を維持した。」と、報じた。

 2013年10月7日の京都地裁判決の判決の要点は、下記のものであった。
以下、C.R.A.C(対レイシスト行動集団)より引用。


在特会・京都朝鮮学校襲撃事件、民事判決概要
2009年12月に起こった京都朝鮮学校襲撃事件について、京都地裁での民事訴訟の判決が出た。

判決:1226万円の損害賠償と学校周辺での街宣禁止
原告:学校法人京都朝鮮学園
被告:在特会(在日特権を許さない会)

判決文は、この事件について、差別意識を世間に訴える意図の下、在日朝鮮人が日本社会で日本人や他の外国人と平等の立場で生活することを妨害しようとする差別的発言を織り交ぜてされた人種差別に該当する行為

我が国の裁判所に対し、人種差別撤廃条約2条1項及び6条から、同条約の定めに適合する法の解釈適用が義務づけられる名誉毀損等の不法行為が同時に人種差別にも該当する場合、あるいは不法行為が人種差別を動機としている場合も、人種差別撤廃条約が民事法の解釈適用に直接的に影響し、無形損害の認定を加重させる要因となるとし、これが単に名誉毀損を構成する不法行為であるだけでなく、差別を意図としたヘイト・スピーチであり、人種差別撤廃条約にしたがって法を適用すると明言している。

 京都地裁の判決の意義を、「今回の民事判決が重要なのは、人種差別撤廃条約を直接の根拠として被告らの不法行為を『人種差別』と認定したことである。つまりこれは、刑事立法なしに、現状でヘイト・スピーチに対して、ヘイト・スピーチとして法的措置をとりうるということを示した画期的な判決だ」(C.R.A.C)としている。

 「ルポ京都朝鮮学校襲撃事件 ヘイトクライムに抗して」(中村一成著)を通して、犯罪を受けた側の、裁判闘争に至るまで、また裁判闘争の中での、克復へ向けての葛藤などを知ることができた。
 これまでのヘイトクライムへの闘いを何ら支えることのできなかった反省から、ヘイトクライムの問題を追い続ける。

 以下、朝日新聞(2014年7月8日)記事を引用。

ヘイトスピーチ「街宣差し止め」一審支持 朝鮮学校妨害

 京都朝鮮第一初級学校(京都市、現・京都朝鮮初級学校)周辺で「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の会員らがヘイトスピーチ(差別的憎悪表現)をしたことが名誉毀損(きそん)にあたるかが争われた訴訟の判決が8日、大阪高裁であった。森宏司裁判長は在特会側の控訴を棄却。「学校の児童が人種差別という不条理な行為で多大な精神的被害を被った」と述べ、約1226万円の異例の高額賠償と新たな街宣活動の差し止めを命じた一審・京都地裁判決を維持した。

 原告代理人によると、ヘイトスピーチに対する損害賠償が高裁段階で認められたのは初めて。在特会側は上告する方針だ。

 一審判決によると、在特会の会員らは2009年12月~10年3月、当時京都市南区にあった同校周辺で、「キムチ臭いで」「保健所で処分しろ、犬の方が賢い」「朝鮮半島へ帰れ」などと3回にわたり演説した。この演説内容が名誉毀損や業務妨害にあたるとして、同校を運営する学校法人「京都朝鮮学園」が計3千万円の損害賠償や学校周辺での街宣活動の禁止を求めていた。

 一審判決は演説内容が日本も加盟する人種差別撤廃条約に照らして「人種差別」にあたると判断。そのうえで「条約の責務に基づき、人種差別行為に対する効果的な救済措置となるような額にすべきだ」として高額の賠償を命じた。

 在特会側は控訴審で、学校側が児童公園を占拠していたことに抗議する公益目的があったとして「表現の自由で保護される」と主張。「人種差別撤廃条約が禁じる人種差別の対象はあまりにも広く、表現の自由に抵触する」として、同条約を根拠にした名誉毀損の認定や損害額の算定は誤りだと訴えていた。(太田航)
     ◇
 〈京都朝鮮第一初級学校前のヘイトスピーチ問題〉在特会の会員らが2009年12月、同校が近接の児童公園を校庭代わりに占拠したなどとして街宣を始め、インターネットで動画を公開した。参加者のうち4人は威力業務妨害や侮辱の罪で有罪判決が確定。当時の同校長も、公園に無許可で朝礼台などを設置したとして、都市公園法違反罪で罰金刑が確定した。

2014年7月9日、京都新聞は、「授業を妨害し、子どもたちに差別的な言葉を浴びせる行為が許されるはずはない。極めて妥当な判決だ。」とするとともに、「安倍晋三首相は言葉の暴力や差別を許さぬ姿勢を一貫して示さねばならない。ネット上では歴史認識や領土問題で強硬姿勢をみせる政権を賛美する声もある。中韓との関係に修復の糸口が見えないことも偏狭な排外主義を増幅させている面があることを、政権は真剣に受け止めるべきだろう。」と、現政権への戒めも示した。
以下、京都新聞社説引用。

ヘイトスピーチ  差別許さぬ態度貫こう

 京都市内の朝鮮学校前で「在日特権を許さない市民の会」(在特会)が行った街頭宣伝「ヘイトスピーチ」の違法性が問われた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は在特会の控訴を棄却した。授業を妨害し、子どもたちに差別的な言葉を浴びせる行為が許されるはずはない。極めて妥当な判決だ。
 在特会は、学校周辺で「朝鮮人を処分しろ」「スパイの子ども」などと拡声器で連呼した。昨秋京都地裁判決は「著しく侮辱的、差別的」で国連の人種差別撤廃条約に抵触するとし、学校周辺での街宣活動を禁じ、約1200万円の賠償金を支払うよう命じた。
 高裁判決は一審を支持するとともに、インターネットで映像が公開されて拡散、児童への被害が継続することの悪質性を指弾した。ネット時代への警鐘といえよう。
 在特会側は一貫して「表現の自由」を主張した。憲法は表現の自由を保障するが、個人の尊厳など侵してはならない領域があるのは当然だ。子どもを威嚇して自尊心を傷つけ、民族を理由に汚い言葉で攻撃することに保護すべき公益性があろうはずはない。
 在特会は控訴審で、日本が条約を批准しながらもヘイトスピーチ処罰条項を留保している点を挙げ「司法の先取り」と批判した。
 権力の恣意(しい)的な運用を防ぐため、表現の自由の侵害につながる法整備に慎重であるべきなのは言うまでもない。一方で、政府が言う「国内に法規制するほどの民族・人種差別はない」との説明も現実を直視しているとはいえない。
 外国人への嫌悪をあらわにする街宣は今も散発する。野放しにすれば日本の人権意識が問われる。現行法の枠内での対処を徹底するとともに、ヘイトスピーチの定義を明確にした上で、諸外国も参考に法制化の在り方を議論したい。
 同時に自らの差別意識と向き合い、憂さ晴らしに誰かを標的にする行為が身近にないかを点検したい。サッカーJリーグでの差別的な横断幕や四国遍路の休憩所での張り紙問題も記憶に新しい。憎悪や罵声の応酬でなく異文化を認める対話型の活動を広げ、卑劣な差別を容認しない社会を目指したい。
 安倍晋三首相は言葉の暴力や差別を許さぬ姿勢を一貫して示さねばならない。ネット上では歴史認識や領土問題で強硬姿勢をみせる政権を賛美する声もある。中韓との関係に修復の糸口が見えないことも偏狭な排外主義を増幅させている面があることを、政権は真剣に受け止めるべきだろう。


by asyagi-df-2014 | 2014-07-10 05:40 | 書くことから-ヘイトクライムに抗して | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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