集団的自衛権-12-20140627・28の社説から考える

6月27日と28日に出された各社の社説に、7月1日にも閣議決定されようとする集団的自衛権を考える。

 南日本新聞は、次のように出張する。
「集団的自衛権は他国への武力攻撃を、自国に対する攻撃と見なして反撃できる権利だ。
閣議決定されれば、憲法9条に照らし、戦後日本の安全保障政策の根幹をなしていた『専守防衛』の縛りを解くことになる。」
「多くの国民が納得するとは思えない。本来なら解散して、国民に信を問うべき重大な政策転換である。国会審議だけでなく、幅広く慎重な議論が必要だ。振り返ると、これまでの与党協議は驚くほど性急だった。」
 この社説の結論である「いくら修正して限定的容認と強調しても専守防衛からの逸脱に変わりはない。論議なしのなし崩しの容認は許されまい。」ということについては、誰が考えても理解できる今回の欠陥である。

 続いて、東京新聞はその社説で、次のように主張した。
「武力で他国を守る集団的自衛権の行使容認をめぐり、政府は二十七日午前の与党協議で、憲法解釈変更を盛り込んだ閣議決定の最終案を提示した。」
「新たな武力行使の三要件として「密接な関係国への武力攻撃で、国民の生命や権利が根底から覆される明白な危険がある」などを規定。こうした武力行使が「国際法上は集団的自衛権が根拠となる場合がある」と、安倍晋三首相がこだわる集団的自衛権の文言も盛り込んでいる。しかし、「明白な危険」は政府の判断に委ねられており、拡大解釈の懸念がある。」
「与党は七月一日に次回の協議を行う。政府は与党合意が得られれば、同日中にも閣議決定したい考えだ。」
 特に、武力行使の要件が、「明白な危険」の判断が政府にゆだねられていることの矛盾を指摘している。一方的かつ強行に憲法解釈を行うやり方を現政府の手段が、その危険性を証明している。結局、一度解釈変更を認めさせてしまえば、今後はどうにでもできる権限を無制限に与えたことになる。

 また、琉球新報も次のように続ける。
「9回を数えた与党協議の大半は、集団的自衛権行使容認を前提とした事例の検討や閣議決定案の文言をめぐる調整に費やされている。法解釈の議論というよりは、公明党が合意できる表現を探すための「言葉遊び」の側面が強い。」
「最終案は集団的自衛権行使容認だけでなく、『集団安全保障』の武力行使への自衛隊参加にも含みを残している。戦後、長らく日本の安全保障政策の根幹をなしていた『専守防衛』という方針の破棄を意味する。『他国に軍事力を行使しない国』としての国際的信用もかなぐり捨てることになる。」
 ここでは、「他国に軍事力を行使しない国」という痛切な反省の上に立った崇高な理念を今こんなに簡単に捨てていいのかと問うている。
 特に、沖縄県の二紙に特有な「沖縄は住民を巻き込んだ国内唯一の地上戦を経験した。日本が再び戦争ができる国になる動きを許すことはできない。」との新聞社としての決意を表明している。

 同様に、沖縄タイムスも問題点を指摘する。
「集団的自衛権の行使にあたる「強制的な停船検査」など与党に示した八つの事例は、閣議決定後に関連法整備を進めれば、いずれも自衛隊による活動が可能となる。その分、自衛隊の国外での活動が急速に拡大するのは確実だ。政府の想定問答集によると、戦時のシーレーン(海上交通路)での機雷掃海など、国連の集団安全保障に基づく武力行使についても限定的に容認する考えである。」
「集団的自衛権の行使にあたるとして禁じられてきた米艦防護が可能になれば、朝鮮有事において自衛隊が参戦する可能性も高まる。中台危機の場合、どうなるのか。現行憲法の下では集団的自衛権の行使はできない、という憲法解釈を維持している間は、そのことを理由に米軍の要請を断ることができた。だが、いったん行使容認に踏み切れば米軍との一蓮托生(いちれんたくしょう)の度合いは一気に高まるだろう。」
 これまでも、立憲主義の否定につながるということは多くのものが主張してきた。「憲法解釈の変更によって集団的自衛権が使えるようになれば、9条の条文はいじっていないのに、9条でしばりをかけることができなくなる。憲法によって政府をしばるという立憲主義もまた、危機的な状況にある。」ということである。

 さらに、毎日新聞社も指摘する。
「憲法解釈変更の根拠は、1972年の政府見解だ。見解の一部をつまみ食いして、集団的自衛権の行使についての結論だけを『許されない』から『許される』に逆転させた。政府の想定問答は『見解の基本的論理の枠内で導いた論理的帰結。解釈改憲ではない』としている。」
「強引な理屈でも、いったん閣議決定してしまえば、あとはあいまいな基準のもと時の政権の判断次第で何でもできる。政府のそんな狙いが透けて見えるようだ。憲法と国民をあまりに軽んじている。」
 このように流布されてきた憲法解釈変更の考え方とされた1972年の政府見解の流用は、ここで指摘されているように欺瞞に過ぎない。

 ここでは、5社の社説を見たが、こうした論点をまとめると、今回の集団的自衛権に反対する理由が明確となる。


by asyagi-df-2014 | 2014-06-29 05:50 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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